二剣流
「……流石ですね。まさか大剣と聖剣のどちらをも使いこなすなんて考えもしませんでしたよ」
と、片方の手に大剣を持ち、もう片方の手に聖剣を持った状態で僕はその2つの剣を振るっていた。
ユリエル姫の練習、正しい姿勢、正しい剣の振るい方。そして正しい動きを手に入れた。それによって僕は前よりも力を身に付けて、前よりも力を大きく使わずに大剣を扱う手段を得たのだ。
そして今では大剣と聖剣を同時に2つ扱う方法を手に入れた。とは言ってもこれはもう職業として提示されていた。
この職業はステータスで確認した所、これは【二剣流】と言う職業らしい。
【二剣流……大剣と聖剣、2つの剣を同時に使う事によって手に入れた職業。大剣と聖剣を同時に使う事によって今までにない絶大な戦闘力を得ます】
大剣と聖剣を同時に扱う事によって生まれるのは、圧倒的な攻撃力。そして同時に扱う事によって僕は大きな攻撃力を得た。さらにこの前手に入れた土属性の魔法による攻撃も合わせて使えば何も問題は無い。全ては順調に進んでいるように見えた。だが、それは違った。
問題は別にあったのだ。
「うん? 修行、終わった? じゃあ、一緒に遊びに行こう! すぐに行こう! 今すぐ行こう!」
と、いつもの日課である修行が終わった僕を姫が遊ぼうと呼びに来る。最近はいつもこうである。そう、あの事件以降。
僕はいつものようにステータスを確認した。
【朝比奈揺 Lv.17 種族;人間 職業;二剣流 HP;480/480 MP;320/320 加護;ルルリエルの加護
紅葉 Lv.17 種族;リッチ 職業;希望の魔法使い HP;116/116 MP;6300/6300
ユリエル・アトラシ Lv.19 種族;人間 職業;二刀流 HP;390/390 MP;210/210】
そう、あの日。姫がパーティーメンバーから消えてしまったあの時から。あの日とは彼女が調味料採集の依頼を受けにきたあの日の事である。
何故、あの日から急に姫がパーティーメンバーに姫が入れなくなったのかは分からない。その日姫は誰かに会ったと言っていた。その人物が折り紙で何かをしたとまでは聞けたが、その人物の顔を彼女は視ていないのだと言う。
打つ手なし。
……と言う事で、僕達はこの問題の自然解決を待った。
あの日以降、姫は僕に甘えたがるようになった。恐らく不安での事だろうと思い、そのままにしている。
そして今日も、彼女の不安を取り除くために、姫と共に遊びに興じるのであった。