序章 終わりからの始まり
以前に白騎士物語というゲームに掲載していた作品です
手直し前の作品に興味のある人はゲーム内の掲示板の小説・ラノベに関するものから(レティシア)という名前を探すと読めると思います
裏世界でそれなり以上には名前を知られた暗殺組織がある
その組織の名前はグリード
物心つく前の幼子や赤子を攫っていっては組織の駒として徹底的な洗脳教育を施すことて優秀な暗殺者を作りあげ、大きくなっていった組織である
そしてここは暗殺組織グリードの会長室
コンコンっと二回ノックをする音を聞いて会長のグリードは答える
(グリード)
「入れ」
ドアを開けて入ってきたのは組織の副会長であるサイレントキラーだった
(サイレントキラー)
「失礼します」
いつもは定時報告にしかこないはずの彼が何で定時報告以外の時間にやってきたのかを妙に思い聞いてみた
(グリード)
「定時報告時間外だな、何かあったか?」
(サイレントキラー)
「緊急の報告がございます」
そう言ってサイレントキラーは会長のグリードに近づいていく
(グリード)
「なんだ、詳しく話せ」
ブシュ
グリードに密着出来るほど近づいた距離を縮めたところでサイレントキラーはコートに隠したサイレンサーつきの銃でグリードを撃った
長年組織のナンバー2として組織を支えてきたサイレントキラーだけに対してグリードは致命的に油断していたためにあっさりとその攻撃を食らってしまう
(グリード)
「な…、ん…だと」
(サイレントキラー)
「暗殺組織グリードが潰れるお知らせですよ」
ブシュ…ブシュブシュブシュ…
その言葉に続いて更に数発の弾丸を撃ち込む
(サイレントキラー)
「これからグリードはジャックの物になるのですよ」
サイレントキラーは血の海に沈むグリードが確実に死んでいることを確認すると携帯で暗殺組織ジャックに連絡を入れる
そして一通りの連絡を入れてから次の行動を起こす
(サイレントキラー)
「さて、出来れば手駒を増やしたいところですが…、教育中のやつらでも当たってみますかね」
教育中とは前述したように物心つく前の幼子や赤子を攫い組織の駒として作りあげることを指す
その教育機関はAクラスからEクラスまである
(サイレントキラー)
「確かBクラスのホークアイはこういう時は厄介な存在だったはず、後回しにするとしよう」
そう考えつつサイレントキラーは地下の教室へ向かった
サイレントキラーはグリードをあっさり殺せたことに慢心してたのか油断してたのかその一部始終を見ていた人物がいることに気付かなかった
◇ グリードBクラスの女子生徒 ◇
暗殺組織グリードの本部の地下訓練場
ホークアイ教官に誰かが何かを報告している
でも関係ないや、必要なことがあればホークアイ教官が指示を出すはず
ただそれだけでいい、今までもそれだけしかしなかったから
報告を聞き終わったホークアイ教官は指示を出した
だがそれは今までにない指示だった
(ホークアイ)
「これよりここの隠し通路を使って本部から脱出する」
ホークアイ教官が担当するBクラスの生徒は声を揃えて答える
(Bクラス生徒達)
「了解しました」
当然である、私達にとって教官の命令は絶対である
だが一人だけ違う反応をした者がいる
(ブラッティクロー)
「どうしてそんなことをしなくちゃいけないのか教えてくれよ、先生様よ?」
既に二回任務をこなしたことのあるブラッティクローである
ブラッティクローはその二回の任務で猛獣の爪のような武器を振るい不必要なまでに徹底的に切り刻んでターゲットを殺していることから”血塗れの爪”(ブラッティクロー)の二つ名を持つことになった
(ブラッティクロー)
「俺にはわかるんだぜ、何っかビリビリしてやがる、とんでもないことが起こってるってな」
(ホークアイ)
「ならお前はどうする気だ?」
(ブラッティクロー)
「決まってんだ、ろそのとんでもないもんを切り刻んでやるんだよ」
(ホークアイ)
