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探偵と写真

 

 今や写真をとる機会というのは、携帯やスマホの普及に伴って、格段に増え、なんだったら今は動画だってあるのだから、便利ないい時代になったものである。

 しかし便利ないい時代も、何もデメリットがないと言うわけではない。


 例えば携帯やスマホでとれると言うことはね誰だってそれを悪用する事だって可能だし、性能が向上すればするほどに悪用する価値だってあがるだろう。

 誰だって、簡単に悪になれると言うことだ、果たしてそれを便利ないい時代と言えるだろうか?


 もしかしたら便利ないい時代と言うのは、それを善きにしろ悪きにしろ活用する人が決めるものだろう。


 ならば探偵にとってはどうだろうかと問うとすると、便利ないい時代と言わざるをえないだろう。



 写真の中から日時、とった場所、写っている人の関係性など、犯人や事件につながる情報を見つける。

 写真を証拠や根拠としたり、写真から疑いをもった依頼人というのもいるかもしれない。

 情報だけでなく、飯の種にすらなっている。


 探偵として日の浅すぎる僕がこれだけ思い付くのだから、探偵にとって便利ないい時代と言っても差し支えないだろう。

 

 つまりは、探偵にとって写真というのは、何らかの形でかかわってくるというものである。


 夕食もすみ、姑のような2人にも参加しながら、お嬢様に今日のお仕事状況を報告する、なんだか就職や結婚をせかされて、嫌みを言われるそれなりの男性の心境が少しわかるようなわからないような、報告をする時に、そういえばロボ和歌子初号機が、写真を見たがっていたという事を思い出し、探偵の報告の水増しのようではあるが、その部分を付け加えて、報告をした。


 小さいころの写真というおおよそ普通の家庭では、親だったりが保管していて、大きくなるにつれて昔はこんなにかわいかったのにという愚痴なのか、のろけなのかわからないような精神攻撃をするために、ありそうなものではあるが、お金もちともなるとそんな写真なんてものを一々とらないのだろうか。


 首を横に振った。


「私の小さい頃の写真なんて会社の創立パーティぐらいだから、二人で並んでとるというのはないわね」


 そういうと緑川さんを見てみるが、そちらもお手上げとばかりに動作をするだけだった。

 

「学校とか幼稚園のアルバムとかには写ってないんですか」

「ない」

「やっぱり仲が良くなかったんですか」

「なんでそうなるんだ、このダメロボ」


 まぁ写真なんて本当のところなくてもいいのだが、小さい頃にあそんだ二人の姿が目視できれば、仲がいいとロボ和歌子初号機も理解できただろうと少しばかり残念ではある。


なので、緑川さんを煽ったりするのはやめてください。


「小さい頃のお二人が見れなくて残念ですね所長」

「なんとなく誤解が生まれそうだから、本当にやめてくれ」


 現にロボ和歌子初号機の言葉に反応したのか、緑川さんや川中さんの眉が隠すようすもなく、皺を寄せ始めている。


「私の小さい頃の写真なんてみても面白いものではないと思いますが、捜査の役に立つかもしれませんし立川さんに見せましょうか、まぁつまらないと思いますが」

「わかりました、お嬢様がいうのであれば、おもちいたしますのでしばらくお待ち下さい」


 お嬢様の言葉に従って、もってきた写真は会社名と創立記念と書かれた垂れ幕の下にお4、5歳ぐらいなちいさなお嬢さまが立っている。

 ふわふわしている可愛いドレスとは違い、凛としている姿には無邪気に笑うということもしない姿だった。


 実家に帰れば、あほのような面をしてピースとかしていた何も知らない自分の子供のころの写真とはうって変わっている。

 本来、小さい頃の写真なんて気恥ずかしさと可笑しさというものがあるはずだが、この写真からは一切そういった面白さのかけらもない。


 そういった場面だと言われてしまえば、その通りなのだが、お嬢様の隣にいる関係者であろう数名の子が、そのような笑顔であるのに比べてしまうからよほどそう思ってしまうのだろうか。 

 

「ねっつまらないでしょ」

「こういう時なんていうのが正解なんですかね」


 いや、僕に聞かれても一番困るし、本人がつまらないと言っているのだから、軽くのかっるように、そうですねぇつまらないでもいいと思うのだが、さすがに写真をみてその感想もどうかとは思う。



「小さいですね」

「小さい頃の写真ですから」


それほどの感想をいうことに留めた。


アホな雰囲気を漂わす一枚、今の状況を暗喩するような一枚、実家に帰れば黒い歴史を作り上げた数々のどうでもよい写真を母が、保管しているだろう。


そんな僕自身の写真と比べようもないぐらいに、この頃から利発そうで、凛として輝くような子だ。


小さい頃の写真がこのような写真しかなくても、写真でのお嬢様の寂しさとかを決めるわけでもないのだ。


写真は何も語らず、ただ写すだけだ。


余計な感情はただただ、見た人が勝手に想像し、推理するだけだ。


お嬢様が子供に不釣り合いなほどに笑っていなくても。

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