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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
そらのおちたもの
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戦闘もお大事に

 僕達は学術都市ダイアグラムでの護衛任務を受けていた。



「今日はよろしくお願いします」



 と護衛をお願いした商人、眼馬(アイホース)さんはそうぺこりとお伝えした。

 眼馬、と言うのは勿論、本名ではない。右目の上に馬のような紋章が特徴的な30代くらいの眼鏡をかけたおじさんであり、幾つもの街を渡り歩く旅商人と言うのが彼らしい。名前を憶えて貰うよりかは、こう言った顔である事を覚えて貰う方が商人として嬉しいと言う事で自ら眼馬と名乗っているらしい。



「見ての通り、おじさんは戦闘能力もないただの一般人だからちゃんと守って欲しい。

 ……それにしても、あの伝説のサボテンの蜜を飲んだ人物さんとこんな形で会えるとは光栄だな」



「は、はぁ……。どうも……」



 と、僕は頭を下げた。まさかこんな場所で、【幸せのサボテン】の効果が表れるとは……。気前が良いらしく、色目を使っていくらかおまけしてお金を払ってくれると言う。僕としてはその辺り、悪いとは思うのだが、姫が貰えるうちに貰っておこう精神を発揮したのでそれを容認している。



 とにもかくにも、僕達が向かっているのは学術都市ダイアグラム。なんでも既に行った事のある眼馬さんやユリエル姫から言わせて貰えれば「その美しさは一度見て置くべき」との事。どんな感じの美しさなのか、個人的にも楽しみである。



「朝比奈さん! 敵ですよ!」



 姫がそう言い、急かすように言う。目の前に現れたのは、大きな牛のようなモンスターだ。大きな牛で、無駄にとぐろを巻いている黒色の角、背中に体格に合わない小さな黒い翼を生やしている。




「あいつは……」



「……ルフールと言う牛型の魔物ですね。学術都市ダイアグラムで、比較的良く見られる魔物ですので、そろそろ近くなったんじゃない?」



「そう、なんですか?」



 ユリエル姫から言わせると、ルフールが出て来たと言う事は学術都市ダイアグラムに近くなったと言う証拠らしい。



「朝比奈さん、ここは私に任せて!」



 姫はそう言って、懐から白い札を取り出す。その白い札には『炎』の文字が刻まれている。姫は札に炎を付けて、その炎を宿した札を発射した。炎の弓矢となったその札は、ルフールを貫いてしまっていた。



「どうですか? どうですか? 朝比奈さん、私は強いでしょ!」



「あ、あぁ……。そうですね」



 と言うか、あんな厚そうな肉の壁を容易く切り裂き、しかもそれでいてあれを容易く行っていると言う事実。姫の強さはかなりの物である。



「……私も強さを見せないといけないわね」



 ユリエル姫はそう言って、背中の2本の刀を取り出す。そして2本の刀を構えていきなり走り出す。走り出した彼女は、そのまま跳びあがる。その跳びあがった先に居たのは、空を飛ぶ1匹の蛇のようなモンスターだった。



「はっ……!」



 ユリエル姫は右腕に持っていた刀を投げる。投げた刀は一直線に蛇のようなモンスターの頭に突き刺さる。その刀には紐が付いており、ユリエル姫がその紐の一端を持っている。紐に引っ張られるようにして、空中でさらに加速したユリエル姫はそのまま、左腕に持っていた刀を振るう。



 一閃。

 ユリエル姫の無駄のない、洗礼された剣技は蛇の身体を一刀両断していた。



 ユリエル姫が地面に着地すると、その後ろに1匹の蛇のようなモンスターの身体が真っ二つになって落ちて来た。



「……いかがですか?」



「す、すごすぎる」



 とてもじゃないが、今まで病気で寝ていた人物とは思えないほどの洗礼された戦闘。僕でもあんな事は出来そうにない。

 よし、次は僕の番だ。なにせ、5日ばかり寝ていたんだ。ウォーミングアップを兼ねて、戦闘をこなそう。



 僕は目の前に現れたルフールとの距離を詰めつつ、戦闘を開始した。

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