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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
変態神様と笑えない状況
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姫、彼女と相対する

「フフーン♪」



 と、姫は軽快に鼻歌を鳴らしながら学術都市ダラムアトルの道通りを歩いていた。朝比奈に頼まれたギルドの依頼用の食材を手に入れたからだ。手に入れたのはこのダラムアトル近くに採れる3つの食材だった。

 赤く熟せば熟すほど美味しくなる代わりに実が小さくなる変わった食材、ルフトマト。赤い小さな粒の中に香りがたっぷり詰まった香辛料、赤コショウ。ソースに良く使われる汁たっぷりの黒タマネギ。ギルドの依頼用に採取をお願いされていたのはこの3種類である。



(全部、調味料です)



 どうやら最近、この街に『調味料ハンター』なる人物が居るらしい。『調味料ハンター』、その人物は店に入る度にその店の調味料の約8割を使い切り、その店のシェフを半ば職を失いかけるほどの事をやってしまった人物。その人物によって、この街の店と言う店の調味料が著しく減らされているらしい。

 それによってこの街の調味料が減らされすぎていて、ほとんどのギルドで調味料採取依頼が大量に出されてるらしい。



「フフーン♪」



 ちょっと多めに採取してきたが、それでもこれくらい頑張れば恐らく朝比奈に褒めて貰えると、姫は嬉し交じりだった。と、そんな姫に1人の女性が近付いて来た。



「すみません、ちょっとよろしいですか?」



「……?」



 姫は慌てて、彼女の顔を見ようとしたが残念ながらそれは出来なかった。いつも以上にこの調味料の材料を多く、多く採取しすぎたせいで前が見えなくなってしまっていたのだ。だから彼女の顔は見えなかったが、真っ白なワンピースと鈍色の長い髪が見えていた。



「私様様はギルドを探しています。どこか近くにギルドはありませんか?」



(私様様……?)



 なんだか変な一人称だなー、と姫は思っていたが、特に重要に思わなかった。なので普通にギルドの場所を教える事にした。



「えっと、あっち! あっちだと思う!」



「あっち……。指差して貰わないと私様様は分からないのだけれども」



「無理! じゃあ、お茶碗を持つ方!」



「左……ね。分かったわ」



 と、彼女はありがとうと言い、「あぁ、そうそう」と立ち止まる。



「お礼にちょっとした芸を見せてあげるわ。存在(アリ)



 彼女がそう言うと、彼女の服から赤い紙が一枚飛んで姫の目の前に現れる。姫自身もどうなっているのかと思っていたが、何かの魔法くらいにしか思っていなかった。



作成(ヲリ)形成(ハベリ)



 そして紙は何も触られていないのに勝手に折られて、曲がって、最終的に出来上がったのは



「……手裏剣?」



 そう、忍者が持つあの手裏剣が紙を折る事によって作られていた。そしてその手裏剣は一直線にこちらを向いている。



機能開始(イマソカリ)!」



 そして折られた手裏剣は回転しながら一直線に姫の方へと向かって来る。



「……!」



 姫は慌てて火炎の球を作ろうとするが、あまりにも多い調味料の食材のせいで間に合わなかった。



 チョキン。



 何かの糸が切れるような音が姫の頭の中に響いていた。



「い、今のは……」



「これぞ神折り紙、手裏剣なりけり」



 姫は慌てて何か切られた物がないか探すが、どこにも切り傷は無く、手裏剣も壁にぶつかって落ちたのか地面に転がっている。



「どうです、神折り紙、赤い紙で作った手裏剣の出来は?」



「え、えっと……す、凄いかなー」



「そうでしょ、そうでしょ。いやー、びっくりさせちゃって悪いわね。これが私の出来る唯一の芸だから。驚かせて悪かったわ。じゃあ、ギルドに行かせてもらうわ。本当にごめんなさいね」



 そう言って、女性は早足でどこかに消えて行ってしまった。恐らくギルドの方へ行ったんでしょう。



「変な人」



 姫はその女性をそう評価するのであった。



「あっ、早く依頼達成をギルドに教えよ! そして朝比奈さんに褒めて貰うんだ!」



 姫は当初の目的を思い出し、ギルド『鋼の城』の支部へと急ぐのであった。



































朝比奈揺(あさひなゆらぎ) Lv.17 種族;人間 職業;聖剣使い(改) HP;480/480 MP;320/320 加護;ルルリエルの加護

 紅葉(もみじ) Lv.17 種族;リッチ 職業;希望の魔法使い HP;116/116 MP;6300/6300

 ユリエル・アトラシ Lv.19 種族;人間 職業;二刀流 HP;390/390 MP;210/210】

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