月裏さんとの密会(2)
『えっと……そろそろ私の手助けが居るんじゃないかなー、って思って来たんですけれども。
も、もしかして、ち、違ってしまいましたか? そ、それだったら本当に申し訳ないです』
しくしくと悲しむような感じの月裏さん。
「べ、別にそう言う意味じゃあ……えっと少し聞きたい事があって。お金の事なんですが」
『はぅ! お金、ですか。そう言えば冒険者たちには必須金としてその世界での10万分のお金を渡す事に……。そうでした、すいません!
ちょっと遅れてしまったので100万Gくらい振り込んでおけば……』
いや、流石にそこまでは要らないよ? と言うか、そんなにお金を盛らttっちゃったら逆に何か可笑しいと思われるんですけれども。
『えっ……日向さん、なにですか? そんなに一気にお金を渡したら怪しまれる? 確かにそうですね……。じゃあ、10万で……。
えっ? もっと少なくて1万で良い? そしてあなたにその浮いたお金を渡せと? ば、ばかー! あなたの我儘なお願いのせいで彼には異世界転生やってもらってるんでしょ? これ以上、迷惑はかけられない!』
「えっ……? 今なんと?」
なんか誰かさんのせいで僕が異世界転生をしたって聞こえたんですけど?
『えっと……その、はい。そうです。
日向ラファエルさん。彼の神のせいであなたは異世界転生をしてしまったです』
「……はい?」
『日向ラファエルさんは面白そうだからと言う理由だけで、修学旅行バスの249名を異世界転生させ、無駄に余っているからと言う理由であなたに異世界転生させた、所謂張本人です。恨んでも良いと思います』
「それって本当ですか?」
『はい……。ですから、せめて20万、いや50万くらいは貰っても何も問題はありません。
まぁ、50万。明日になったら振り込んで置きますし……。あっ、そうです。あなたはギルドに入ります?』
ギルド? ギルドって異世界転生で一番良くある奴だよね。
確か冒険者たちを集めた集団で、かなりのお金が稼げるとか……。まぁ、一応は入れるならば入って置こうとは思っていますけれども。
『ギルドの善し悪しは流石に私も神の端くれなので、なんとも言えませんけれどもそれでもちゃんと言える事があるとすれば、その世界では加護が無いといけません』
「加護? そっれまさか神の加護、とかの加護ですか?」
『はい……。普通ならば色々と冒険者たちはその辺も考えて選んで欲しい所なんですが、今回は完全なるラファエルさんのせいであり、あなたに非はありません。だから、神様はこちらの方で良い神を選定しておきますね? 少なくとも神は八百万とか以前にもっといるので大丈夫ですので』
「あぁ、出来る事ならば……お願いします」
『任されました。では明日の朝に教会に来てください。では、良き異世界をです』
そう言って、月裏さんの声は消えてしまいました。
「教会……ね。リッチとかって教会に入っても大丈夫なんだろうか?」
最悪、僕1人で入れば良いかと僕は漠然とした気持ちで考えていました。