朝比奈、再び眼を覚ます
青空を見た事のない姿をしていた鳥が群れとなって青空を渡っていた。沢山の木々が生い茂っていて、背中はちくちくとした草の感触がしていた。
「ここは……ダラムアトルじゃないか」
横を見る。横には目を瞑って息もせずに死んだように眠っている、リッチの紅葉の姿があった。けれども、姫やユリエル姫の姿は無く―――――――。
「あぁ……転移でもさせられたのか」
姫やユリエル姫が居ないのは、やっぱりパーティーから抜けた事も関係していたりするのだろうか? それともただこの場に居ないだけ? ……いや、あの時はユラギーンを倒すために皆居て、光に包まれていたのは僕と紅葉だけだったから、2人だけ転移させられたと考えるのが普通だろう。
こんな見た事ない場所で、2人が何も書置きも残さずに探索に出たと言うのは考えにくい。
だから2人はこの場所に居なくて、恐らく学術都市ダラムアトルに置き去り……もしくは別の場所。とにかくここに居ない、と言う事だけは確かである。
「あっ、そうだ。今、ステータスは?」
と、僕はそう言ってステータスを確認する。ステータスは前と違って少し変化していた。
【朝比奈揺 Lv.21 種族;人間 職業;神殺しの二剣流 HP;560/560 MP;400/400 加護;ルルリエルの加護
紅葉 Lv.20 種族;リッチ 職業;希望の魔法使い HP;122/122 MP;6900/6900】
「神殺しの人間、か……」
神。それはつまる所、あのユラギーン・ナイトを倒した事が原因だったりするのだろうか? レベルもそれなりに上がってるし。1体倒しただけで4レベルとは、流石に上がり過ぎと思うし。
「やっぱり、神って言うのはそれだけ凄いんだな」
「う、ううん……」
と、横に居る紅葉が声を出す。そろそろ起きたみたいだ。
「――――――まぁ、今はここがどこか。そう言った所を確認するか。紅葉が起きてからちょっと探ってみるか」
まず周りに危険な物がないか、僕はアースソナーで辺りの様子を探っていた。