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リンドウちゃんのお料理地獄 其の二

作者: + -

僕が死ぬまで縛るのをやめない! の番外編SSです。全話及び本編未読の方はそちらから読むのを推奨します。

※この作品はフィクションです。実在の人物、団体及び食材、調理法には一切関係が有りません。

「第二回~!」

「ユーレイと」

「リンドウの」

「「お料理教室ー!」


「今日も一度の失敗ではくじけないお料理教室コーナーの始まりだよ!」

「今回も味見役にはクロさんをお迎えしています」

「多忙なスミスさんは今回は調理道具の提供オンリーだね。少しだけ顔を出してくれると思うよ」

「じゃあ今回はほとんど二人ですね! 頑張りましょう!」


「今回の食材はこちら! 正式名称不明ムカデっぽいモンスターの肉だね!」

「ムカデって食べられるものなんですね」

「食べれるかどうかはリンドウちゃん次第だね! 甲殻類だからものとしてはエビとかカニに近いはずだよ!」

「おおー、なんだかリッチな感じがしますね!」

「いいね! 上手い具合にリッチそうに仕上げるのを今回の目標にしようか!」

「はい!」

「それで、リンドウちゃんはエビやカニの料理ってどんなものが思い浮かぶ?」

「エビやカニ、ですか? お寿司、とか?」

「そのくらいだよねー。というかエビはともかくカニって普段からそんなに食べるものじゃないからね」

「でもお米が有りませんよ?」

「うん、だから今日の献立はサンドイッチ! パンが保存食だけど、上手くいけば具材の水分で程よくしっとりするんじゃないかな! ムカデ肉はボイルして使うよ!」

「ボイルって、たしかゆでることですよね?」

「そうだよ。調理過程にカタカナを使うとそれっぽい感じがしていいよね」

「確かに! 私もそう思います」


「じゃあ早速始めようか。スミスさーん」

「道具だね。鍋、笊、フライパン、菜箸、お玉、木べら、包丁、各種さじ」

「前回と比べると驚きの充実具合だね」

「すごいです! 石が使われてます!」

「金属の加工には設備が必要だからね。今回はこれで頑張ってくれ」

「忙しい中ありがとう! 成果に期待しといてね!」


「さて、道具が出揃ったところで次は食材なんだけど、前回の教訓を胸に、今回は最初から自由! 肝心のパンと肉以外は好きなものを使ってね!」

「サンドイッチならやっぱりお野菜を入れたいですよね」

「具材によってはフルーツも良いけど今回は野菜かなあ。僕は街で売ってたチーズっぽいやつもいれてみようかと思ってるんだけど」

「じゃあ私はシンプルに葉野菜と塩コショウで行きます!」

「お湯を沸かしつつ野菜の下ごしらえからだね。まず、きれいに洗って土や汚れを落とします」

「採れたて

「次に、野菜を適度なサイズにちぎります」

「はい!」

「以上です」

「サンドイッチですもんね」

「うん」

「じゃあいよいよお肉を茹でようか」

「お湯沸くの早くないですか?」

「燃料や火力調節の仕組みがすごく気になるね」

「あ、燃料はこの前私が作った奴だと思います」

「そうなんだ。で、たぶんここが一番の難関だよ。リンドウちゃん、気合入れて行こうね!」

「はい!」

「僕から行くね。とりあえず、ものは試しで沸騰してるところにお肉を投入してみるよ。爆発とかしないといいんだけど」

「爆発したら材料が無駄になっちゃいますもんね」

「えっ、そっち? 調理補助にクロを呼ぶべきだった……? ええい、女は度胸だよ!」

「わわ、なんだかすごくたくさん泡が出てます!」

「爆発はしてない? 大丈夫?」

「泡と湯気がたくさん出てますけど爆発はしなさそうです」

「ふう、何が起きるか分からないドキドキを堪能したね。で、肝心のお肉は……」

「すごくちっちゃくなってますね」

「茹ですぎかな? でもまだ二十秒くらいしか経ってないよね……?」

「こんなに小さいとボリューム不足かもですねー」

「そして菜箸に伝わってくる感触がゴムみたいなんだけどどうしよう」

「溶かしたら柔らかくなりますかね?」

「オッケーリンドウちゃん、どこで見つけたのか知らないけどその瓶に入ってるものは間違いなく食品に使っていいものじゃないから片づけようか」

「う~ん、じゃあ叩いてほぐしてみたらどうでしょう」

「うん、いろいろ手を加えるとドンドン手が付けられないものになりそうな予感がするから肉の硬さは顎の力で克服してもらうことにしよっか。で、パンにバター的なものを薄く塗って用意した具材を挟んだら完成!」

「美味しそうですね!」

「見た目はね! 折れた歯って回復魔法で治るのかな……」

「心配しすぎじゃないですか? 次は私ですね! 強火で茹でると固くなっちゃうなら温泉卵を作る時みたいに低めの温度で茹でたらいいんじゃないかと思うんですよ」

「なるほど、あり得るかもしれないね。じゃあ鍋に水を足して温度を下げるね」

「温度指定は出来ないんですね」

「そんなイマドキな機能は流石に付けられないんじゃないかな。それどころかこの外見してつまみで火力調節できるところにすでに疑問がいっぱいだよ」


「そろそろいい感じですかね? お肉入れますね」

「湯気は…… 出てこない!」

「あ、お肉の色が変わってきましたよ?」

「エビとかも火を通すと表面が赤くなるよね」

「緑になってますよ?」

「緑!?」

「あっ、菜箸で触ったら崩れちゃいました」

「わあ~、煮汁に溶け出してるー。きれいなみどりいろだねー」

「どうやってサンドイッチにしたらいいんでしょうか」

「リンドウちゃん、流石にそれは食べられないんじゃないかな……」

「煮詰めて水分飛ばせば固まると思います! それとも冷やすべきでしょうか?」

「え? えっと、う~ん…… 素直に次に期待じゃダメなの……?」

「食べ物を粗末にしたらダメなんですよ?」

「うん、そうだね…… 僕が間違ってたよ……」

「せっかくですし香辛料も混ぜ込んじゃいます」

「食用じゃないものが混ざってそうなのに見た目じゃ区別がつかない……! いやでも飲み薬に使うものなら味はともかく害はないはずだよね!」

「あ、いい感じに固まりました。どのハーブがよかったんでしょうか。後で一つ一つ確認してみないとですね」

「やっぱり駄目な気がしてきたよ……」

「後は鍋から出して粗熱を取って…… こうしてみるとハンバーガーのお肉にちょっと似てません? サンドイッチにしてもいい感じになりそうです」

「緑だからセーフ緑だからセーフ」

「で、最後にパンで具材を挟んだら完成ですね!」

「ごめんねクロ、僕にはどうすることも出来なかったよ……」

「ユーレイさん?」

「あ、なんでもないよ。じゃあ僕が機材の片づけをやるからリンドウちゃんはクロのところに持って行ってくれるかな?」

「ありがとうございます! いってきます!」

「最後に締めの挨拶だけ…… 行っちゃった」




「……コホンッ。 さて、突然ですがこのコーナー、次回からはユーレイとリンドウのお料理教室改め、リンドウのお料理教室になるよ。僕は引退って形になるけど、今のリンドウちゃんなら一人でも大丈夫! これからも頑張ってね! それじゃあ、今日はここまで~。ばいば~い」




※スタッフに支社重症者が出るような事態にはなりませんでしたのでご安心ください。


ここからが…… 本当の地獄だ……っ!


クロ「サンドイッチ二つ食べただけでそのあと丸一日飯が食えなかった」

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