【ちょっぴり複雑な関係】
私、天野直美、15歳.
高校1年生の女の子。
前回の続きから、
興味無き方はスルーしてね。
女の人のやや後ろを
ついて行きながら、
行く道々、観察してみる。
身長は、私より、やや低め
(私は165㎝)
髪はかなり長めのストレート
薄いピンクのスーツが、
とっても良く、似合ってた。
かなり綺麗な人で、
女の私でも、見惚れてしまう程。
少し、緊張しながら、
後ろをついて行く。と、
すごく大きな家に、入って行った。
門を抜け、玄関へと…
凄い、吹き抜け…
ボーッと、していたら、
『どうぞ、入って。』
と、言われたので、
『ぁッ…お邪魔します。』
と、答えて、あがる。
玄関から、さほど、遠く無い、
部屋に通され…
目の前の、ソファ~を、
私にすすめて、
『ちょっと、待ってて!』
と、言い、部屋から出て行った。
しばらくすると、
何か、箱の様な物を、
抱えて、戻って来た。
私に面と向かいながら、
『あの…
助けて頂きありがとうございました。』
ッて、改まって、頭をペコリと下げられて…
『ぁッ…いいえ…。』
と、軽く答えた。
だって、口を開くと、
ほっぺたが、痛くって…
その人は、箱を持ったまま、
私のそばまで来て、
隣に腰を掛け、
箱を開けながら、
『それと、
手当てしたいんだけど…
サングラス…取ってくれ無いかな?』
私は咄嗟に、”ヤバイ”って、
思ったけど…
顔を見られていた事を、
思い出して、
素直にサングラスを外した。
『ありがとう。
眼をつぶって、
そのまま、ジッとしててくれる⁈』
少し、戸惑いながら、
それに従うと、
消毒薬の匂いがして、
冷たい感覚と、
ビリビリする痛みに襲われた。
我慢出来ずに、小さく声を漏らすと、
『ごめんなさい。痛かったですか⁈』
治療をしてもらってるのに、
止めてほしいとは、言えず…
『ぁ…いいえ…』
と、答える事しか出来なかった。
『はぃ…もぅ終わりょ。
でも、ねんの為に、これで冷やすと良いわ』
やっと苦行が終わり、
冷たいタオルを受け取って…
(タオルの中には、保冷剤が…)
無言のまま、ほっぺに当てた…
うーん、気持ち良い…
薬を箱に仕舞うと
『今、飲み物を持ってくるわね。
コーヒーで良いかしら?』
『あッ…はぃ…すみません。』
私が、うなずくと、
また、箱を抱え、部屋を出て行った。
取り残された私は、
タオルの冷たさに、ウットリしながら…
辺りをキョロキョロ…
アンティークな調度品で
飾られた、室内は、
レトロ満載で、何故か落ち着く…w.
癒され気分で、
ホワワーンっと、浸っていたら…
彼女が、
コーヒーポット、ミルクポット、
シュガーポット、と、
コーヒーカップ2つが乗った
トレーを持って入って来た。
テーブルに、ソレを置いて、
カップにコーヒーを注ぎながら…
『自己紹介、遅れちゃって、
ごめんなさい…
私、上杉沙織里、年齢20歳
大学生ょ。…貴方は?』
えっ⁈
それを聞いて、驚いちゃった。
こんな事、言うと、
失礼かもしれ無いけど…
とても、大学生には、見えなかった。
ナンカ…幼くて…
なんて、考えてたら…
自己紹介を終えた彼女
(上杉沙織里さん)は、
コーヒーを注ぎ終えると、
私の前に、カップを置き
ジーッと見てる…
あッ⁈
イケない…
私だって、男に変身しょうと
思った時…
名前くらい、考えた。
『えっと…俺、
天野良、トシ16…』
と、ドキドキしながら答えた。
その言葉に、沙織里さんは、
えっ⁈
っという顔をして…
…とっさに、女の子だって、
バレたと、思って…
動揺していると…
意外な言葉が、沙織里さんから出た。
『へぇ〜。じゃあ〜ウチの弟と、
同い年なんだァ〜
私、もっと、年上かと、思っちゃった。』
って、ニッコリ笑った。
その笑顔に、何人の人が、
癒されるだろう?
それほどに、可愛すぎたw
なので、ホンの遊び心で、
『年上って⁈イクツぐらいに?』
って、聞いてみた。
『そぉねぇ〜20〜30くらいかな⁈』
何やら、戸惑い気味に言われて…
えっ⁈
そんなに老けてるの?
私の男の子姿⁈
少し、ショックを受けている…
私に、気付いた様子も無く…
『ウフッ!
ごめんなさいねぇ〜。』
なんて…
『そんなに老けて見られてたなんて…
ショック〜w。』
やや、大袈裟にリアクション…
身体や、口の痛みを気にしながら…
だけど、
ウケまくってる沙織里さんが、
可愛くて…
私も、笑っちゃった…
どうやら、沙織里さんは、
私を、本物の、男の子だと、
思い込んだみたい…
(ヤッタァ〜‼︎ウレシィ〜‼︎)
って、思ってしまった…
私って、変かしら?
