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異世界で奏でる幻想曲  作者: kuh*
歌と魔術
18/52

小夜曲(セレナーデ)

先にイチカは行き、話しをしてくると言い、待っていた。


その後、部屋に案内された。


部屋の奥に進むと一人の老婆がいた。


「私の母のリツカよ。

この村の村長でもあるの」


「よく来たな、旅の者」


「突然の訪問、申し訳ありませんでした」


ルナがお辞儀をして言う。


「お前はエルフの村長だな?」


「はい」


「話しは聞いている。

魔術の腕前も確かだと」


ここでも知られている。


ルナって凄いんだね。


「そして、吸血鬼二人。

んで、お前さんは⁇」


マカに視線を向けるリツカ。


「吸血鬼の武器を持っているようだが、吸血鬼ではない」


武器を出してないのに分かるとは……


今までも幻想種はだいたい、そうだったなぁー


「それに、使い魔もいるが魔術師ではない」


ヴァイスにも気付いている。


影からヴァイスが出てくる。


「ほう、フェンリルか」


なるほど、と頷くリツカ。


「信じてはもらえないかもしれません。

私は人間です」


「何⁉︎」


「人間……ですって⁉︎」


驚くリツカとイチカ。


「こことは別の世界からやって来ました」


「証明出来るものは?」


「歌です」


と言い、私はバックから楽譜を出して見せた。


「お母さん、分かる⁇」


首を傾げるイチカ。


リツカは何も言わずにその場を立ち、机の引き出しから何かを出した。


それをマカに渡す。


「この世界の者にはこれが読めない。

それに歌う事も出来ない。

もしも、別の世界から来た人間だとしたら可能だろう」


紙を受け取る。


楽譜だ。


それも手元にないもの。


「マカ、歌えるか?」


私は頷き、深呼吸をする。


毎回、誰かに会う度に歌ってるけど……


この世界で私の身分を証明出来るものはこれしかない。


「君と僕とのリーベ。

二人で紡いだ生命をここに咲かせよう。

それはまだ名もない花。

僕らの生きた証を残そう。

それは素敵な紅く燃える尊い灯火」


すると、マカの周りに火の玉が現れた。


暖かい。


“リーベ”は“愛”。


これは恋人へ向けた愛の歌だ。


マカが歌い終わるとイチカは泣き出した。


「これを聴いたら思い出しちゃった」


イチカは涙を拭う。


「私の父と夫は、人間に乱獲されたのよ」


⁉︎


そっか。


だから、見当たらなかったんだ。


「だからずっと人間を憎んでいた。

けどある日、歌を聴いたの。

それで、こんなに素晴らしいものを知っている人間が羨ましいかった。

それからしばらくして、この子が産まれたの」


と言い、イチを愛おしそうに撫でるイチカ。


「ごめんなさい、この歌の意味が分からないの。

教えてもらってもいい?」


「リーベ……恋人に贈った愛の歌。

小夜曲(セレナーデ)です」


「そう……。

素敵な歌をありがとう」


リツカが咳払いをする。


「これで証明された。

名前は?」


「マカです」


「よし、異国から来た人間マカよ。

訳あってここを訪れたと見る。

理由を話せ」


これで本題に入れる。


私達は今までの出来事を話した。


「呪いか……なるほど」


「それじゃあ、私達はまた歌えるようになるの!?」


「その可能性はあると思います」


「それが本当ならだがな」


と言うルナ。


「確かに魔術について天使は詳しい。

歌が魔術な理由も知っているだろう」


「そうです。

私はそれを確かめたいんです。

この世界を救いたいから」


「お前は別世界から来たのだろう?

ほかのせかいの事なんて放っておけ」


それもそうだけど……


「私は向こうの世界で死にました。

定かではないですけど……

それで、この世界に来た。

何か理由があるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

でも、今はもうこの世界に関わってしまった。

無関係だなんて言えません。

ここも私にとっては、大切な居場所です」


「私の知ってる人間じゃないな」


つまらなそうに言うリツカ。


「そうだ。

それがマカという人間だ」


と言うシュバルツ。


否定はしないんだね。


「面白い。

力を貸そう」


「ありがとうございます!」


お辞儀をしるマカ。


これで、一つはクリアかな。


「天界には私が連れて行こう。

その間、留守を頼むよイチカ」


「うん、分かった」


「天界にはどやって??」


「龍の村は魔界にありながら天界と繋がっていると言う。

それはドラゴンが神聖な生き物としても扱われているからだ」


と言うルナ。


「天界へ行けるかもしれないが、その先はお前らでどうにかしな」


「はい!」


家の外へと出た。


リツカはドラゴンの姿になった。


四人は余裕で乗れる大きさだ。


紅色の綺麗なドラゴンだ。


「さて、私は外出なんて千年振りだ。

飛び方が荒いかもしれないが振り落とされないようにしてなよ」


と言い、一気に上昇した。


「マカさん、ありがとう」


イチカとイチが見送りに来た。


「ねーちゃん、帰って来らまた歌を聴かせて!」


「うん」


更に上昇し、村が小さくなった。


ここから、空の旅が始まる。


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