第4王女は呪われている
朝比奈揺の飛ばされた異世界では、結婚適齢期と言うのは12、13歳と低い。それは王族の結婚が9歳や10歳と速いのが原因の1つにあげられるが、魔物の侵略を恐れた民間人の結婚も12、13歳と低いのも原因だと考えられる。つまりは地球の結婚、16歳の女性や18歳の男性だと結婚としては遅いと言う事になっている。
この異世界にある王家、アトラシ王家では7人の男性と6人の女性のうち、12人が結婚して各地の貴族や領主、果ては村人に嫁いだ変わり者まで居る。しかしただ1人、今年18歳にもなるにも関わらずに結婚していないのが、第4王女のユリエル・アトラシである。
ユリエル・アトラシは、王様であるコウキ・アトラシと女王であるクイン・アトラシの2人から生まれた6番目の姫であり、最も美しいとされている容姿をした女性である。
生まれた時から既に人の目を惹きつける容姿をしていた彼女は、あらゆる者に祝福されていた。そして成長してもその美しさはどんどん洗練されていってどんどん美しくなっていった。唯一の誤算としては、あまりにも美しすぎて婿入りの話が何個もあったのだ。まだ6歳の頃で彼女の婿入りの話は既に20は超えていた。
その中でも最も彼女に肩入れしすぎて、病むほど肩入れしすぎたのがとある貴族の一人息子、クナイ・ヤマイであった。彼は19歳と結婚を逃してしまったとされながらも世間に噂されながらも、それよりももっとやばい噂に絶えない男だった。彼はヤマイ家で密かに、裏で伝承されていた秘薬を使って沢山の女性を薬漬けにして奴隷のように扱っていた。麻薬や暴力事件などそのほかにも色々と黒い噂の絶えなかったクナイがユリエルを嫁に貰うと言って来た時、両親はそりゃあもう反対した。
その事に怒ったクナイが抗議をしに、王家へと乗り込んできた。
「コウキ様、それにクイン様。私のどこが不満だと言うのですか! 私は沢山の薬、沢山の呪いなどを知っています! どうすれば人は美しくなるのか、どうすれば人は従順になれるか、どうすれば人は淫乱になるのか私はそう言った事を、誰よりも、そう誰よりも理解しているつもりです。
私さえ良ければ、ユリエル姫を今よりももっと良い女性にする事が出来るでしょう。なのに何故、私にユリエル姫を渡してくれないんですか? 私はこの世における、女性を育てるスペシャリストだと言うのに!」
と、クナイの必死な言い伝えは2人の両親に対してはむしろ逆効果だった。
「そんな事を言う人に、どうして大事な我が娘を渡せると言うのだ! お前のような人間に、大事な我が娘を渡せるほうがどうかしている!」
「そうよ、私としてもそうに決まっておる。お前にユリエル姫は渡せはしないわ」
それに怒ったのはクナイである。
「私はこんなにも! こんなにもあなたの事を思っていると言うのに! どうして私の訴えを理解してくれない!
ならば私が出来る事とすれば、私が死んで、そして彼女も殺して私と彼女は1つになる!」
そうしてクナイは「フフフ……」と笑いながら、懐から黒い短剣を取り出す。それは刃に謎の紫色の煙を放つ、謎の短剣であった。
「今ここに、ユリエル姫に呪いを打ち付ける! クナイの楔を受け取るが良い、我が愛しの姫様、ユリエル姫!」
そう言って、彼は自身の胸にその短剣を打ち付けて――――――――――絶命した。そしてその黒い短剣から紫色の煙が出て行き、ユリエル姫へと向かって行った。
後の調べでユリエル姫には、とある呪いがかけられている事が判明した。
チャイルド・エターナル。通称、成死病。
歳が進む事ごとに呪いが強まって行って、体力を奪って行って20歳を、成人を迎えると共に死んでしまう。この呪いを治すのは、事実上不可能と言われている。成人するまでにこの呪いを治そうとすると、呪いが強まり死んでしまう。だからこそ20歳以上の時の身体でないと、この呪いを治す事は出来ない。それはこの呪いにかかりながらも21歳まで気合いで生き抜いた男性が証明していた。
しかし、それは身体が本当に頑丈で、本当にこの呪いを乗り越えた物にしか出来ない事だ。
事実上、計算上、ユリエル姫が20歳を超えてもなお生き残る確率は限りなく0に近く、そして呪いを治せるかどうかはまた別の話だ。
これを無事に治せるのはこの呪いをしかけたクナイ・ヤマイ本人だけであり。それ以外の方法だとこの呪いを20歳以上の人間に移して、この呪いを治せるほどの高い魔力を持つ魔法使いに治癒の魔法をかけて貰うしかない。
しかし、チャイルド・エターナルと言う呪いは彼女の身体にがっちりと絡みつくように絡みつき、彼女よりもほんのちょっと低いくらいの呪い耐性持ちだと呪いは、その物にいかない。
打つ手なし。
それ故、最も美しく、最も気高く、そして最も儚い美少女。
ユリエル・アトラシ姫は、18歳になった今でも、結婚せずに自身の呪いと戦っている。