ユラギーン(2)
「ユラギーン・ナイトは自己中心的な性格で、仕事もかなり私情を交えるタイプの神様だったんですけれども、彼女が折る折り紙の美しさに関してだけは太陽の神と言う神様に気に入って貰えてました。故にユラギーンは転送の神の主神として位置取る事が出来ました。
とは言いましても、今では落とされてしまいましたが」
と、月裏さんはユラギーンの事についてそう説明してくれました。
自己中心的な性格と、仕事に私情を交えるタイプの自己中心的な性格の持ち主、か……。月裏さんにそう言われるなんて余程ですね。けれども、いったいいつになったらそのユラギーンとやらを見る事が出来るのだろうか。
今日は見つける事が出来ないかも知れない。僕がそう諦めかけていた時、
「やっと戦える事が出来ましたか。私様様は喜びに身が焦がれそうだよ」
と、1人の女性が目の前に現れ出た。
真っ白なドレスに、鈍色のショートヘアーとくまだらけの目と痩せすぎとでも言いたげな顔つきが特徴的な女性。体型は華奢であり、その両手には何十枚もの白い紙が握られている。頭には綺麗な金色のティアラ、両方の手首にはくすんだ色の青いブレスレットを付けていて黒いヒールを履いている。
「ごめんなさい。私様様のドレスのコーディネイトに時間がかかってしまってね。
やはり悪役としての私様様は、ヒールを履いている方が良く似合う」
姫とユリエル姫を僕から切り離したユラギーン・ナイトは、ヒールを履いた悪役としてニヒルに笑っていた。
「お前がユラギーン……」
「そうだ。お前の運命的に定められている悪役、ユラギーン・ナイトだ。私様様の用意したプレゼントである、姫とユリエル姫と切り離す作業は気に入って貰えたかな?」
ユラギーンはそう言って、両手に持っていた紙を1枚宙に飛ばす。そして宙に飛ばした紙は茶色になって、魔力によって折られて1匹の生物が作り上げられていた。
「存在、作成、形成、機能開始。これぞ神折り紙、ミノタウロスなりけり」
そして作り上げられたのはミノタウロス。巨大な斧を持った、牛の頭と屈強な人の身体を持つ魔物の姿だった。
「私様様の能力は折り紙を折って、折って出来た物を使うこの全てだ。私様様はこの能力で今度こそ、貴様を倒してみせよう」
ユラギーンは折り紙で出来た、ミノタウロスを動かして僕達へと向けて歩かせていた。僕達は紙製のミノタウロスを睨み付けていた。
【おまけ;主神の決め方】
普通、主神になる際は、皆の投票で決まるんですが、
『太陽の神の主神>>>太陽の神の神>>(越えられない壁)>>他の主神>神様達』
と言う風に決まります。神様は上下主義。
普通は、太陽の神の主神さんは引きこもって参加しないので(他の太陽の神も半ば同様)、他の主神と神様達によって決まります。しかし、ユラギーンは折り紙が凄く美しくて、太陽の神の主神の目に留まって、主神になれたのである。ユラギーンは異例中の異例。
故に、月裏さんも『折り紙の美しさだけで、主神になれた』と言っていた。