「死にたいやつは勝手にいけばいい、だが死にたくないやつは俺に従え」
(ブラッティクロー)
「ならそうさせてもらうよ」
(ブラッティクロー)
「なあシャープエッジ、お前も二つ名持ちになったんだろ、本部から逃げ出せって原因がどんなやつで何してやがるかは知らねえが、俺達みてなガキにあっさり殺されて心底度胆を抜かれた時のあの間抜け面を見たいとは思わねえか?」
私が少し前の任務で二つ名持ちになってからよく絡んでくるようになった
どうやら二つ名持ちになった私を勝手に強敵認定しているようだ、だが…
(ブラッティクロー)
「血のしぶき見てえとは思わねえか?」
こいつは何をくだらないことを言っているのだろう
(シャープエッジ)
「私はホークアイ教官の命令に従うだけ」
と私は答えてやった
そう、それは当然のこと、今までもこれからもそれだけしかないのだから当然のこと
ホークアイ教官に従わないブラッティクローが異常なだけである
その証拠とでもいうべきかブラッティクローに賛成する人物は一人もいなかった
(ブラッティクロー)
「けっ、てめえらつまんねえやつらだな」
(ブラッティクロー)
「俺だけで楽しませてもらうぜ」
そう言ってブラッティクローはBクラスから飛び出していった
(ホークアイ)
「(はぁ…)しょうがねえ、ブラッティクローを囮にして俺達はとっとと脱出するぞ」
(Bクラス生徒達)
「了解しました」
ホークアイ教官は教室の片隅の家具のようなものをどけると床の一部を持ち上げた
床の下には下り階段があった
(ホークアイ)
「ここから逃げるぞ」
私達全員が隠し通路に入ると最後にホークアイ教官が入りフタを閉めてから壁にあるスイッチを押した
ズズズ…と外で何かが動いた音が聞こえた
◇ シャープエッジ ◇
ホークアイ教官の命令でBクラスの隠し通路を通った先はどこかのビルの地下駐車場だった
ホークアイ教官が隠し通路を閉じて確認をとる
(ホークアイ)
「よし、全員揃っているな」
(サイレントキラー)
「ええ、こちらも全員揃いましたよ、ご苦労様ホークアイ」
(ホークアイ)
「なっ、貴様はサイレントキラー」
(ホークアイ)
「そうか…、報告で聞いてはいたが、貴様が組織を裏切り、会長を殺したのか」
(サイレントキラー)
「ええ、もうグリードのやり方では時代に合いません、これからはジャックの時代ですよ」
(ホークアイ)
「貴様が会長を殺しておいてよくもぬけぬけと」
(サイレントキラー)
「ええ、私も組織の全てを潰すのは勿体無いと思いまして、使えるものは使うことにしましたよ」
サイレントキラーが一歩横に動くとその後ろで整列している他のクラスの生徒達が見えた
(サイレントキラー)
「私はこれでもグリードの副会長でしたからね、あなたたちが無駄に逃げている間に他のクラスを取り込むのは簡単なことでしたよ」
(サイレントキラー)
「生徒達は疑うことすら考えずに私に従いますからね、ジャックへのいい土産が出来ましたよ」
(サイレントキラー)
「あなたたちも私に従いジャックに忠誠を誓うなら痛い思いをせずにすむというものですがね」
私はホークアイ教官の命令を待った
そしてその命令はきた
(ホークアイ)
「俺が時間を稼ぐからお前達はばらばらになって逃げろ」
(ホークアイ)
「いいかこれが最後の命令だ、何があっても生き延びろ、わかったな」
(Bクラス生徒達)
「了解しました」
ホークアイ教官が閃光弾を投げ辺り一帯が眩い光に包まれた時、私達は一斉に動き出した
ホークアイ教官の命令を守り生き延びるために
どこをどう逃げたのかはよく覚えていない
だが、どこが安心出来るばしょかわからず、ホークアイ教官の命令もない
ただただ生きるために限界を越えた体を駆使して路地を彷徨ったが酷使しすぎた体は強制的に私の意識を闇の底へと沈めて眠らせた
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