ドロップアイテム
宝箱を開けると、中には3つの物が入っていた。金色と茶色が混ざったような毛玉、5枚組の薬草の葉っぱ、そしてヴェルモットクレイが背負っていたのを小さくしたような黒い大剣の3つが、宝箱に入っていた。
「多分、これですね」
紅葉はそう言って、宝箱の中に入っていた金色と茶色が混ざったような毛玉を取り出して、その取り出した毛玉を姫に差し出す紅葉。
「コポン?」
「さぁ、早くこれを貰ってください、姫。これは姫ちゃんに必要な物です」
「コポン? コポコポ」
姫が差し出された毛玉に手を差し伸べて、その差し伸べた毛玉は姫の手が触れた瞬間に消えて行った。
「コポッ!」
「どうやら片割れは本体が触れた瞬間に、本体に吸収されるようですね。
……ともかくこれで安心しました。これで良かったです」
ふー、っと溜め息を吐く紅葉。それは心からの安堵の溜め息だった。
彼女の顔を見て、僕はこれで彼女の悩みが解決したんだと知った。何かは分からないが、これで問題は解決したらしい。あぁー、良かったー。
「……っと、この大剣は、っと」
僕は大剣の名を知るために、どこかにこれの名前が書いてないか探してみる。売るにしても使うにしても、この大剣の名前を知らない事にはしょうがないし。
「おぉ、あった。あった」
僕は柄に書いてある文字を読む。そこにはこう書かれていた。
【大剣アザゼラクト】
そして僕はその大剣と、薬草、それから紅葉が抱えていた問題も解決したらしい事を、嬉しく思うのであった。
【朝比奈揺 Lv.8 種族;人間 職業;聖剣使い初心者 HP;120/300 MP;45/140 加護;ルルリエルの加護
姫 Lv.10 種族;獣人(狸族と狐族のハーフ) 職業;なし HP;190/260 MP;245/460
紅葉 Lv.10 種族;リッチ 職業;決意の魔法使い HP;68/108 MP;4000/4900】
加護には2種類のパターンがある。
1種類目は常時発動しているパターンで、例えば眼の神の加護の場合、常に視力が異常なまでに良くなると言う事である。2種類目はある一定条件で発動しているパターンで、例えば銃の神の加護の場合、銃を持った時に加護が発動する。
そして戦恋ルルリエルの加護は、その2種類目に分類される。
今、朝比奈揺は大剣アザゼラクトを手に入れ、戦恋ルルリエルの加護が発動した。
大剣の攻撃力が2倍になり。
大剣のスキル上昇率が2倍になり。
―――――――そして女の子絡みのトラブルに巻き込まれやすくなったのであった。
Episode1、姫ちゃん編終了。