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探偵と密室

 密室殺人事件


 苦しく、立ちはだかる壁の様に、難解とも思える事件の代名詞でもあるものが、密室殺人事件であると言えるだろう。


 そして、その密室殺人事件に、星の数に登るのではないかと思うぐらい、名探偵達は、遭遇して、否定してきた。


 さながらUFOの様に、目撃したのに、今もなお、否定されてしまう存在のようである。


 数々の名探偵達は、密室殺人事件なのではなく、密室に見せかけた殺人事件だと、そしてそれを証明するかのように、殺人事件のトリックをあばいていく。


 立ちはだかる壁すらも、壊していく様に、華麗に謎を解く姿に、探偵としての華があるのかもしれない。


「何を現実逃避しているんですか、むしろ現実逃避したいのは、こちらですよ」

「何か喋ります?」

「いえ、とりあえずブツブツ言いながら、頭を抱えないでください、不愉快です」


 川中さんのメガネの奥の瞳には、僕がさぞ違和感、あるいは邪魔なものとして、写っているだろう。


 何せ、部屋の主たる和歌子お嬢様はおらず、明らかに豪華で高い調度品の家具は、僕を違和感の原因のように、浮きだたせていて、僕が現実逃避もしたくなると言うものである。


 こうなった原因と言うものがあれば、密室殺人事件が、探偵にとって一つの華である事が、原因と言えば、原因の一つである。


 和歌子お嬢様が、密室殺人事件の被害者になったときに、このお嬢様の部屋が、密室殺人事件の現場となるだろうと、嬉しそうに語る迄は、まだ理解ができる。


 しかし、その、現場になる前に、部屋を観察して、現場となった時の違和感で、密室の謎を解くヒントになるかもしれないからと、和歌子お嬢様の部屋を観察、あるいは探索をする事となったのは、相変わらず理解ができないし、もちろん、女の子の部屋を観察、探索する程の、度量はもとより、どうすればいいのか何て、僕が知る由もないので、入ったところでどうしようも無いのだが、お嬢様の部屋で、妙な変質な事をしそうだと言う、濡れ衣を、最速で着せられ、川中さんが監視役で、一緒に部屋に入った。


 川中さんが、一緒に部屋に入ったところまでは、当然と言うものだが、その後、お嬢様の部屋の鍵を外側から、和歌子お嬢様にかけられたのだ。


 和歌子お嬢様の部屋は、内側から開けると言う事は、できないという、鍵をどうにかすれば、密室殺人に憧れすら抱くお嬢様の望む通りになれそうだ。


 閉じ込められた事で、密室での殺人について、考察できそうであり、もしかしたら、和歌子お嬢様の考えもそこらへんにありそうだ。


 いや、問題はそこではない。


 密室に、若い男女がいると言うのも問題ではあるが、会話の続かない気まずさや僕の川中さんへの苦手意識、川中さんの僕に対する敵意、そして気恥ずかしさが、僕の胸と胃を襲う。


 もしかしたら、この密室で心労で死んだ場合、和歌子お嬢様は、密室殺人の犯人になるのかと、くだらない事を考えながら、早く解放される事を祈っていた。



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