仲間との顔合わせは大切
とりあえず自分のステータスとスキルは確認しておいた。まずは使い魔と顔合わせをしないと。自己紹介は大切だし。
……どうやって出せば良いんだろうか? 出したいんだけど。
【タヌキツネLv.1とリッチLv.1を出しますか? はい/いいえ】
「……これって思ったら出せるんだね」
深くは考えないようにしよう。これはこう言った物として考えといた方が良いでしょうか? と、とりあえず、【はい】と思っておこう。
【タヌキツネLv.1とリッチLv.1を出現させます】
そう言ったメッセージが頭を過った後、白い煙が出て目の前が見えなくなる。
……くっ! み、見えないな。
そして白い煙はどんどんと薄くなって行って、遂にそれは姿を現した。
「けほけほ……。神様、ちょっと演出過剰じゃないんですか?」
「コンポ! コンポ!」
煙が消えて目の前に現れたのは、顔色が悪そうな女の子と小動物であった。
顔色が悪そうな女の子は、汚れが付いたローブを着た160㎝くらいの美少女。顔色は少し悪いけれども腰まで伸びる少し濃いめの藍色の髪と同じ色の瞳が美しい感じを演出していて、スタイルもちょっと薄目(どことは断言しませんが)だけど、かなり可愛い。右手には枯た木のような杖を持っている。
小動物の方は狸くらいの動物。毛並は狐のような金色の毛と狸のような茶色い毛が混ざったような毛並であり、尻尾は茶色い毛の尻尾が1本混ざった9本の狐のような尻尾。
顔色が悪そうな女の子は恐らくリッチで、小動物の方はタヌキツネだろうね。
「あっ、あなたが朝比奈さんですね。私、リッチです。こっちはタヌキツネ」
「コポン……」
「え、えっと朝比奈です。よろしく」
僕はそう言って、手を差し出す。「こちらこそ」とリッチは手を差し出した。
あぁ、これならばよりよい関係が気付けそうだね。
ボキッ!
あれ、何か嫌な音が……。
「あっ、ごめん。朝比奈さん。
……私、もう駄目かも知れない……」
ガクッ、とリッチは倒れた。
「えぇ―! あ、握手しただけなのに!?」
と、とりあえずステータスの確認を……
【タヌキツネLv.1 HP;100/100 MP;200/200
リッチLv.1 HP;10/50 MP;3000/3000】
MP、高っけ! その分、HP低い! ピーキーすぎる! とりあえず治癒魔法かなんかをタヌキツネに使って貰って……
「あ、あの朝比奈様。私、リッチと言うゾンビ系の魔物なので治癒魔法かけられたら死んでしまいます」
「えぇー!?」
じゃ、じゃあ薬草を。と言うか、周りの草花のどれが薬草か分からない! ど、どうすれば……。
「コポン!」
迷っていると足元から声が。タヌキツネが何かの草花を持っていた。もしかして、これ、薬草?
「もしかして薬草を取って来てくれたの? ありがとね、タヌキツネ」
そう言って、僕はタヌキツネの頭を撫でる。
「クゥ~ン」
おっ、嬉しいか。まぁ、昔から家族が多かったおかげで小さい子供の扱いには慣れてるから、撫でるのとか得意なんだよな。何にも自慢にもならないけど。
「おっと、リッチも助けないと」
そう言って、とりあえず薬草を飲ませる僕。口移しとかはしませんよ、一応意識はあるんで。
「……はぁ、助かりました。朝比奈様。ご迷惑をかけてすいません」
「気にするな、仲間でしょ? まぁ、次からは気を付けるよ」
握手とかも気を付けないとな。うん。僕はそう言って、リッチの頭も撫でておく。
心配した気持ち5割と、可愛いから撫でていたいと言う気持ち5割の表れだ。
「……何だか恥ずかしいですね」
リッチは顔を赤らめながらそう言った。