神に歴史あり(1)
天見アバユリと天見ミランダの事を語りたい。
この物語は、ギルドの神の主神である天見アバユリと、温泉の神である天見ミランダがまだ学生と呼べるような時代。
まだアバユリが仮面を付けておらず。
ミランダが今のようにブラコンでは無かった時代の話である。
全ての物には歴史があり、そして過去がある。
これは、天見ミランダがどうして今のような、兄である天見アバユリに結婚を申し込むほど好きになったのか。
その始まりの物語である。
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突然だが、私、天見ミランダの家族構成はかなり複雑である。
私の母は私を生んだ後にすぐに父と別れて、今の天見家の当主である義父と結婚した。その義父もまた別の女性と結婚して子をなしており、私には義兄が出来た。
義兄の名前は天見アバユリと言う、私とは数十年分、歳の離れた兄であった。とは言っても、神様にとって数十年と言うのは短く、私は普通に兄として接しており、数十年分歳の離れた私を兄であるアバユリ兄さんとは妹として接してくれていた。
仲が良い兄と妹。親戚や家族での私達の評価はそんな形だった。
私とアバユリ兄さんはすくすくと成長して、やがて学生になった。
神様には後の世界を管理する役職に就くために学ぶ学校であるカガミ学園、神の住まいしこの世界での役職になるために教育を受けるマガタマ学園、そして戦女神達が切磋琢磨して日々精進するツルギ学園の3つの学校があり、このどれかの学校を出ないと神の世界では落ちこぼれとなってしまう。だから私は先にアバユリ兄さんが入学して通っているカガミ学園に入学した。
アバユリ兄さんは異世界にあるギルドを管理するギルドの神になるために、私は異世界の人達の職業を管理する職業の神になるために、心を磨いて授業を受けていた。
カガミ学園では人間の世界にある、精神と肉体の成長を促すための活動である部活動が取り入れられており、私は特に部活動には参加してはいなかったが、アバユリ兄さんは人間界で言う所のバスケ部に所属していた。
アバユリ兄さんは当時から高い人気があった。
背中にある8本の腕はともかく、スラッとした均整のとれた体格と長い手足。青い髪とマッチングする甘いイケメンのマスク。
アバユリ兄さんがシュートを決める度に、ギャラリーからは多くのファンからの声が上がった。私も妹としてアバユリ兄さんを応援していた。
当時はただの兄さんであり、私は頑張っている兄を応援しに来ている健気な妹と言うのが学校での評価なのであった。
アバユリ兄さんからしても、家族である妹が応援しているだけとしか思っておらず、来てくれてありがとうとだけ言ってくれるくらいであった。
特にこれと言った話題にあげるほどの事件も無く、平和に暮らしていた私達兄妹であったが、1つの事件が起こり、関係性が大きく変化してしまう事になる。
その事件の発端は――――――後に試練の神の主神となる日向ラファエルのしでかしてしまった、あるとんでもない出来事が原因だった。