メモリアルの決断
今回は流石に章の元ネタが分からないと思うので、一応元ネタを紹介しておきます。
今回の元ネタは、『四百二十連敗ガール』です。第14回えんため大賞《大賞》受賞作で、あらすじは面白いのでよろしくお願いします。
「天見アバユリの個人レポート、第12987号。ただし、書類説明でなく口頭での説明。
前転送の神の主神、夜比奈ユラギーンの死亡を確認。また魂ごと殺したので二度とユラギーンが輪廻の輪に乗って生き返る事はないでしょう。しかし、ユラギーンの作った自身の分霊と奴隷との融合体、ユラギーン・ナイトによって異世界転生者である朝比奈揺、その使い魔である紅葉がグループ転生を受けました。その2人ですが、転送先が犯罪都市ローグレになったのですけれども転送の神の主神、浅尾ミカゲが別の街に【間違いを初めから決められていた転送劇】で誕生都市ローレライに転移しました。戦恋ルルリエルさんはまだ戦女神だったために正気でしたからその旨を使い魔である姫、パーティーメンバーであるユリエル姫に伝えたんですけれども……」
「そう。分かったわ」
と、運命の神の主神である戦恋メモリアルはギルドの神の主神である天見アバユリのレポートを口頭で聞いてそう返事を返した。
「戦恋ルルリエルさんと共に精霊となって戦った月裏さんはどうなった?」
「―――――分かるだろ? 彼女の方は"疲労酔い"だ」
疲労酔い。それは神様が分霊を使う際に現れる現象である。
分霊とは本体を複数作り、その全てが本体と同じと言うある意味便利なように思えるがそうではない。何事も弱点や副作用と言うものが存在する。分霊が受けたダメージは本物であるその神自身にフィードバックされる。本物と近い物を本体を作るため、その分霊がやられた時その痛みは本物に移動してしまう。そこでその痛みを出来る限り軽減する為に本物と差異を出すのである。精霊と変えたけれども、死に近いほどのダメージを軽減したような物が戦恋ルルリエルと月裏ラキナエルの2名に襲い掛かった。戦女神である戦恋ルルリエルは戦女神であるためにその痛みに耐える事が出来たけれども、戦女神でもないただの神様である月裏ラキナエルがそれに耐え切る事が出来なかった。よって只今月裏さんは疲労酔いと言う、死に近しい痛みである凄い疲労で倒れてしまったのだ。
「そう言えばどうして、分霊を使いまくっていた夜比奈ユラギーンは全く持ってダメージを受けてなかったんですか? それさえ分かれば、今後分霊の上手い使い方が出来るのと思うんですけれども」
「だけれども、それは関係ないですね。ユラギーンは体格、名前、記憶、それから色々と細かい物を変えているけれども、本物とほとんど違いますから。その疲労はほとんど霧散化してしまいました。それで本人に対するダメージは0、あってタンスの角に小指に足をぶつけたくらいですからね」
「……そう言えばあいつ、無駄に我慢が得意な奴だった。朝比奈揺への邪魔も凄い無理してやってたしな。一体何日徹夜していた事か」
はぁ……、とメモリアルはそう言っていた。
「……う――――――――ん」
メモリアルは考えを巡らす。どうすれば良いかと思っていた。
(朝比奈揺は明らかにこちらのミスだ。ミス過ぎて何も言い表せないくらいミスでしかない。だから何かお詫びをしなくては……)
「今彼らが飛ばされたのは確か……誕生都市ローレライでしたか?」
「浅尾ミカゲが言う所の【間違いを初めから決められていた転送劇】、誤字転移で飛ばされたんですけれども」
誤字転移。それは転移魔法の一部。
転移するべき場所と名前や特徴が類似している場所に転移する。そう言った転移である。今回は街の名称である犯罪都市ローグレと誕生都市ローレライの名前が似ているから転移出来たと言う事なのだろう。
「誕生都市ローレライ……。あそこに転移するんですか……ならば迷ってる暇はありませんね」
そう言って、メモリアルは眼を見開き、目の前に居るアバユリに命令する。
「天見アバユリ。今から色々とやらせていただく。
浅尾ミカゲ、それから月裏ラキナエルを呼んできなさい。それから豆羽ミラキジェスから例のあれを持って来てくれ。例のあれで通じると思うから」
メモリアルは決断する。
誰も彼もがやった事が無い―――――――神様使い魔化計画を。
2013年6月24日、これを書いている現在時刻は22:51分です。
只今、確認しましたところ、日間冒険3位をいただきました。掲載当初では考えられません所に来て、大変喜んでいます。
これも皆さんの応援のおかげです。これからも日々邁進する所存なので、どうか何卒よろしくお願いいたします。