姫の九字の印
その後、僕と姫は『鋼の城』にて紅葉と合流した。まさか本当に姫が嗅覚で探すとは思っても見なかった。そして姫のステータスを見ると、姫の先程のスキルが分かった。
【朝比奈揺 Lv.15 種族;人間 職業;聖剣使い(改) HP;440/440 MP;280/280 加護;ルルリエルの加護
姫 Lv.16 種族;獣人(狸族と狐族のハーフ) 職業;呪術師 HP;320/320 MP;600/600
△スキル;【臨の尻尾】を手に入れました
紅葉 Lv.16 種族;リッチ 職業;希望の魔法使い HP;114/114 MP;6000/6000】
今までスキルと言う欄は見えなかったが、これは僕が成長したのではなく、ただ単にスキルを知っていたからこそ分かったのだろう。【臨の尻尾】、恐らくは先程アクセサリーを入れた、臨と言う一文字が浮かび上がった尻尾の事だろう。とりあえず、どう言うスキルか分からないので見て置く事にしよう。
【スキル【臨の尻尾】……所有者;姫
主である【朝比奈揺】の渡した物を尻尾に収納する事によって浮かび上がった9文字の印の尻尾の1本。自身のレベルよりも5以上高い者と戦う際、戦闘能力が上がる】
「9文字の印、か……」
それはTVで陰陽師とかで良く見られる、「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」の九字の印の事だろう。残りは『兵』、『闘』、『者』、『皆』、『陣』、『烈』、『在』、『前』の8字か……。これはどうも残りの8字の尻尾にもそれぞれスキルを手に入れる事が出来ると思うべきであろうな。どんな能力かは分からないんだけれども。そう言えば、「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・前・行」と言うのもあるんだっけ? 姫はどっちだろう?
「紅葉さん! 紅葉さん! 次は依頼をする?」
「そうですね……。まぁ、朝比奈さんの希望を合わせるとこれとこれ、とこれが適役ですかね。朝比奈さん、少し見てくれませんか?」
「あぁ、今行く」
ともかく姫の能力は今後の楽しみとして取って置く事にしよう。どんな能力か、個人的に楽しみである。
「あっ、そうだ。朝比奈さん。少しご相談したい事があるんですよ」
「ご相談……?」
「朝比奈さんは今の私たちの戦力について、どうお考えですか?」
戦力、か……。
確か今は、前衛が聖剣使い(改)の僕、そして後衛が呪術師の姫と希望の魔法使いの紅葉。
前衛1人に対して、後衛は2人。確かに良い状況とは言えないだろう。
「前衛が足りないな……」
「はい。後衛職は得てして攻撃力が高い物ほど時間がかかる物であり、その時間を稼ぐのが前衛職です。今まではレベル差や魔物が弱いという理由で浮彫にはなりませんでしたが、これからもそうとは限りません。と言うわけで、私は前衛を増やす事をお勧めします」
「よし……! ちょっと考えてみるか」
確かに紅葉のおっしゃる通り、いつかはダメになるかも知れないし、やれる事はやっといた方が良いだろう。まずは前衛職を増やす事にしよう。