朝比奈、目を覚ます
5日間。それが僕が月裏さんから聞かされた眠り続けた日にちだった。
『呪いと言うのは、それだけ恐ろしい物なんです! いくら他人を救うためとは言っても、自分の身体とかを良く考えてからやってください! 私や、ルルリエルさん、姫ちゃんに、紅葉さんも心配で心配で……!』
「あー……。うん。ごめんなさい」
念話で泣きながらそう言って来る月裏さんの話を聞きながら、やっぱりこう言った事は出来る限り避けるべきだったなと本気で思う僕。
あの日から今日で6日。僕は5日間、眠りこけていたらしい。眠りこけていたからどれだけ身体が鈍ってるのかなと思い、腕を前に振るってみた所、前よりも軽い印象を受けて驚く。普通、5日間も眠っていたら前よりも身体が鈍っているのが普通だが……。
「あっ、そうか。レベルだ」
僕はポン、と手を叩いて思い出す。
紅葉が渡してくれた人形。あれのおかげで、僕は戦わなくても2人が戦う事によって僕のレベルが知らず知らずのうちに上がっていたに違いない。
「さて、どれくらいかな……っと」
そう思って、お馴染みのステータスを出す。
【朝比奈揺 Lv.15 種族;人間 職業;聖剣使い(改) HP;440/440 MP;280/280 加護;ルルリエルの加護
姫 Lv.16 種族;獣人(狸族と狐族のハーフ) 職業;呪術師 HP;320/320 MP;600/600
紅葉 Lv.16 種族;リッチ 職業;希望の魔法使い HP;114/114 MP;6000/6000】
「いや、2人とも頑張り過ぎでしょ……」
色々、ツッコミ所があるが僕の寝ている内にレベルが7も上がるとか……やばい、ニートの頃の楽な生活を思い出してしまうじゃないか。
それに職業。聖剣使いは分かるが、改とはなんだ、改とは。普通の聖剣使いにもなっていないのに。2人の職業も変化してる。特に今まで職を持たなかった姫が職を持っている。
「これはいったい……」
まぁ、これはそのうちにでも考えればいいだろう。まずはお腹が空いて仕方がないから食事でも……
ガタッと大きな物が落とされる音。そしてバラバラと何かが落とされる音。
「ん……?」
と、音が聞こえる方向を見て見るとそこには大きな肉の塊、沢山の細かな野菜。そしてそれを持って来たとされている美少女が1人。
亜麻色と茶色が混ざったような色の髪を腰くらいまで伸ばした16歳くらいの美少女。黒の和服を着た和風美人であり、黒い瞳はくりりとこちらを向いている。首からは金色の首飾りをかけていて、腰に付けているバックの中は茶色い葉っぱがパンパンに詰められていた。そしてそんな見た事のない彼女は何故か瞳に涙を浮かべている。
「ゆ、ゆらぎん……」
「えっ? ゆらぎん?」
それってもしかして僕の事? と言うか、彼女のような色合いをどこかで見た事があるような……
「ゆらぎ――――――――――ん!」
彼女は地面を蹴って跳び、そのまま僕へと抱きついた。
「ちょ……!? 君……!?」
「ゆらぎん! ゆらぎん!」
彼女は何故かとても嬉しそうな顔で、僕に抱きついている。しかも和服では分からなかったがなにげにむ、胸が大きい! しかも何故か頭の上に重点的に抱きついているし……。
「ゆらぎん!」
そんな彼女の頭からは亜麻色と茶色が混ざったような狐耳、そして亜麻色の尻尾が8本、茶色い尻尾が1本生えていた。
「ま、まさか。あんたは……」
「まさか……姫ちゃん?」
「はい!」
彼女、姫ちゃんは「うん!」と頷いていました。
タグに『美少女』と『女神』を入れておきました。あと、今日の7時くらいからレビュー禁止を一時的に解禁してみます。反応がなければ、やっぱり禁止の方向が良いのかなと思いつつ、また禁止にする方向性を考えております。