第二章 高峰家で勉強会3
◇高峰 想次◇
昨日は眠いのを我慢して宿題を片付けたおかげで何事もなく午前の授業が終わり
昼はみんなで学食を食べて
そしてとうとう放課後になった
(楓)
「さて、これから想次の家で勉強会といきますか」
(今日子・樹・遊馬)
「おー」
(想次)
「ノリノリだなお前ら」
勉強会なんて言ってるけど目的は忍に間違いない
前もって予防線を張っといた方がいいな
(想次)
「親戚が前に住んでたとこってすっごい田舎でこっちの常識とか色々足りないとこがあるかもしれないけど勘弁な」
(今日子)
「白い羽の奇跡の物語の舞台みたいにすっごい田舎町だったりして」
(想次)
「一応母さんにあれこれ教えてやってほしいと頼んでるけどあの母さんだからな」
(楓)
「お…、想次のお母さんか、確かにそんな状況だと面白いことでも吹き込んでるかもしれないわね」
ちなみに母さんに対しておばさんは禁句である
楓はそれをよく知ってるからさっきも言いそうになったのを止めて言い直している
(樹)
「俺は別に変わった娘でも構わないぜ、可愛ければな」
はいはい、こいつはこういうやつだ
話しをしてる内に俺の家についた
ピンポーン
(想次)
「ただいまー」
インターホンから母さんの声が返ってくる
(母さん)
「おかえりー、あらっ友達も一緒に来てるのね」
(母さん)
「私はちょっと手が離せないから忍お願いね」
ドアを開けて入ると忍が出てきたとこだった
(忍)
「お帰りなさいお兄さん」
(忍)
「…?、お兄さんのお友達?」
(樹)
「はいはいはーい、俺は想次のクラスメートにして親友の久瀬 樹、よろしく」
(樹)
「それでとても可愛らしいお嬢さんのお名前は…」
ゴス…
楓のやつ容赦ねえな、カバンのカドが頭にめり込んでるぞ
(楓)
「ごめんなさいね、こいつちょっと可愛い娘を見るとすぐこうなっちゃうのよ」
(楓)
「悪いやつじゃないんだけどね、あっと…私は橘 楓ね、想次とは幼馴染よ」
(忍)
「あっ…、いらっしゃいませ」
どうやら忍のやつ、楓にペースを乱されたみたいだな
それにしてもこの挨拶は接客業の挨拶じゃないか
何考えてるんだ母さんは
(今日子)
「私は想次の幼馴染で今井 今日子って言うの、よろしく」
(遊馬)
「同じく小西 遊馬です,よろしく」
(忍)
「よろしくお願いします」
(想次)
「それじゃ、こいつ(樹)が静かになってる間に俺の部屋に…」
(楓)
「ちょっと待って、その前にあの娘の名前を教えてくれない」
と言って忍を指さす
(忍)
「わたしですか」
(楓)
「そう」
(忍)
「わたしの名前は高峰 忍です」
(今日子)
「忍ちゃんかぁ、よろしくね」
(忍)
「よろしくお願いします」
そーいや今日子は可愛いものが好きだったな
白のワンピースに金髪セミロングの小柄な美少女…
今日子が興味を持って当たり前か
(想次)
「今日はみんな俺の部屋で勉強してるからな」
(忍)
「わかりました」
(母さん)
「後で差し入れ持っていかせるからね」
(楓)
「楽しみにしてまーす」
ジュースやお菓子などの差し入れは正直大歓迎だ、だがしかし何故か嫌な予感がする
約一名引きずってみんな俺の部屋にやってきた
(楓)
「あんたの部屋は久しぶりだけど変わり映えしないわねー」
(遊馬)
「ほんとこざっぱりしていて部屋を趣味が侵略するとかいった心配がありませんね」
(想次)
「それはお前だろ」
(遊馬)
「そうだけどね」
(今日子)
「私も他人のことは言えないな」
こいつの場合はアニメ関係+コスプレに侵略されてるからな
(樹)
「男の部屋に来てまずやることはなんだー」
いつの間にか復活してる樹がそう言い出すと
(今日子)
「はいはーい、それはベットの下の探索に決まってます」
今日子が呼応するように応える
(樹・今日子)
「というわけでチェックチェック」
(想次)
「やめい、何も出ないから」
(樹)
「ちぇ、ほんとになんもないでやんの」
お前らは俺を何だと思ってる?
(今日子)
「からかえるネタの一つでも出てくるかと思ったんだけどね」
聞くまでもなかったか…
(想次)
「ともかく勉強会を始めるぞ、まずは数学からやっつけるか」
こうしてなんとか勉強会は始まった
数学は樹の得意分野だ、数学のためだけに樹を勉強会のメンバーに入れてると言い切れるくらいだ
樹が数学、俺が現国、遊馬が理科系、楓が社会、特に歴史関係は無双、今日子は音楽とそれぞれ得意分野が違うためこうして集まって勉強会をやると凄まじく効率が上がるのだ
勉強会が始まってそろそろ数学が片付くあたりで忍が差し入れを持ってやってきたのだが…
コンコン
(忍)
「差し入れ持ってきた」
(想次)
「おう、今開ける」
ガチャ…
迂闊だった、母さんがこういう機会を逃すわけがなかった
忍はメイド服にネコミミ、それもご丁寧なことにねこしっぽにねこ手袋まで身に着けた完全武装で差し入れを持ってきたのだ
(樹)
「忍ちゃーん」
早速理性を無くしたバカが両手に持ったトレイに人数分のコップが乗っていることも忘れて忍に飛びつこうとしたがいち早く反応した楓にチョークスリーパーで押えられている
俺は楓に向けて突き出した親指をクリッと回して下向きにした
地獄に落とせのブロックサインである
コクリと頷いた楓はチョークスリーパーに力を込めて本格的に落としにかかった
あっ、樹のやつ泡吹いてる、同情する気にはなれないけどな
(今日子)
「うわー、うわー」
何か今日子のやつが手をわきわきさせて目をらんらんと輝かせているんですけど~
近寄りがたいほど異様な雰囲気(オーラ)を出してるんですけど
でも何とか理性で抑えてっぽい、これも楓効果かな?