それから…
意気投合した、私達は…
色々な話題で、盛り上がった。
(自分の事、家族の事、
趣味や、今日の不良達の事…)
時を忘れるくらい…
話し込んで、しまったら…
辺りは、すっかり暗くなっていて…
『あのーもぅ…。』
と、切り出した。
『あっ!ごめんなさいね〜。
引き留めちゃったみたいで…。』
『いいえ…こちらこそ…
すっかり、ご馳走になってしまって…。』
ソファ–から…腰を浮かせながら…
頭を下げた。
『今日は、本当にありがとう。』
改まって沙織里さんに
頭を下げられて、
私が、それに、返事を返そうとしたら…
『たっだいまー』と、
元気良く、誰がが、帰ってきたの⁈
とっさに、私は、サングラスをかけ、
『どうも、コーヒーご馳走様でした。』
って、早口で言ぃ、
急いで、帰ろうとしたら…
『あっ!待って!弟を紹介するから…』
って、その、誰かを、呼びに、
部屋から出て行って…
直ぐに戻って来た、
沙織里さんの後ろには、
私をジロジロ見ている弟さんが…
そして、
その弟さんを紹介してくれた。
名前は《和也》君…
少し、緊張気味に
『はじめまして、天野です。』
頭をペコリと軽く下げた私に、
何故か、ムスッとしながら…
無言で軽く頭を下げて、
『姉貴、俺、忙しいから、
もぅ、いいだろぅ。』と、言って、
サッサと部屋から出て行ってしまった…
(何⁉︎)
呆気に取られている私に…
『ごめんなさいね…』
なんて…
沙織里さんが悪くないのに謝られて…
私が、首を横にふると、
『今日は、本当にありがとう。』
なんて…改まって言われて…
『あッ、いいえ、
それじゃ〜お邪魔しました。』
沙織里さんに玄関まで送ってもらい…
少しの迷いで家路に着いた。
帰り道、コインロッカーに
入れといたスポバと、
コンビニで夜食を買って、
マンションに帰り着くや、
直ぐに、シャワーを浴びた。
浴室の鏡に映った私の姿は…
酷いモノで…
(右眼の横と、鼻の頭と頬っぺたは
スリムケてたし…
左側の唇は切れてて、腫れ上がってるし…)
これじゃ〜痛いはずよね〜
幸いサングラスのおかげで、
人に見られずに、すんだけど…
掛けてなかッたら…と、思うと…ゾッとする。
ジロジロ見られるのは…
あの日を思い出すから…
顔や身体(青アザだらけ)の
手当を終え、夜食を取って、
疲れと、痛みのせいで、
早目に床についた。
今日は、大変な1日だったなぁ〜
明日、日曜日で、良かった…
なんて、考えてるうちに、
眠りについた。
それにしても…
私って、
案外、勇気があったんだァ〜(笑)
自分を褒めてあげたい。
お昼近くに目が覚めて…
今日は父との
約束の日だったのを思い出した。
でも、
こんな顔を見せる訳にはいかないので、
友達と約束したと嘘のTELを入れた。
幸い父は仕方無いと
信じてくれて助かった…
今日は1日ゆっくり出来る…
(良かった…)
まだ、少し痛むし疲れていたから…
月曜日、
少し腫れが引いので、学校へ…
私が予想した通り…
クラスメイトの子達が、
怪我に付いて聞いてきた。
それが、とっても嫌だったけど…
親戚の引越しの手伝いで、
山積みの荷物が落ちて来て…
なぁ〜んて、我ながら凄い嘘(笑)
皆(先生まで…)
それを信じて…
心配してくれたけど…
一部の男子には、
レイプだ、親父に殴られた、とかって…
失礼しちゃう!
半分ウンザリ…
どうしてクダラナイ憶測で、
あんなに盛り上がれるのか?
理解出来無い…
疲れ気分のまま…
学校のスケジュールを
難無くこなし、
放課後…
クラスメイトに別れを告げて、
何時もの様に、駅のコインロッカーヘ…
女子トイレで、男身に変身して、
サングラスをかけて、
ゲームセンターヘ…
どのゲームをしようと、
アッチコッチ物色していると…
F-1ゲームマシーンの側にいる…
あの人達は⁈
確か、昔、私を虐めていた…
奴らだ‼︎
あの日
受けた心の傷が、
”ズキリ”と傷んで…
気分が悪くなってきた…
そこから…
逃げる様に、駆け出そうとした、
私の肩を…
誰かが、突然⁈掴んで…
『よぅ⁈』
なんて…
明るく声をかけ掛けてくる…
誰⁈
恐々振り向く…
そこには、
上杉沙織里さんの弟の
和也くんが…⁈
『わぁ〜りぃ…俺、覚えているか?
この前は、悪かったな…
姉貴から…聞いたぜ、お前、やるじゃん!
俺、てっきり、
姉貴の恋人かと、思っちまって…
怪我…大丈夫か?』
なんて…
少し照れ臭そぅに…
私は、あの時の和也くんの
表情や、態度を思い出した…
そぅ言えば…
ジロジロ見られていた様な…
なぁ〜るぅ〜
そういう事かぁ〜(笑)
私が、”クスッ”っと笑ったので…
恥ずかしそうに…
近くにあったゲームをやり始めた…
(フフッ…なんか、可愛い…)
それから…
私達は会話をしたり、
ゲームをしたり…
男の子になって…
はじめて、本当の男の子と遊んだ…
(男の子の価値観を学ぼうと…
真剣に研究しちゃったw)
和也くんは、
友達の事、
沙織里さんの事、
学校の事、
を、色々教えてくれた…
そうしているうちに…
外はすっかり暗くなって…
『今、何時?』って、聞かれて…
『8時過ぎ』って、答えると…
『うえぇ〜ッ‼︎もぅ…そんな時間かょ〜
ヤベェ〜なァ〜⁈』
何やら、悲痛な叫び…
どうしたのかなって…
不思議に思っていると…
『あのさ〜ワリィ〜けど、
今日、
俺と一緒に、帰って、
姉貴に俺と遊んでたって、
言ってくれないか⁉︎』
だ、なんて…
えぇ〜‼︎