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「単刀直入に言います。あなたがテラに襲われた所を私が救出しました。
そして、あなたも私と同じように感染者になることなく、傷口を自己治癒しました。」
「悪い。そんな真顔でSFっぽいこと言われても、全く実感が湧かないんだ。冗談なら、もっと面白いのにしてくれないか?」
無言で薄氷アリスは立ち上がると、何かを取り出しーーその先から武器のような形態の何かを取り出して俺の方に向けた。
向けられた何かは形を変えて、俺の頬をそれは掠めた。
「おいってめぇ。俺を殺そうとしてるのか?」
頬からは血がダラダラと滴り落ちていて痛みだってある。
だが、それもすぐに治ったようで傷口はなく、痛みすら感じなくなっている。
「理解できましたか? これでも理解できないなら、次は腕の一本をもらうことになりますが、それでもよろしいですか?」
「あぁ、わかったよ。わかったから、もうやめろよな」
「そうですか。分かればいいんですよ、わかれば」
物騒すぎだ。全くもって言動と行動が理解できない。
それになんだ。目の前の薄氷アリスという人物は、よくわからない武器を所持している。
しかも、その武器は形を変えて俺の頬を掠めてしまう通常の理論が通用しない得体の知れない物だって、俺でも理解できる。
「何なんだよ、それ! 伸びただろ」
「説明してませんでしたね。これは化器です。BKTが開発したテラ討伐を目的とした専用武器です」
「そうなんだな。理解できたよ」
実際は全く以って理解できていない。
けれどーーここで下手に分からないと言ったら、また体で覚えさせられるからかもしれないからだ。
だが、俺の思惑は外れたようでアリスは物々しいアタッシュケースから何かを取り出すと。
「これが、あなたの化器です。さっそくですが、適性検査を受けてもらいます」
「ちょっと待てよ。なんで、そんな訳のわからん武器の適性検査を受けなきゃならねーんだよ」
「あなたにしか扱えないからです」
全くもって理解不能なのだか、彼女の目線に逆らえなかった俺は化器という武器を持たされる羽目になった。




