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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
神のみぞ居るセカイ
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新・転送の神の主神

 アバユリに頼まれて、新しく任命された転送の神の主神である浅尾ミカゲを探す裏方の神、月裏ラキナエル。



「ここ、ですかね? さっきの電話にあった、『水の精霊たちが水浴びするのに適した人工的な憩いの場所』と言うのは」



 月裏はそう言って噴水の方を見る。女神の彫像の壺から滝のように水が流れる、ギリシャ時代に作られたような白い噴水。『女神の噴水』と言うこの神の街にある一番有名で、壮大で美しい噴水と言えばこれである。



 月裏は沢山の人間と付き合う事によって、その人付き合いの経験則からどんな人間だろうとも仲良くなれる人身術を掌握した。勿論、全ての人間と仲良くなる事は出来はしないけれども、少なくとも何を言いたいのかなどのコミュニケーション技術は上昇した。神様とは誰も彼もが個性的な人物で、裏方の神はその神達との交流が一番あったので当然だけれども。



 試練を与える事で人の成長を促す生粋のS系の試練の神、日向ラファエル。

 女好きにしてちょっぴり純真な側面を併せ持つ大剣の戦女神、戦恋ルルリエル。

 良い人すぎる協調主義のギルドの神、天見アバユリ。

 俺様様主義の自由奔放すぎる元転送の神の主神、夜比奈ユラギーン。

 イベント主義のフラグメーカーの運命の神、戦恋メモリアル。



 どれもが個性派揃いの神様達。そして他にも沢山存在する個性派な神様達。そんな彼らとのコミュニケーションによる経験則から、月裏はあの浅尾ミカゲがどう言った人物なのかを予想していた。



(あれは……中二病ですね)



 人間界の一部に見られる妄想病の一種。精神的に不安定になる思春期に成長する自意識と残った幼児性の間で背伸びをするような言動。またそのためにおかしな行動をとってしまうこと。実際の医療で言う病気ではないんだけど……まぁ、病気です。



 浅尾さんはその中でも特に決まった物もなく、難しい言い回しを好む精神論者のようです。と言う訳で、あの『水の精霊たちが水浴びするのに適した人工的な憩いの場所』は、水が良く湧き出る人工的な場所、つまりは月裏は噴水へと来たんだけれども……



「ここは……外れですかね?」



 月裏はそう言いながら他にどこがあるかなと迷っていると、



「悠久の時を得て邂逅せしえし我は、貴君らとの邂逅を感謝致す」



 月裏は後ろから聞こえて来た声に耳を傾けて後ろを向く。そこには明らかにこの人物だろうと思われる中二病的な格好をした美少女が居た。



 肩の辺りまで伸びた金色の髪に、右目が赤と左目が青のオッドアイが特徴の小柄な女性。様々な奇怪な模様の描かれた黒色のゴスロリドレスを着込んでおり、小柄さとは裏腹に胸が大きめ、DやEはあろうかと言う大きさの胸が特徴の彼女。



「この世界で会うのは初めての産物であり、そして初の邂逅である故に特別に我が真名を名乗ってやろう……と思ったが、この世界だと我が真名は発音出来ない故にこの世界での我が通り名をそこに居る女性に餞別代りに教えて差し上げん。我が名は浅尾ミカゲ。新たに転送の神の主神へと任命されし、麗しの聖処女である」



「や、やばいです……。異常に扱いづらいです……」



 浅尾の対応に困る月裏だったが、一応ではあるけれどもコミュニケーションが取れる状態である事にホッとする月裏。中二病者の中には話が通じない者も居る事を知っており、それ故にホッとしていた。



「えっと、温泉に案内しますから付いて来てください」



「我、貴君の指し示す光の道を付き従おう」



 彼女はそう言って、月裏の後ろに着く。そしてそのまま月裏は浅尾を連れて、『理想郷温泉 ミランダ』へと向かうのであった。

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