メモリアルと友人
神様と恋人や友人になった人間は数多く存在する。神様レベルまで上がって恋人や友人となった人間や、わざわざ人間レベルにまでなって恋人や友人となった神様と言うのもあるにはある。しかし、だとしても人間が、ただの一般人が――――――――神様を使い魔にしたと言う事はない。神様が奴隷になって人間を主とした例もあるけれども、使い魔になったと言う例は一例たりともなかった。
「まぁ、太陽の神の主神たる天道アマテラスが直々に命じていたと言うのも理由の1つですけれどもね。誰も試したいと思わなかったのもそうですけれどもね」
「運命の神である戦恋メモリアルからそんな事が聞けるなんてね。思いもしなかったよ」
と、天見アバユリはそう言う。私、戦恋メモリアルはそれに対して本当にそうだなと思う。
(まぁ、少し義理立てしすぎた感じはありますが、こっちのミスでしかないしやるしかないですね)
昔、戦恋メモリアルには友人が居た。とっても大事な友人、その友人が昔言っていたのだ。
―――――――もし理不尽な運命があるとすれば、その運命を正して欲しい。それが巳が唯一君に伝えられる事だよ。メモリアル。
「友人として彼との思いは果たさないと……ね」
「ん……? どうかしましたか、メモリアル?」
「嫌、いきなりそんな事を言われましても」
まぁ、そんな事を言われても本当に戸惑う……だけか。
「あぁ、そうだ。月裏さんと浅尾は呼びに行きましたし、豆羽ミラキジェスから貰っては来ましたよ」
「……なら、それを渡して」
「はいよ」
と、アバユリからその貰って来たのを貰う私。黒い四角い箱の面にそれぞれ幾何学的な模様が書かれた奇妙な箱……うん、これでいける。
「……あっ、そうだ。アバユリ。君に1つ聞きたい事がある」
「……? 何ですか、改まって?」
「試練の神の主神たる日向ラファエルに何か言われなかったかい? 具体的には神様を使い魔にするのにどんな試練を出すとか、さ」
「えぇ、言われました。姫とユリエル姫には誕生都市に着くまでの妨害要員として、【太陽殺しの死神】であるエキサイトを」
「まぁ、あの2人なら十二分に倒せるでしょう。高位の死神の中でもかなり弱い方の死神ですから。エキサイトは。朝比奈揺の方には?」
「一応、【愛し合う者の試練】を与える予定だとか」
あぁ……【愛し合う者の試練】か。私も良く彼とやらされた物だ。その度に彼はこう言ってたっけ?
――――――こんなの、簡単さ。巳が君を見捨てるはずはない。何せ、君は巳の親友なのだから。
……あぁ、今からでもムカついて来た。こっちが折角、好きですよオーラ出してもあいつ、気付かないんだもんな。鈍いにも程があるし、それに今は女性の気持ちも考えてるみたいだし。なんだよ、バーカ……。
「じゃあ、月裏さんを転送させようか。朝比奈さんは――――――――■なら確実に出来るはずだし」
そう言って、私はアバユリを連れて、月裏さんと浅尾の所に急ぐのであった。