偽りの神となりし者(2)
「落雷の一節、暗雲の章」
豆羽ユウトは雷を纏う黒い暗雲を幾つも作り出して、その幾つも作り出した黒い暗雲を放った。豆羽ユウトより放たれた黒い暗雲は、宙を物凄い勢いにてこちらへと向かって来る。放たれた暗雲は、豆羽ユウトの口を塞いでいる長刀の紐の持ち主であるユリーにめがけて放たれていた。
「……拙い」
ユリーはその攻撃に対して、もう一つの放たれていない長剣・アイスバーグを放って対処しようとするも、雷の立ち込める暗雲にそれは悪手でしか無かった。長刀・アイスバーグが真っ黒な暗雲の中に入ると共に、雷が紐に伝わってユリーの所へと伝わり、ユリーは雷で痺れていた。
そしてユリーは痺れて倒れる。
「ユリー!」
姫は倒れたユリーを見ながらそう言い、さらに力を込めて黒と白の札の火炎に力を込めて、ユウトの暗黒の火炎を吹き飛ばしていた。吹き飛ばされた暗黒の火炎は、ユウトへと返って来る。
「極光の一節、守護の章」
ユウトが魔法を唱える事によって、ユウトへと向かって来た暗黒の火炎がユウトから離れて行く。『光』まで扱えるとは……魔導書の神様である事はある。まぁ、偽りの神様と合体したみたいだけれども。
「魔法ではあいつの方が圧倒的に有利。ならば―――――――!」
魔法以外で攻めれば良いのだ。とは言っても、弱点ばかりは知っておかないと対処のし甲斐が無い。
「……月裏さん。今からアースソナーで豆羽ユウトの弱点を探してみるから、足止めを頼む」
恐らくそのままアースソナーを行ったとしても、魔法を記した魔導書の神様である豆羽ユウトにはお見通しなのだろう。ならば、どうすれば良いのか? それは月裏さんに頼んで、豆羽ユウトを地上に縛り付けて貰う事だ。その間に僕がアースソナーを行って、弱点を探し出す。
「……分かりました。が、頑張りますね!」
そう言って、月裏さんは火炎の翼では無くて氷の翼となる。そして、その氷の翼でそのまま、豆羽ユウトの周りを舞う。月裏さんが周りを舞うと、豆羽ユウトがそれによって氷漬けになる。
「火炎の一節、紅蓮の章」
豆羽ユウトがそれを溶かそうと、火炎の魔法によって溶かして行く。火炎の魔法によって溶かされるが、既にアースソナーは完了済みだ。凍っている間に、もうアースソナーによって豆羽ユウトの弱点は把握済みだ。
「見つけたぞ、豆羽ユウト。君の弱点を」
さぁ、反撃開始だ。豆羽ユウト、君の弱点は……。
「姫、ユリー。そして月裏さん。君達が彼の弱点だ」
そう、彼の弱点は炎。神様とは言っても、魔導書だから、燃やせば魔法のページが燃えた事になって、魔法も使えなくなる。僕は『炎』は出せないから違うけれども、彼女達の力を借りる事で豆羽ユウトを倒せる!
「……いや、待てよ」
あいつは神の性質も手に入れている。と言う事は……。
「僕の神殺しの称号も、役に立つんじゃないだろうか?」
2014年1発目です! これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。