出来ることなら帰るまでそのまま理性で抑えててくれ
忍はそれを無視して淡々と勉強会で使ってる机にコップを並べていく
(忍)
「飲み物はこちらになります」
そう言って業務用の袋からオレンジジュースなど数本の1.5ℓ(りっとる)ペットボトルを取り出した
(今日子)
(今は大丈夫、今は大丈夫よね)
今日子がいきなり忍に飛びついた
(今日子)
「かわいいー、かわいいかわいいかわいいー」
これが殺意を持った攻撃なら、忍ならどんな状況であろうと対処出来たであろうがまるっきり殺意がなかったため今日子に押し倒されてしまった
(今日子)
「ネコミミににくきゃーにメイド服にもう可愛すぎるー」
(忍)
「あの…、ちょっと…、その…」
子犬か何かのように抱き付いてきてひたすらすりすりしている今日子に忍は困惑している
(楓)
「ちょちょちょっと今日子」
楓も何とかしたいと思ってるようだが樹を完全に落とさないと不安で離すわけにもいかないらしい
結局俺と遊馬の二人がかりで引き剥がすことが出来た
(想次)
「忍、早く私服に着替えてくるんだ」
(忍)
「はい、了解しました」
(今日子)
「あーん、ネコミミー、メイド服ー」
忍が部屋から出たことで樹は落ちる直前で解放された
それからなんとか今日子を落ち着かせてから飲み物を全員のコップに入れ差し入れとして用意されたお菓子の箱を開けて勉強会を再開することになった
その後は現国と社会が終わったとこで晩御飯になりみんなも食べていくことになった
(母さん)
「みんながいる時は鍋物に限るわね」
という言葉通りテーブルの真ん中にはどんとおでんが置かれていた
(想次)
「それはいいけどあのネコミミはなんなんだよ母さん」
(母さん)
「あーゆー恰好の方がインパクトあるじゃない」
(今日子)
「そーですよねー、あーあのにくきゅーもっともふりたい」
(母さん)
「わかってるわね、ならこれ欲しくない?」
といって今日子に見せたのは携帯の写メ(忍ネコミミメイド)だったりする
(今日子)
「欲しいです!」
良いように釣られてるな
(楓)
「しっかし普通あんな恰好させます?」
(母さん)
「そうは言うけど本当にああいった格好で接客する喫茶店ってあるのよ」
(忍)
「ネットで見た喫茶店とやにはメイド服を着ていたのはどこも同じだったがネコミミというものは着けていない店もあった」
(忍)
「というか着けていない店の方が多かった」
(忍)
「だけどお母さんがつけた方がいいと強調したので」
(想次)
「わかってる、反論出来る材料がなかったんだな、忍は悪くないぞ、忍は悪くないぞ」
ちなみに忍は既に着替えていてシャツとスパッツを着ていた
(樹)
「そう悪くない、だからもう一度俺にネコミミメイドを見せてくれ」
(楓)
「あんたまだ懲りてないの(ゴゴゴゴゴ…)」
すげえ、忍が思わず身構える程の殺気だ
それに今にも「オラオラ」「無駄無駄」をやりそうな効果音が聞こえたのは気のせいか?
(樹)
「あっ…、いや…、それはその」
こんな殺気に立ち向かえる勇者なんているわけがない
(今日子)
「私もあの可愛いのもう一度見たい、あのふわふわのにくきゅー手袋にすりすりしたい」
(楓)
「今日子抑えて抑えて」
(樹)
「不公平だ、今日子も同じこと言ってるのにこの扱いの差は何なんだ」
(楓)
「あんたの場合はいやらしいのよ」
異論はないけど一刀両断だな
我に断てぬ物はなしってか
こうして勉強会も済み宿題を終えるだけでなく期末テストの傾向と対策もバッチリと練ることが出来たので赤点をとるやつもいなかった
キングクリムゾン
そして時は一気に進んで二学期になった
今日子の言った白い羽の奇跡の物語は鍵ブランドの有名泣きゲーのことだよ
それと最後のの方の「オラオラ」「無駄無駄」とキングクリムゾンは言わずと知れたあのマンガのネタ
我に断てぬ物なしは悪を断つ剣の親分のセリフだよ
誤字・脱字の類があれば遠慮なく指摘してください(恥をかいてることを知らない無知より指摘される一時の恥を選びます)
と容赦無用突っ込み希望なことを毎回書いてるのに評価もコメントも欠片もないのは寂しいよ~