第十章 襲撃 忍VSブラッティクロー2
◇高峰 義明◇
忍とブラッティクローが接触したのと同時刻
近くのビルの屋上にいる俺と鷹目ラーメンで待機している道長の携帯が着信を知らせた
(義明)
「これはブラッティクローか」
道長は自分の特殊能力で忍と想次のいる地区の全員にナビマップを送り、俺は急いで一斉メールを打つ
(義明のメール)
「一番手は状況を知らせよ」
程なくして届いたメールには忍と想次の二人がブラッティクローと接触し忍とブラッティクローとの間で戦闘が始まっていると書かれていた
俺ははそれを確認して三脚に乗せたスナイパーライフルのスコープ越しに忍達の様子を見る
(義明)
「どれどれ、一騎打ちか」
(義明)
「…、何となくだが忍が想次を庇っている形になっていないか?後ろへ抜かせないようにしてるみたいだし」
俺は少し考えてからまた一斉メールを打った
(義明のメール)
「状況が変わるまで手出ししないで気づかれないようにせよ」
その後で三度一斉メールを送る
(義明のメール)
「グリードという組織では教えることの出来なかった人としての大切なものを忍は教わることもなく育んでいる
そしてこの戦いを見届ければその大切な何かを知ることが出来るかもしれない」
何しろ忍の想次に対する想いは兄弟の家族愛を越えてるからな
間違いなく男として意識してるだろうな
まあ、それはそれでいいけどな
その想いは間違いなく忍を強くしてくれるからな
◇ ◇ ◇
(ブラッティクロー)
「シャープエッジ、てめえを殺してからクソ教官もぶち殺してやるぜ」
ブラッティクローが猛烈な攻撃を再開する
ブラッティクローの鋼の双爪は上下左右の切り裂きに加えて突きも繰り出してくるため忍の双剣と同等の多彩な攻めをしてくる
だが忍は表情一つ変えずにブラッティクローの攻撃を捌く
別に忍がポーカーフェイスに優れているというわけではなく単純に忍の方がブラッティクローよりもわずかに速いだけである
(ブラッティクロー)
(チイィ、フェイントを混ぜても読み切られるしこのままじゃラチがあかねえ)
(ブラッティクロー)
(だが待てよ、なんかおかしくねえか)
(ブラッティクロー)
(俺より速いなら、守りだけでじゃなくもう少し大きく動いて攻めのタイミングを掴もうとしねえか)
(ブラッティクロー)
(試してみるか)
ブラッティクローは左右に大きく動きながら攻撃を仕掛けると忍の動きがブラッティクローの正面で止める動きから想次と忍とブラッティクローが直線で並ぶ動きに変わった
想次を守るために戦うという姿勢が顕著なまでに表れたと言えるし
想次もまた動きが変わったことを察して気を引き締めてトンファーを構え直している
(ブラッティクロー)
(大当たりだな、どういうわけかあの男はシャープエッジにとって大事みてえだな)
(ブラッティクロー)
(ならあの男を殺ればシャープエッジは怒るのか、本気で俺を殺すのか)
だがブラッティクローは気づいていなかった
忍の大事な人間を殺せば忍が怒ることを、仇をとることを理解出来てるということは自分もその気持ちを持っているということを
その気持ちが好意と呼ばれる気持ちであることを
ブラッティクローは忍にとって大事な存在だと判断した想次を攻撃することを考えていた
(ブラッティクロー)
(さて、あの男に攻撃しみるか)
(ブラッティクロー)
(だがどうやって一発入れるかが問題だな)
(ブラッティクロー)
(左右に動いて振るのは簡単だが常に直線を保ってやがるから厄介だな)
(ブラッティクロー)
(ならこれでいくか)
ブラッティクローの右手がわずかに動いたと思ったら何かが壁にぶつかるピシッという音と共に想次の左のほっぺたから一筋の血が流れた
(想次)
「つっ、いったい何が?」
忍が動揺を隠しきれない焦った声で想次を呼ぶ
(忍)
「お兄ちゃん」
ピシッ、ピシッ
今度は血は流れなかったが想次の服が揺れた
さっきと同じくブラッティクローが何かをして想次にかすったのだ
(忍)
「これは…、つぶて?」
ブラッティクローはそり言葉に答えるように右手に小石を乗せる
(ブラッティクロー)
「当たりだ、今度は耳にでも当ててやろうか、結構ダメージになるんじゃねえか」
(忍)
「ブラッティクロー、きさまぁ…」
(ブラッティクロー)
「怒ったのか、それなら俺を止めてみろよ、力ずくで俺を止めて切り刻んでみろよ」
(ブラッティクロー)
「てめえと殺りあってるこの時ほど楽しいことはねえ、俺より強えやつと命がけで殺りあうのがゾクゾクすんだよ」
(ブラッティクロー)
「だから本気できやがれ!。俺を殺しにこい!」
(ブラッティクロー)
「そのてめえを返り討ちにして体中切り刻んで血塗れにしてやるぜ!」
(ブラッティクロー)
「そのためなら手段は選ばねえ、そいつがどうなろうと関係ねえしな」
(ブラッティクロー)
「ヒャーハッハッハッハッハッハッハ!」
(忍)
「ブラッティクロー…」
忍は唸るような声で呟いた
そして呟きながら内心では焦っていた
(忍)
(落ち着けわたし、やつはお兄ちゃんも狙っている)
(忍)
(ブラッティクローだろうがつぶてだろうが絶対に抜かせない)
再びブラッティクローの右手が小石を弾く
ピシッ、キィン
忍から見て左の壁に小石をぶつけてその反動で想次を狙うつぶての跳弾であったが忍はそのつぶてを見切って剣で弾いた
忍がつぶてを弾いたその時にはブラッティクローはつぶてと反対の方へ跳んでいた
(忍)
「しまっ…」
(ブラッティクロー)
「もらったー!」
想次は反射的に左のトンファーで身を守ろうするが鋼の爪を両方止めることまでは出来ない
ガシィ
ギィン
ブラッティクローの右の爪はトンファーに受け止められ左の爪は何かに大きく弾かれていた
(想次)
「は…はは…、ふっ!」
想次は恐怖で青ざめながらも後ろに引いていた右手のトンファーを半回転させてリーチを伸ばしてブラッティクローの足のすねに叩き込んでいた
(ブラッティクロー)
「ぐっ、ぎぃ、がああ」
すねを強打された痛みに思わず呻き声を上げたブラッティクローは想次を睨み付けたがすぐに悲鳴をあげることになった
忍が二本のセラミックブレードを逆手に持ってブラッティクローの両肩を刺したからである
(忍)
「両腕に繋がる筋肉の筋を斬った」
(忍)
「もう終わりだ、ブラッティクロー」
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