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ユラギーンの戦利品

 目の前に現れたのは、閉じられた大きな鉄格子の門。そしてそこには2名の屈強そうな騎士が立っていた。どちらも屈強そうな筋肉と、白銀の硬そうな鎧を着込んだ強そうな騎士である。目つきも鋭く、どことなく怖い騎士である。



「お前達さ、今、いくら金を持ってる?」



 そんな屈強そうな騎士様が話しかけた第一声は、そんな言葉だった。と言うか、お金?



「えっと……確かいくらだったっけ?」



「ステータスで見れば分かるのでは?」



 おぉ、そうだよなステータスでそう言った事も確認出来たはずだ。と言って、僕は確認してみる。



朝比奈揺(あさひなゆらぎ) Lv.21 種族;人間 職業;神殺しの二剣流 HP;560/560 MP;400/400 加護;ルルリエルの加護

 スキル;自動言語翻訳機能 一般的識字機能 呪い耐性無効化 幸せのサボテン 闇の属性 忍耐強さ 操り人形(マリオネット)

 所持金;42,000G

 紅葉(もみじ) Lv.20 種族;リッチ 職業;希望の魔法使い HP;122/122 MP;6900/6900】



(色々とスキルが増えてるな……)



 『闇の属性』、『忍耐強さ』、そして『操り人形(マリオネット)』……。こんなスキルを取った覚えが無いので、もしやこれはユラギーン・ナイトを倒したからこそ出て来た追加スキルだろうか? とりあえず内容を確認してみよう。



【闇の属性;ユラギーン・ナイトを倒したからこそ手に入れた魔法属性の1つで、数人しか持ち合わせていないレアな魔法属性。引力、つまり引き寄せる力に長けている属性。

 忍耐強さ;ユラギーン・ナイトを倒したからこそ手に入れたスキルの1つ。痛みに対する耐性が付き、強い痛みでも鈍く感じる事が出来るようになります。

 操り人形(マリオネット);ユラギーン・ナイトを倒したからこそ手に入れたスキルの1つ。魔力を対象の物体に込める事によって、術者の思う通りに行動します。また対象の物体に魔力を込めやすくなります】



 やはり、ユラギーンを倒したからこそ手に入れたスキル、か。しかし、『闇の属性』は戦闘で魔法で使っていたし、『操り人形(マリオネット)』も多分折り紙攻撃で使っていたスキルなのだろう。けれども、『我慢強さ』なんてこの前、ユラギーンの戦闘にあったんだろうか? まぁ、良いさ。使えるなら使わせて貰おう。



「……なぁ、所持金はどうなったんだ?」



「あぁ。そうだな、"30,000G"だったよ」



 と、僕は本当は持っている金額よりも少し低めの金額を提示して置いた。もしもの時のためにであり、こう言った時正直に言えば良いと言う物ではないからだ。まぁ、様子見と言う意味もあるけれども。



「そうか……。ならばお前らはBランクだ」



 騎士様はそう言って、僕に木で出来た札を渡す。札にはただ1つの文字、『B』と言う文字が刻まれているが、乱雑か汚い文字なのかは分からないけれども、何だか読みづらい文字である。もう片方の騎士は門の壁に行って何かの操作をした。すると鈍い音と共に、大きな鉄格子の門が少しずつ開いて行く。



「Bならば、第3区画まで立ち入り可能だ。それ以上、奥の区画には立ち寄らないようにしたまえ。まぁ、その辺の詳しい話は街に住んでいる連中に聞け。



 ようこそ。ここは誕生都市ローレライ。出来たばかりの新生都市国家だ」



 騎士はそう言って、ニコリと笑うのであった。









 街に入った印象はと言うと、工事中のビルを思わせるような街だった。街の至る所は補強工事のような物が行われており、所々に完成した家とまだ作業中の家が入り混じっている。街の奥の方に行くほどその完成度は高く、逆に街の初めの入り口に近いほどそれはみすぼらしい。



 なるほど、誕生都市。未だに作り得ていない、生まれていない街と言う意味では、この街はそれにぴったりと合っていた。



「朝比奈様。街の人達から聞いた所、『第3区画』と言うのはようするに行ける範囲の事を指すようです」



 と、街の人から情報を得ていた紅葉がそう報告して来る。



 一番奥の豪華そうな街並みが立ち並ぶ地区は、第1区画。

 その手前のそれなりに大きな商店と貴族宅が軒を連ねる、第2区画。

 街の中心部で人々が多く行きかう、第3区画。

 あまり品ぞろえが良いとは言えない商店が多い、第4区画。

 ようやく家の体を保っているかと言う、第5区画。



 先程、騎士から貰ったあの札。あの札を見せる事によって買い物が出来るシステムになっており、僕達だと第3区画までのお店しか利用出来ないらしい。その札の手渡しは、街に居る騎士に自分の所持金額を言って一定の金額以上だと札のランクが変わるらしい。どのくらいの金額かは流石に教えて貰えなかったけれども。



「まぁ、とりあえずこの街を散策した後、1晩ばかり休ませて貰って、学術都市ダラムアトルへ向かうとするか」



「……ですね」



 さて、この街ではどんな出会いが……



「んっ……?」



「どうかしましたか、朝比奈様?」



 急に足を止めたぼくに、怪訝そうな顔でそう尋ねる紅葉。そして僕の視線の先の店の名前を読み上げる。



「第5地区支店、生前屋?」



 それは他の街では聞いた事もないような店で足を止めた訳じゃなかった。何か、こうこの店に立ち寄らなければならないような、そんな予感がしたのだ。



「とにかく入ってみよう」



「あっ、はい!」



 僕は紅葉を連れて、その『生前屋』に足を踏み入れた。











【朝比奈揺が、試練の神日向ラファエルが出した【愛し合う者の試練】を受けました】

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