偽りの神となりし者
「偽りの神……?」
豆羽ユウトが合体したのが偽の神様って、どう言う事だろうか?
「時代はいつだって移り変わっているんだよ。石だって崇め奉る物が居れば、自然と神へとなる。それが神と言う概念的な物だよ。神は生物と言うよりかは、物体に近いんだから。何せ、そんな風に簡単に、あっさりと、誕生してしまうんだから。その辺りも自分が神が【寿司】な所だったりするんですけれども? そしてそんな偽りの神様をちゃんと取り込んでくれた、こっちの意思に沿って動いてくれた豆羽ユウトには、【大寿司】とだけ言ってあげちゃう♪」
「……豆羽ユウトは魔導書の神様の死体を取り込んで、神となったと聞いたのだが?」
神となったから、流石にどんな能力を手に入れたと思いきや、意思を失くした人形みたいになっているとは……。
「ユウトとリリーベルを育てた眷族に、魔導書を渡しておいたんですよ♪ 人型の魔導書をね♪ そしてその人型の魔導書を殺して、眷族に神にするように指示を出しておきました。そして見事なまでに、神となった魔導書を取り込んだ豆羽ユウトの完成ですよ♪
さぁ、豆羽ユウト、魔法にて敵を殲滅して置いてくださいな♪ わたくしはこれからやる事が出来ましたので♪」
オボロがそう言うと、オボロの横で宙に浮いてたたずんでいた豆羽ユウトがゆっくりと地面へと降りて来る。そしてその手をこちらへと向ける。「じゃあね!」とそう言って、オボロは霧のように消えて行った。
「―――――――火炎の一節、火柱の章」
ユウトが小さくそう呟くと、地面を伝って大きな火柱がこちらへと向かって来る。
「―――――――――次いで暗黒の一節、消滅の章」
火柱と共に、球状の暗黒の闇が渦を巻いて放たれる。そしてこっちへと向かう途中にて、火柱と暗黒の闇は一つとなり、全てを飲み込む暗黒の火炎となってゆっくりと近付いて来る。
「火炎なら、こっちが相手!」
姫がそう言って、尻尾から金色の札と銀色の札を取り出す。そして金色の札に黄金色の炎、銀色の札に白銀色の炎が纏われる。そしてそれぞれの炎を纏わせた札を発射した。発射された黄金色の炎と白銀色の炎は、暗黒の火炎とぶつかる。
「うぐぐぐ……!」
姫が苦悩の表情で、暗黒の火炎との相手をしていた。
「―――――――落雷の一節、天雷の章」
そう言って、ユウトが新たに雷を落として姫を攻撃する。
「土の壁よ、雷を防ぐ盾となりて現れ出でよ」
僕は姫に囲い込むようにして土の壁を作り出して、ユウトの放った雷を防ぐ。そしてユウトは新たに火炎の魔法を発動する。そして青白い火炎の塊を発射して、その発射した火炎の塊を月裏さんが防ぐ。
「炎なら、ま、負けません!」
「火炎の一節、気炎の章。しかして、防がれてしまったなり」
ユウトはそう言って、新たに魔法を作り出す。止める事なく魔法を作り出すユウト。一体、こいつはどこまで魔法を出せるんだ……。
「魔導書と合体したからと言って、この強さ。なかなかあり得んな」
「……そりゃあ、腐っても神様となった魔導書ですし」
そう言って、ユリーはユウトの口を長剣の紐で塞ぐ。苦しみだすユウト。よし、これで魔法を……。
「……ダメみたいですね」
そう言うユウトの周りには、雷が立ち込める暗雲が立ち込めていた。
【豆羽ユウト】
せめて大晦日くらいはカッコつけさせてください……。
【月裏オボロ】
今年も良い年でしたね! まぁ、わたくしにとっては全ての年が【寿司】!