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探偵と迷子

 フラグが立った様に思えても、実際この現実に置いて、何かBGMが流れるわけでもないし、何か特別に分かりやすいことが、起こるわけでもない。


 ただ何時もより、緊張していると言う点は、否応無しに自覚しているのは、僕の胃が痛みを自己主張していると言う点からも明らかなようだ。


 探偵という程に探偵として、何かしたという自負は無いけれど、この屋敷へとくる前よりは、探偵というものへ、進めているのかもしれない。


 そんな奢りを打ち砕くためか、あるいは緊張のせいで、頭どころか、足すらも何処をゆくのかわからなかったのか、見慣れぬ廊下へと出ていた。


 そこそこ迷わなくなったとはいえ、それでも屋敷の中で、迷子になりそうな程に、この屋敷は豪勢で広く、入った事の無い部屋だってあるので迷うと言うことだってあるだと、僕自身に言い訳をする。


 時間をかければ、割り当てられた部屋へと戻る事は出来るのだから、落ち着けばいいのだ。


 窓から見える景色や、廊下に置かれている絵画や花瓶、装飾品を頼りにすれば、そう難しい事でも無いだろう。


 窓の外の景色を落ちついて見れば、見覚えがあるのだが、絵画や花瓶、花なども言うに及ばず装飾品、見覚えが無い。

 いや、記憶があやふやで、混乱しそうになる。


 ここを歩いた記憶は本当にあるのか、あの絵は見た記憶は確かか、この場所はこんなニオイだったか、五感の記憶が、迷子の僕を追い詰めて行こうとする。



「こんな場所で、何をやっているのですか」


 川中さんの冷たい声は、こんなにも優しく感じてしまうものであったか?


「道に迷いました」

「馬鹿ですか貴方は」


 返す言葉も無い、お叱りを受けてしまったが、それでも安堵した。


「全く、パーティーの為に模様替えをしたら迷うなんて、本当に馬鹿ですね」


 なるほど、模様替えしたから、雰囲気が変わって、迷ってしまったのか。


 普段と違うと言うものは、特別に分かりやすいことではない。


 ほんの少しずつ、変わっていくことに気がつけるかどうかと言う事に他ならないのかもしれない。


 そう考えると、今日はもしかしたら特別な日になろうとしているのかもしれない。


 和歌子お嬢様のフラグが、特別な日へと導いているのかもしれない。


 探偵として気づけ無いと言う、迷子で致命的に駄目な僕はそう思った。


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