探偵と親子
他人の両親を見るなんて、高校時代の卒業式以来では無いだろうか。
そう考えるとそんなに年数は、立っていないけれど、やはりこの状況はおかしいと思う。
学校行事じゃないのに、他人の両親に会うという事を意識すると、緊張感が半端なく、心身を束縛していく。
出来るものならば、大声で叫んで、この部屋と言わず、屋敷から逃げ出したい。
和歌子お嬢様もそうであるが、いやこの場合は、このご両親だから和歌子お嬢様もと言った方がある意味正しいのかもしれない。
ご両親ともに、絵に描いた様ない金持ちのご夫婦であると、一目見ただけで、丸わかりという言葉が、当てはまる。
まず、和歌子お嬢様のお父さんだが、世の中のお父さん、大体の中年男性と変わらないコロコロっとした体つきに、全体的に柔らかそうなぷるぷるしている顔に、特徴のある髭をしており、これにシルクハットさえ被っていれば、カジノのイメージキャラクターに抜擢されるのは間違いないだろう。
そして、和歌子お嬢様のお母さんは、そんなお父さんに寄り添うように、澄ました顔が妖艶に映り、所々で服や首元、指先、髪などから煌びやかに装飾品が主張していて、お母さんの美貌と相乗効果で、見ていたら目が潰れそうになる気がする。
「父の折神米吉と母の玉櫛だ、立川さんにとっては最後の容疑者となるだろうか」
「あははは、相変わらずだなぁ和歌子は」
「ごめんなさいねぇ、もっとお淑やかに育って欲しかったのに、物騒な事しか言わないんだから」
「まぁあまり、育児なんて二人ともしていないからしょうがないじゃあないか」
「それもそうね、私達は遊び回っているものねぇ、そんな事をいう資格は無いわよねぇ」
「そうとも、遊んで暮らせるのに子育てしていては、本末転倒と言うものさ、早く憂いなく遊びたいものだ」
「私を殺す動機としては十分だと思わないか立川さん」
「和歌子は物騒だねぇ」
和歌子お嬢様の紹介で、気分を害していない何処か、あたかも家族の団欒をとっているような雰囲気ではある。
内容はちっとも談笑出来るものでは無いのだけれども、それでも談笑している所は、親子なのかもしれない。
そんな談笑に水をさすことなどとてもできず、いやどう答えたらいいのかわからない、僕は奇妙な親子を目が潰れぬ程度に見るしかなかった。




