第十一章 事件の終わりと忍の想い
◇ ◇ ◇
とあるビルの屋上
義明はピルの屋上からライフルのスコープ越しに忍達の様子を見ていた
(義明)
「これで一件落着かな」
そして携帯で事件の終わりを伝える一斉メールを送る
(義明のメール)
「状況終了、解散とする、今日の残りの時間は自由行動とする」
◇ ◇ ◇
(忍)
「もう終わりだ、ブラッティクロー」
(ブラッティクロー)
「ぐぁ…、があ、ぐぅ…」
ブラッティクローはトンファーを叩き込まれたすねの痛みに耐えかねて倒れる
そして起き上がろうとして気がつく
(ブラッティクロー)
「腕が…、ろくに動かねえ…」
(忍)
「さっきも言ったが腕の筋肉に繋がる筋をを斬った、お前の腕には動かすことは出来ても力を入れることは出来ないはず」
(忍)
「もうその爪が血に染まることもない」
ブラッティクローは立とうとしていたが体を起こすことも出来ずにいた
(ブラッティクロー)
「ぐう…、くそ、立て、立ちやがれくそ!」
(忍)
「暗殺者としてのお前はもう終わりだ」
ブラッティクローは覚悟を決めたのか体を動かして仰向きになる
(ブラッティクロー)
「殺せ、暗殺者にとって負けは死だろうが」
(忍)
「断る、わたしはもう暗殺者ではない」
(ブラッティクロー)
「ふざけんなよくそが!」
(遥)
「そいつは自警団の手で警察に渡しておくよ」
(折枝)
「みんなも集まっているけどマスターの指示で状況が変わるまで様子を見ることになっていたよ」
(折枝)
「もっとも状況が変わったとたんに終わったけどね」
忍はその話しを聞いていなかった
忍はセラミックブレードを手放して想次に駆け寄っていた
(忍)
「お兄ちゃん大丈夫?」
(想次)$
「ああ、何とかな」
(想次)
「短い間だけど父さんにトンファーの訓練してもらったのが随分と効いたみたいだな」
(忍)
「ほんと、お兄ちゃんかあんな攻撃出来るなんて思わなかった」
想次の体が震えだして地面にへたりこんだ
(忍)
「どうしたのお兄ちゃん」
(想次)
「はは…は、忍と話してほっとしたのか今頃になって体に震えが…」
忍は想次を抱きしめる
(忍)
(これからもお兄ちゃんを守る、ずっと守るから)
◇ ◇ ◇
12月24日
ブラッティクローと戦った後、面倒な警察の事情聴取とかもなくクリスマスイブの商店街を想次と忍の二人で歩いていた
事情聴取はおそらく義明や遥あたりがなんとかしてくれたのであろう
忍には内緒だが楓にクリスマスイベントに誘われていた、それを忍につきあってほしいと言われて断っている
◇回想◇
(楓)
「えっ、忍につきあってほしいと言われたからそっちを優先したいって」
(楓)
「どうしてもなの?」
(楓)
「そう、どうしてもね」
(楓)
(しょうがないか、まあ忍なら納得出来るか、納得してあげるんだから幸せにならないと許さないわよ)
(楓)
「わかったわ、あの通り魔のことで二人とも大変だったみたいだし、今回だけだからね、貸し1だよ」
◇回想終了◇
(想次)
「それでまずどこへ行くんだい」
(忍)
「まずはケーキ屋さん」
(店員)
「いらっしゃいませ」
(忍)
「このケーキ欲しい」
(店員)
「こちらの品はチョコレートプレートにメッセージを書けるようになっていますがいかがなさいますか」
(忍)
「忍&想次で」
(想次)
(なるほどな)
(想次)
「それなら&の代わりに相合傘にしといてくれ」
忍は一瞬意外そうな表情をしてから顔を赤らめて頷いた
店員もどういう意味かわかっているようでいっそうにこにことした表情で
(店員)
「かしこまりました」
と言った
(忍)
「お兄ちゃんどうして?」
(想次)
「忍と同じ気持ちだからかもしれないな」
忍はいっそう恥ずかしそうな表情になる
(店員)
「お待たせいたしました」
包装を終えたケーキを忍が受け取って店から出る
商店街からの帰り道、住宅街に入ったところでちらほらと雪が降り始めた
(想次)
「ホワイトクリスマスか」
(忍)
「なんかきれい…」
忍はケーキの包みをそっと置いて想次を見る
(忍)
「お兄ちゃん、わたしお兄ちゃんのこと大好き」
(忍)
「ううん、好きとしうだけじゃなくて…、なんて言うのかな…」
忍は喋っている内にどこかぼうっとしたような潤んだ表情になって想次の頬に両手を添えて引き寄せる
そしてそのまま想次のくちびるにキスをする
(忍)
「愛してるお兄ちゃん」
突然キスをされて驚いた表情をしてた想次はその言葉でとても優しい表情になって忍を抱きしめる
(想次)
「俺もだよ忍」
と言って再びキスをする
この時元暗殺者の少女は人として大切な物を手に入れたことを行動で示したのであった
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