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第一章 命繋ぐ出会い1

                 ◇男子高校生◇



きーんこーんかーん…


友咲私立桜ヶ丘高校のチャイムが放課後を知らせる


俺は部活に入ってないので直接家に帰ることになる


えっ、普通は部活に入ってるかバイトしてるかそうでなくても寄り道くらいするものだって?


それが違うんだな、父さんは単身赴任でちゃんと仕送りしてくれているし母さんは在宅仕事でいろんな意味でネットワークしてるからお金に困ってないし寄り道は趣味じゃない


いつも通りの道を通って商店街の店の隙間から裏手に出る

いつもこのやり方でショートカットしてるんだが


高峰(たかみね) 想次(そうじ)16才、中肉中背でそこそこ顔が整ってるだけで髪の手入れもブラシを入れてる程度の何処にでもいそうな男が今日ショートカットすることが運命の分岐点なるとは思いもしなかったわけで


そろそろ現実逃避はむやめよう、それより店の裏手の路地でぼろぼろになって倒れてる同じ年くらいの女子をなんとかしないと


パニックを起こして軽く現実逃避していた思考を無理矢理再起動させて病院へ電話しようと思ったが女子のケガを見てその手が止まる


刃物による切り傷はまだなんとか理解出来る、無理矢理だけど理解出来る

だけど銃の弾がかすめたように見える火傷の跡はいったい…


下手に病院とか警察に知られたらやばくない?

かといって早く応急処置くらいはしないとやばくないか?


結局ケガしてる女子は俺の家まで背負っていくことになった


人一人背負っていくなんて随分と重てーぞ

誰だ失礼なやつなんて言ったのは


(想次)

「ただいまー」


(母さん)

「お帰り想次」


インターホンから出迎えてくれる声だけが聞こえる


家はネットセキュリティを使っているからPCを操作しながら挨拶くらいは出来るのだ


セキュリティカメラで見えてるだろうけどちゃんと言わないと

機械が便利だからこそちゃんと声に出して話をするというのが母さんの方針だからな


(想次)

「母さん母さん」


(母さん)

「どうしたの想次」


と言いながらもキーボードを打つ手は止まらない


(想次)

「ちょっとこっち来てくれ」


[母さん]

「今一区切りつけるわね」


母さんは一分もしないうちにやってきた、タイミングがよかったのだろうか?


(母さん)

「あらどうしたの、その娘は?」


(想次)

「行き倒れ、どうも訳ありっぽいけどね」


(母さん)

「訳ありって?」


(想次)

「この拳銃の弾の跡っぽい火傷とかな」


(母さん)

「あらあらひどいわね」


(想次)

「それで変に状況を動かすのはどうかと思って病院には連絡しないで連れて帰ってきたんだ」


(母さん)

「なるほどねー、良い判断だったんじゃない、そういうことなら任せなさい」


俺の母さんはこういう時は肝っ玉がでかいというかやたらと懐(ふところ)が広いから助かる


(母さん)

「とりあえず明子(あきこ)の部屋に寝かせて応急手当てをしておきなさい」


(想次)

「へーい」


ちなみに明子というのは既に嫁入りしてる俺の姉さんのことである


母さんはまたPCを操作してる、おそらくは知り合いに連絡をとってこれから必要になるものを頼んでいるのだろう


俺は姉さんのベットに彼女を寝かせると救急箱を取り出して手当てを始めた


消毒液で傷口を洗ったり包帯を巻いたりしてる間に初めて落ち着いて彼女のことを見ることが出来たが

なんというか…

小柄で栗色をしたショートカットの髪がよく似合う結構可愛い娘じゃないか


さすがに脱がせるわけにはいかなかったから両手両足と顔の手当てしか出来なかったけど

寝てる様子を見る限りは別に苦しそうには見えないし一番ありそうなのは過労で倒れてたというあたりかな?


跡は母さんに任せるかな


(想次)

「母さーん、とりあえず手当て終わったよ」


そう言いつつ階段を下りていくと母さんは玄関でいくつかのダンボールに囲まれて誰かと話しをしていた


(母さん)

「せっかく持ってきてくださったのになんのお構いも出来なくて申し訳ありません」


相手は「いえいえ」と言って帰っていった


(想次)

「母さん、そのダンボールはもしかして?」


(母さん)

「そうよ、売れ残りの中からあの娘に似合いそうな衣服一式持ってきてもらったのよ」


そう言えばあの娘が着てたのはケガ以上に訳あり感の漂うそれこそゲームにでも出てくるような夜間戦闘服っぽいものだったな


それでネットファッション関係の仕事仲間から服を譲ってもらったってわけか


自分の予想を確かめるために聞いてみよう


(想次)

「じゃあ彼女のことを知ってすぐにPCをいじってたのはやっぱり…」


(母さん)

「もちろんあの娘に似合う服を持ってきてもらうために決まってるじゃない」


自分の母親ながらなかなかに底の知れない人である

まぁ、丁度いいと言えば丁度いいんだけどね


(想次)

「一応あの娘の手や足の手当ては終わったけど脱がすわけにはいかないだろ、だから後は頼んだ」


(母さん)

「はい頼まれました、じゃあ想次は何か消化のいいものを作ってあげて」


(想次)

「りょうかーい」


母さんが手際よく俺がやるわけにはいかなかった部分の応急手当てを済ませると清楚なワンピースに着替えさせて彼女が元々着ていた藍色の戦闘服に入っているものを色々と取り出して戦闘服を選択してる内に時間が過ぎていく


俺はその間に食べやすい物は何かと考えて和風だしの玉子粥(たまごがゆ)を作ることにした

誤字・脱字の類があれば遠慮なく指摘してください(恥をかいてることを知らない無知より指摘される一時の恥を選びます)

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