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異世界で奏でる幻想曲  作者: kuh*
異世界へ
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謎の男

都を出て、数日が過ぎた。


このあたりは、夜叉も少なく進み易い。


歌以外の魔術もそれなりに使えるみたいで、日々ルナと特訓をしている。


「そう。

魔術はそれぞれの属性の精霊から魔力を供給するの」


確かに、歌を歌う時にしろ魔術を使う時にしろ光が放たれる。


水の歌は、青。


癒しの歌は、緑、赤、青、黄色。


それぞれ違う色の印が浮かび上がるし、光も違う。


「癒しの歌は、基本的にあたし達が使う治癒術と同じだな。

風、炎、水、大地の精霊。

全ての精霊の力が必要なんだ」


そうなんだ。


「精霊の詳しい話しは後だな」


精霊か。


会えるのかな??


「よし、休憩しよう」


稽古をしていたシュバルツとアレクも手を休める。


少し歩くと湖がある。


綺麗だなぁー


と湖を眺めていると隣にシュバルツが来た。


「いいな、こういうの」


「うん??」


「旅……だよ」


旅ね。


「初めてだから不安だけど、皆がいるから楽しいよ」


マカの笑顔を見て目をそらすシュバルツ。


「俺も始めてだ。

だから、楽しい」


「そっか」


いいもんね。


色んな人と出会って。


その時、何か寒気を感じた。


「どうした?」


気のせいかな??


と思った瞬間、私達のいる場所と反対側の湖にボロボロのローブを着た人物がいた。


私は急いで、走って行った。


「おい、マカ……!!」


シュバルツも追おうとしたが、霧がいきなり現れて追えなくなってしまった。


「くそっ!!

マカ!!」


確かこの辺りに……


湖の反対側まで来た。


「君は誰?」


目の前に男が現れた。


「おかしいな。

君は人間かい?」


「私はマカ」


顔はフードで見えない。


「そうか。

人間はあの時に全て殺したのに。

それに歌も封じたのに」


まさか!?


気付いた時にはもう遅く、腕を掴まれていた。


「どうして歌うの??

どうして人間が……」


マカの顔を手で上げる。


「君なら僕の呪いを解ける??」


呪い……


「僕はね、死ねないんだ。

呪いでね。

それも、厄介な者を受けてね。

人間を愛さないと死ねないんだ」


!?


「僕は人間が嫌いなんだ。

悪さをする奴らはもちろん、人間といてもいい事はないから」


それは、私が数年前まで抱いていた感情と同じだ。


風が吹いて男のフードが脱げる。


黒髪の右頬に魔術印が付いた青年。


顔立ちも整っている。


男はマカを自分の方へと引き寄せる。


そして、口付けをした。


!?


「んっ……」


突然の事にビックリするマカ。


男は離れて


「ふふ。

可愛い顔するね」


と言う。


「おい、お前……!!」


ハルバートを構えるシュバルツ。


「……吸血鬼か。

マカ、僕を殺せるのは君だけだ」


えっ??


「僕はもう、この長い人生を生きた。

君も思った事はあるんじゃないの??

人間はいらないって」


!?


「えっ??

なぜ、分かったかって??

君に触れる事で記憶をちょっとね」


と男はウィンクをした。


そして、今にも攻撃をしそうなシュバルツを見て


「ちょっと、しばらくこの子と話しがあるからゴメンね」


と言い、男は二人の周囲を黒い結界で囲んだ。


「おい!?」


ハルバートを使うがビクともしない。


「私は大丈夫だから」


そんな気がした。


彼から脅威を感じられないから。


「二人を呼びに行ってくる。

それまで、そいつに手を出すなよ」


と男に言い、その場を去ったシュバルツ。


「……彼、相当君を気に入っているんだね」


クスッと笑う男。


「自己紹介がまだだったね。

僕は南條勇美。

イサミでいいよ」


何か馴れ馴れしい。


本当にこの人が??


そうとは思えない。


「ちょっと、昔話に付き合ってくれない?」


「昔話??」


「ああ。

まだここに人間がいた頃の話し。

マカは歌が好き??」


「うん」


と頷く。


「そうか。

そこも含めて話そうか。

歌を封じた理由と人間を消した理由を」


それをなぜ、私に語るのかは分からなかった。


同じ人間だからなのか。


それにあの口付けも。


好意がある様には思えない。


記憶を見たって言ったけど……


でも、理由を話してくれるのなら手間が省ける。


それを知りたくて、この男を探していたのだから。


「マカ、まだ人間は嫌い?」


「正直、嫌い。

好きにはなれない。

いい事ももちろんあるけど。

けど、自分にとって不快な事とか文句を言われたらちょっとな。

色々、言い返したいけどね。

そうもいかない時もあるし」


そう。


特に接客業をしているとクレームがある。


その対処をしていると思ってしまう。


確かに自分のミスならしょうがない。


けど、そこまで言う権利があるのだろうか?


本心が見えないから。


言うだけ言っているのか。


またもや、作り話を作って相手を脅しに来たのか。


心の見えない人間は嫌い。


見ていてもイライラする。


「そんなマカにとっても為になる話しだよ」


と言い、イサミは話しを始めた。


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