行ってきます
“魔界”へ来たついでに吸血鬼の都市を訪れる事にした。
途中経過を話しておこうと。
「あたし、魔界は初めて来たけど……」
と言い、辺りを見渡すルナ。
太陽が無く、赤い月が輝いている。
「少し不気味だが暮らすにはそれ程、不便ではなさそうだな」
「そうだよね」
「そういえば、その不死鳥いつまでついて来るんだ??」
と私の肩に乗るフェニックスに言うシュバルツ。
「ラーマさんに連れて行きなとは言われたけど……」
「そう言ったならきっとあたし達の役に立つ筈だ」
そうならいいけど……
しばらくすると、吸血鬼の都市にある古城が見えてきた。
なんか久しぶりだなぁー
入口にはちょうど、カイスがいた。
「おや、戻ってきたのかい??」
「うん。
ついでだからウルドさんに挨拶していこうかと思って」
「いいね!
僕も一緒に行くよ」
と言い、ルナを見るカイス。
「新しい仲間も増えたみたいで良かったよ」
「ああ。
エルフの族長ルナだ」
「族長自ら旅に出るとはね」
「あたしも色々と思い至る事があってな」
そのまま、王の間まで案内された。
今度は私達四人が。
そして、ウルドに今までの話しをした。
「そうか。
あの人間にあったのか」
「私はここを救いたい。
でも、同じ人間である彼も救いたい」
「マカ、お前のその欲望に満ちた顔。
少しは影響があったか?」
皆、歌を望んでいた。
歌う事を。
歌を聴くことを。
「話しを聞いた限り、あの楽譜は魔法の一種だと?」
とルナに問う。
「あれは、確かに魔術だ。
攻撃系やら付加やら。
それでもって、禁忌とも呼べる魔術。
刻印がある以上マカは正真正銘の魔術師だ」
「専門家から見ても異常な魔術。
だから、魔術がもっと発展している天界に行くと?」
「天使はエルフが存在するよりも前からいると聞いている。
なら、意見も聞きたい」
「その為に龍の村に行く必要があります。
そこからなら、天界へと通じる道があると聞いた事があります」
と言うアレク。
「確かにここまで来たら、天使の力に頼らざるを得ないのか」
と考えるウルド。
「よし、龍の村には話しを付けておく」
一同、喜び合う。
「だが、奴らを説得させるのはお前らだからな」
そうなるんだね。
「はい!
行ってきます」
四人は王の間を出た。
ウルドは一人、椅子に腰をかける。
行ってきます、か。
まるでここが家の様ではないか。
報告なんてもんも来なくてもいいのに。
数日前、奴らの心配をしていたアレクを送った。
そして、今日会ってみたらあの笑顔だ。
楽しいんだろうな。
マカと。
いや、あの仲間といられる事が。
吸血鬼やエルフの様に長生きする者にとっては、一時に過ぎない。
だが、それでも一緒にいる事を選んだ。
それだけ、彼女に惹かれたのだろう。
俺もそうなのかもしれないな。
しばらく、退屈だったからな。
この旅の行く末を見守ろう。
四人は都市を出て、龍の村を目指した。
「位置はこの都市から北にある」
魔界の最北端。
そこが龍族の領域になっている。
少し休憩をしている間に魔術についてルナに聞く。
それが日課となっている。
「マカ、魔術を使った時に疲れないか?」
「全然」
疲れは感じた事がない。
「つまり、魔力を消費していないんだ。
それか、何らかの形であたし達の魔術とは違うのか」
そうなの?
「闘いにおいて魔力の消費が勝敗を決める」
そうか。
魔力が尽きたら闘えない。
「どこからそんな沢山の魔力が供給されているのか知りたいぐらいだ」
そうなんだ。
私には分からない。
ただ、思っている通りになるから。
「おい、行くぞ」
と言い、シュバルツとアレクが起き上がる。
「うん!
続きは歩きながらね」
四人は次の目的地へ向けて歩みを進めた。




