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異世界で奏でる幻想曲  作者: kuh*
歌と魔術
17/52

龍の村

ーー龍の村


険しい崖の所々に穴が空いている。


穴から小さなドラゴンが顔を覗かせる。


「本当にドラゴンが住んでいるんだ〜」


「あれが本来のドラゴンの姿だ」


本来の⁇


「どういう事、シュバルツ?」


「まぁ、見てろ」


しばらくすると、村の中心まで来た。


うわっ!


そこには、人とドラゴンがいた。


大きいものから小さなもの。


小さなドラゴンといっても私と同じくらいの大きさだ。


「どいう事⁇

人間……はいない筈だし」


「ドラゴンは魔術によって人間の姿に変身出来る」


と言うルナ。


「何で⁇」


「それ以外は明らかにされていない。

あたし達には分からない」


「ああ。

吸血鬼の間でも知られていない」


首を横に振るアレク。


エルフも吸血鬼も知らない。


謎に包まれた存在か。


「とりあえず、この村の村長に話しを聞いた方がいいな」


という結果になった。


村を歩いていると一人の男の子が近づいて来た。


「おかしな格好のねーちゃんだな」


マカを指差して言う。


「それに吸血鬼とエルフ⁇」


「ねぇ、君。

この村の偉い人を知っている?」


男の子はしばらく考えてから


「そんちょーか?」


「そう」


「でも、ここに何の用事だよ⁇」


意外としっかりした子だな。


「ここには滅多に外から人が来ない」


なるほどね。


「坊や、こんな所にいたのかい」


そこへ大きなドラゴンが現れた。


「母ちゃん!」


えっ⁉︎


デカッ‼︎


「ん?

何だ、お前さんら?

ここらじゃ、見ない顔だね」


と言い、匂いを嗅ぐドラゴン。


「吸血鬼にエルフ、それと……

混じり物の匂いがするね」


混じり物のね。


それは私の事だろう。


「まぁ、こんな所に来るくらいだから訳ありだろうけど」


ドラゴンは着陸すると人の姿になった。


「村長に会うんだろ?」


話しが早い。


「はい」


「それなら案内するよ」


さっきの男の子を抱く。


「私ん家がこの村長の家だよ」


男の子がイチ、その母親がイチカ。


イチが話していた事を聞いてみる。


この村の事を。


「そうだよ。

ここは滅多に外部からの接触がない。

吸血鬼のお二人なら分かるだろ?」


イチカはシュバルツとアレクに視線を送る。


シュバルツはマカに遠慮しながら


「……人間が滅ぶ前だ。

乱獲されていたんだ」


と言う。


⁉︎


「ドラゴンの鱗は硬くて丈夫だ。

それを加工して鎧を作っていたらしい」


そうだったのか。


「それにドラゴンはこの世界では、希少種だからな」


ずっと人間のいい事を聞いてきていた。


だからだろうか。


胸が苦しくなる。


いい事だけじゃなく当然、そういう事もあるよね。


人間からしたら身を守る為には必要だった。


けど、ドラゴンからしたら……


と思い、その場に立ち止まってしまった。


仲間や家族を失くして辛かっただろう。


マカはイチカに聞いた。


「……今でも人間が嫌い……ですか?」


マカの声が涙声だと気付いたルナ。


「マカ……」


「そんな悲しい顔をしないで」


と言われ顔を上げるマカ。


「私達の為に悲しむ人はいなかった。

けど、あなたは違うのね」


「いいえ、違わない。

大切な人を失くして悲しまない人なんていない。

私には分かる、その気持ちが。

悲しまなかった人がいなかった事の方がおかしいよ」


イチカはマカの言葉を聞いて微笑む。


「ありがとう。

そんな風にに想ってくれて」


私はこぼれ落ちそうな涙を拭う。


「でも、悪い事ばかりじゃなかった。

ある一人の人間がここを訪れたの。

そして、私達に歌を教えてくれた」


その言葉を聞いて一同、確信する。


ここにもしかしたら楽譜があるかもしれない、と。


「俺、歌が聴きたい‼︎

聴いたことないんだ‼︎」


と言うイチ。


「とても素敵な歌だった。

けど、何故かある日を境に歌が歌えなくなったのよ」


「ある日⁇」


それって……


「人間が滅亡した日よ」


四人は顔を見合わせる。


「だから思ったのよ。

人間の悪さを許していればこんな事にはならなかったのか、と」


「それは……」


俯くマカ。


人間のやった事は決して許さない。


歌が歌えなくなったのはイサミが原因。


そんな話しをしいる内にイチカに家に着いた。


ドラゴンの姿だと入れない入口の大きさだ。


「家にはドラゴンの姿で入らないのか?」


と不思議そうに言うルナ。


「ええ。

普段は人の姿をしているのよ。

過ごすのにはこの方が楽だから。

外は崖だらけだから外出する時はドラゴンの姿なのよ」


なるほどね。


「お邪魔します」


と言い、中に入っていった。


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