月裏オボロとゴーレム(1)
「金の札と銀の札!」
姫が金色の札と銀色の札に炎を纏わせて、その金色と銀色の炎を発射される。発射された金色の炎と銀色の炎は、月裏オボロが乗るゴーレム、ベルローズへと放たれた。
「リリーベルの硬化能力、作動」
オボロが操作すると、リリーベルの身体が光り始めて、ベルローズも同じく光り始める。そして金色の炎と銀色の炎がベルローズの身体に当たるも、まるで強固な壁に止められるように、弾かれて地面へと落ちて行った。地面で燃え上がる金色の炎と銀色の炎。
「リリーベルの能力は、思った以上に健在と言う事か」
全く……。気絶して敵に利用されるとか、迷惑極まりない。まぁ、リリーベルもそんな事を思っていた訳では無いんだろうけれども。
「氷鉄撃!」
月裏さんが氷の不死鳥の状態にて、氷を纏ったまま、拳を大きく振るう。そして氷を纏った拳を、直接月裏オボロに目がけて攻撃する。
「月裏ラキナエルさん。その考え方は【寿司】ですよ。直接、操縦席を狙うと言う考え方はね。けどね、それを守るわたくしもまた、【寿司】だとは思いませんか?」
そう言って、月裏オボロはボタンを押すと、ベルローズの身体に取り付けられていたハンマーから小さな虫型のゴーレムが出て来て、それが月裏さんに襲い掛かって来た。
「なっ、なんですか。これは……!」
月裏さんを小さな虫型のゴーレムが襲い、月裏さんはそのまま地面へと落とされる。
「うーむ、良い感じだなー。どうだい、硬化して重くなった小型昆虫型ゴーレムの重さは? そんなに小さいけれども、ゴーレムだからかなり重いから【寿司】!」
なんだか虫型とか、ロボットのようなゴーレムがあって、ゴーレムについて色々と混乱しているのだが。とにかくまずはこのベルローズとかの弱点を見つけ無い事には、攻撃しても無意味でしかない。
「……なら、あれを!」
ユリーがそう言って、長刀・アイスバーグと長刀・ボルケーノを放つ。放たれる先には、ベルローズに取り付けられたリリーベル・フランベルの姿があった。
「そうか、リリーベル!」
このベルローズが硬いのがただでさえ硬くなっている理由は、リリーベル・フランベルが居るから。ならば、その理由の1つであるリリーベル・フランベルを取り除こうと言う算段なのか。
「おっと、そう来ますか。けどね、そんなのにも対応しているわたくしは【寿司】!」
オボロがボタンを押すと、『emeth』と書かれたシールドが出てリリーベルを包み込む。そして長刀・アイスバーグと長刀・ボルケーノは、そのシールドを防いでしまっていた。
「そのシールド! 燃やす!」
姫が金色の札に金色の炎を纏わせて、シールドへと放った。しかし、シールドは破壊されずに、金色の炎は跳ね返されていた。
「無駄なのよね。シールドだけならば金色の炎も壊せたかも知れないけれども、リリーベルの硬化も合わさっているから破壊は不可能なのよ。これぞ、まさしく【寿司】!」
シールド付き、か。なかなか色々な機能が搭載されているな。けれども、敵側にあるから、本当に嫌なのだが。
(……ん? 『emeth』とゴーレム?)
何か……あの『emeth』と言うマーク、どこか気になるような……。
【ベルローズ】
シールドには『emeth』の文字が刻まれています。
【月裏オボロ】
彼女の背後に危険が迫っているとは、この時の彼女は知らなかった……。