メモリアルの使い魔作戦
今、私の目の前の現状を簡潔に話しましょう。
死神の中でも最高位に位置する死神の研究施設。
頭を殴られて気絶している天見アバユリ。
「ごめんなさい、万里の理に習ってそれを誓おう」と言って、うつろな目で呟く浅尾ミカゲ。
培養装置に浸された、裸の月裏さん。
そして1人、清々しい顔をしている最高位の死神。
「どうしてこうなったの……」
と、私は小さく呟いたのを、この部屋の主たる最高位の死神がこう答えた。
「浅尾ミカゲがこの部屋に入りましてですね。培養装置と、疲れ切っている月裏ラキナエルを発見しましてですね。結果として、培養装置の中に裸の月裏さんに入れる事にした浅尾ミカゲ。
その後、あなたと天見アバユリがここに入って来てですね。視界に入るのは、笑顔の浅尾ミカゲと裸姿の月裏ラキナエル。あなた、戦恋メモリアルは一瞬で状況を理解して、天見アバユリを気絶させて、浅尾ミカゲを倒しましたですね。
こうして、今の状況は生まれましたですね。大変ですね。
しかし、私は今から私に一敗を食らわせた相手に再戦を申し込むに行くので失礼しましたですね。
べ、別に決してデートなんかじゃないからですね!」
と、最高位の死神はどこかに消えていったのであった。死神の中でも最高位の死神、【基準殺しの死神】であるデスサイズ。10の無限大分の1も勝てる可能性がないとされる、常勝無敗どころか常戦常勝と称されるほど、最強の存在である彼女はむしろ挑む方が英雄扱いされるほどの存在だ。
しかし、そんな彼女でも一敗だけ負けている。いや、負けは負けではないんだけれども、戦意喪失と言う意味ではあれは負けである。
そして彼女はそれ以来、その相手に挑み続けている。実際はただのデートだけど。いつまで続くのか、果てはいつまでも続くようにするのか。神様界でも話題になっており別れさせようとはするが、彼女に勝てる神が、いや勝負しようと言う神が居ないため、彼女の関係はそのまま続いている。
まぁ、そんな最強死神彼女の話はどうだって良い。
「まぁ、浅尾がやってくれているのならば好都合。しかもこれ、分霊じゃない!」
私としては疲労で疲れている月裏ラキナエルさんに、どうやって分霊を出させるかが問題だったんだけれども、これで問題解決である。
「疲れたから、代わりに分霊に行ってもらった? いや、天見のおかげかしら? どちらにしても、天見はここまで頑張ってくれたし、今度お礼しよう、っと」
具体的にミランダにどうやって怒られないかを考えて、お礼をしないといけないんだけど。
「じゃあ、早速始めるわ。月裏さんを使い魔の身体に変えて、朝比奈さんと会わせるのよ」
私は豆羽から貰った箱を使って使い魔を作り、それを朝比奈さんの誕生都市に転送したのであった。
「後はあなた次第よ、新生月裏さん」
私は「うんうん」とそう思うのであった。