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異世界で奏でる幻想曲  作者: kuh*
帰還
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暖かな家

間違いない。


ここは私がいた世界。


あの歌は転移魔法だったのか。


でも何で、ヴァルハラの様な黄金の世界が?


考えるのは後だ。


「摩訶、どうだ?」


「ここは私が住んでいた世界だよ」


あれから何年経っているのか。


今は人通りが少ないのを考えると深夜だろう。


近くに駅がある筈。


電車の音もしない。


終電は終わっている。


夜明けまでまだ時間はある。


「とりあえず、夜明けまでには身を隠す場所を探そう。

それに、この服装だと目立つ。

武器も持つのは違法になるから」


「あたしと摩訶は魔術が使えるからな」


「俺らは小型化するしかない。

戦闘の時は使うしかない」


と言い、アレクは刀をスティック状態にする。


シュバルツもハルバードをスティック状態にした。


ここからなら……


「ここからなら、私が前に住んでいた場所が近いの。

一度……行ってみてもいい?」


と三人に問う摩訶。


「いいよ」


「何か手がかりがあるかもな」


「よし、行こう」


四人は移動を始めた。


吸血鬼の身体能力は高い。


このスピードで行けば、十五分で行ける。


風景や建物は私のいた時代と変わりない。


むしろ、そのままに見える。


道路も。


橋を越えて地元へやってきた。


やっぱり、変わらない。


しばらく進むと、見覚えのある竹林。


自宅は竹林に囲まれたところ。


近くなってきたので歩く事にした。


竹林を抜けた所には、大きな庭と大きな家があった。


これが私のいた家。


何一つ変わっていない。


家には灯りが付いている。


「ここが摩訶の家か?」


摩訶は頷く。


どうしよう。


「摩訶は死んだ事になっているんだよな?」


「うん。

だから、行ってもいいのかな……」


と不安でいる摩訶に


「でも、お前の家なんだろ?

入ればいじゃん」


と言うシュバルツ。


そういう事、何も考えずに言えるシュバルツが好き。


けど……


「お前、バカか?

少しは考えろ。

俺らはこの世界では、存在しない者だ。

しかも、摩訶は死者だ。

そんなのが現れたら……」


アレクの言いたい事は分かる。


死人といい、この世に存在しない吸血鬼やエルフがいてもいいのかという事だ。


「摩訶、どうする?

摩訶が決めろ。

あたし達には分からないから」


それでも、私は……


「……行くよ。

私はありのままの姿で家族に会いたい」


それを聞いて三人は頷く。


私の知っている家族ならそれを受け入れてくれると思うから。


てか、夜中なのに灯りが付いてるって……


こんな時間に起きているのだろうか?


玄関にあるブザーを鳴らす。


「は〜い」


!!


「母親か?」


私は頷く。


「どうぞ」


「し、失礼します」


玄関のドアを開ける。


「ま、摩訶!?」


驚く母親の顔。


「ほ、本当に摩訶なの!?」


「……うん。

そうだよ」


涙を浮かべる母親。


そして、摩訶を抱き締めた。


「全く、心配をかけて……」


「ごめん……」


「お父さん、呼んで来るね。

あら、お友達も。

ほら、あがって」


と言い、母親は部屋の奥に行った。


「おい、摩訶」


ルナが耳元で呟く。


「死んだ人が生き返った、みたいな話しじゃなさそうじゃないか?」


……確かに。


「死んだ人間に心配って言わないよな?」


どうなっているんだろう?


玄関には、カレンダーが掛かっていた。


私が亡くなった年と月と同じ。


あとは日にちだけだ。


部屋に行くと父親もいた。


「良かったよ、摩訶。

無事で。

それに、友達といたのか」


やっぱり、ルナの言う通り。


「あ、あのさ、今日って……何日だっけ??」


「今日は13日。

摩訶がいなくなってからちょうど一週間だ」


!?


いなくなった!?


確かにその一週間前に私は、事故に遭って死んだ。


事故死じゃなくて行方不明になった事になってる!?


摩訶の様子を見て状況を察した三人。


「今日は遅いから後は明日にしよう。

警察への連絡も明日にする。

摩訶は自分の部屋で……」


と言い、あと三人の部屋を考えている。


「お母さん、立香の部屋が空いている」


立香とは妹の事。


一人暮らしをしている為、空き部屋になっている。


「そうだ。

白野もしばらく、学校に泊まるって言ってたし」


白野は一番下の弟だ。


「どっちを使ってもいいから」


「んじゃあ、男二人には立香の部屋を使う。

私はこの子とで大丈夫だから」


「そう。

分かったわ。

えっと……」


三人は自己紹介をした。


「摩訶をこれからも宜しくね」


摩訶は改めて言う。


「お父さん、お母さん、ただいま」


「お帰り、摩訶」


「お帰りなさい、摩訶」


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