色鮮やかな試練(1)
「カラースライムの亜種、エレメントスライム。それが私がレベル上げとして倒すべき相手です」
と、誕生都市ローレライから少し離れた森へと月裏さんによって連れて来られた僕と紅葉はそこで月裏さんから倒すべき相手が誰なのかを教えて貰ったのである。
(しかし、それにしてもスライム系か。確かにレベル1の月裏さんが初めに戦闘する相手としては、相応しいのかも知れない)
大体においてスライム系は弱いと相場が決まっているし、初挑戦する相手としては良いのじゃないだろうか?
「エレメントスライム……。まず、そのカラースライムと言うのが分からないんですけれども?」
と、紅葉が聞く。紅葉の質問に月裏さんは丁寧に答えてくれました。
「カラースライムはですね……赤、青、黄、茶の4色からなる1本の角を生やしたスライムです。それぞれのスライムが魔法属性の『炎』、『水』、『雷』、『土』に対応しています。このカラースライムはそれぞれ対応している魔法の属性を吸い取って体力を回復する性質を持っていまして、簡単に言いますと、赤色のカラースライムには炎は効きません。また魔法を使わないと、スライムの核をなかなか破壊出来ないために苦戦します。一種の属性しか使えない魔法使いにとっては、ある種厄介なモンスターでしょう」
なるほど。つまりは、その身体の色とは違う属性の魔法で攻撃しないと倒せない魔物か。それは確かに厄介そうな魔物だ。つまりは赤色のカラースライムが現れた場合は、水属性、雷属性、土属性のどれかで攻撃しないといけない。
姫の魔法属性は『炎』だし、赤色のカラースライムは倒しにくいだろう。僕の魔法属性は『土』と『闇』だから茶色いカラースライムは苦戦しそう。いや、『闇』もあるし、一応どのカラースライムも倒せるの……か? まぁ、紅葉だと四属性全部が使えるから、そこまで苦戦はしそうになさそうだ。
「エレメントスライムはそのカラースライムの亜種で、角が3本ある事が見分けるポイントです。そしてかなり特殊なスライムなのです」
「と言うと、どう言う所が?」
と言うと、僕が聞くと月裏さんはきちんと教えてくれました。
「……カラースライムは総じてスライムですから、体力も攻撃力も防御力も無いんですけれども、このエレメントスライムはちょっと特殊な性質を持っていまして。攻撃された属性に変化すると言う性質を次々に変えていくと言う性質を持っているんですよ」
「それはつまり、赤いエレメントスライムに水属性で攻撃したら、青色に変わると言う事ですか?」
「そう言う事です。どちらにしても、二属性以上の魔法属性を持たないといけないので、その分厄介なスライムだと言えます」
そうだよな……。1属性だと積んでしまうスライムだ。
「その分、かなり経験値はありますので、何匹か倒せば私のレベルからでも、お二人のレベルに追い付く事は出来ます」
「なるほど……。でも、亜種と言うくらいだから、そんなには出ないんじゃ……」
亜種、つまり普通と違うと言う事はそんなに多いと思ってはいけないと言う事ですよね? その魔物の経験値が高いと言っても、遭遇率が低かったらその魔物を当てにする事が出来ない。僕はそう思ったんだが、月裏さんは首を振って否定する。
「大丈夫です、ご主人様。あれを見てください」
と、森の奥を指差す月裏さん。その指さす先には、大量の4色に色づけされた3本角のスライムの大群。
「エレメントスライムの大群。
これが次に試練の神の主神、日向ラファエルが、朝比奈さん達ように出した課題です」