戦闘用魔法
「……ふむ。これほどの精度ならば、土属性の魔法の構成物質の探知魔法は完了したと言えるでしょう」
と、紅葉は僕が書いた書類を見ながらそう言っていた。その感想に対して僕は安堵の息を吐いていた。
「ふぅー……」
良かった。適当に地面に落ちていた石を数個拾ってそれの構成物質を探ると言う訓練は、10回目までは彼女は眉一つ動かずにそれを見て、10回目から20回目まででやっとこうしたら良いかとアドバイスをくれるようになった。それからは繰り返し、繰り返し。46回目にしてようやくこうやってお墨付きの看板を貰ったのだ。
ユリエル姫の訓練も順調にやって来て、僕はようやく修行の成果が出始めたと思った。
「では、次のステップに進みたいと思います。戦闘用魔法をやらせていただきましょう」
「ようやく戦闘用魔法か……」
今までの魔法は本当に基礎中の基礎段階的な物でしか無く、戦闘用とは言えないような魔法が多かった。それがようやく戦闘用の魔法を覚えられるとなったら、本当に嬉しいとしか言いようがない。
「土属性の戦闘用魔法の基本、それは岩で物体を作り出しそれを発射すると言う方法が主ですね。上級になれば地面を揺らして地震をすると言う事も出来なくはないでしょうけれども、今だとそれは難しいでしょう」
「構成して、発射……か」
それはつまり、花火での攻撃と一緒だろう。物質を一つにまとめて、そのまとめた物を魔力によって発射すると言う事か。これは花火をやった時となんら変わらない。
「一度花火でやっていますよね。今回は前みたいに火薬をやったりはしないで、ただただ岩だけを使って花火の時よりも大きさを重視してください。爆発させる必要はないので、ただただ扱いやすい大きさを見つけ出してください」
「大きさ……か。ただただ大きくすれば良いんですよね」
僕はそう言って、岩を分解してそれを合成して構成していく。構成した物体に、岩を合成して大きくしていく。そしてその大きくした物体を僕は発射した。
発射されたその岩は、地面へと当たって当たった岩は地面をえぐって地面に大きすり鉢状の穴を生んでいた。その威力の凄さに僕は関心を生んでいた。
「す、凄い!」
「本当に凄いと思うのはこれからですよ、朝比奈さん。何せこれはまだまだ序の口です。今度は効率的な物質構成の仕方、そして武器にまとめたりする事を中心に魔法を行ってみてください」
「了解した……」
自身が掴んだ新しい力の凄さを感じながら、僕はその魔法をさらに強めて行くのであった。