魔王と勇者(2)
目の前に居る人物を、私は【反逆勇者】である豆羽ユウトだと判断する事はなかなか難しかった。何せ、私の記憶の中の豆羽ユウトとあまりにも違っていたからである。
黒くても艶やかに輝くような髪は左右、そして背中に長く伸びている。そして背中には大きな辞書のような本が取り付けられており、両腕と両足は木で出来ている。そしてその身体を何匹もの魔力で出来た龍がくるりくるりと回っている。
「……ユウト。どうしたの、その身体は……」
「フフフ……。私は神だよ、そう魔神になったんだよ」
神? どう言う意味なんでしょうか?
「トト・フロッグ。彼は実に優秀なメンバーだった。普通、人に手術する場合は、何らかのリスクがある。けれども、トト・フロッグは物さえあればその物を利用してその物の性質を得る事が出来る。
獣を入れて獣の性質を、爆弾を入れて爆弾の性質を得る事が出来る。だから、神さえあれば神の性質を得る事が出来る」
神さえあればその性質を得る事が出来る。トト・フロッグの事を聞いていたから、それについては何も問題はない。問題があるとすれば、その神の性質を得るための、神をどこから調達したと言うのが問題なんだけれども。
「まぁ、魔神だろうとあなたの暴走は、姉として止めてあげるわ」
私はそう言いながら、手に魔力の塊を作り出して、その塊を硬化させる。
「神ならばこれでも受けてみなさいよ」
私はそう言って、魔力の塊を硬化させた物を豆羽ユウトへと発射した。無色のこの魔力の塊を簡単に対処出来るとは思わないで欲しいですね。
「神だからね。色々と対応させて貰おう」
ユウトはそう言って、その木で出来た手で硬化した魔力の塊を撃ち落としていた。
「私は魔の神、魔神になったんだよ、姉ちゃん? そう簡単に倒せるとは思わないで欲しいな、一応これでも神の性質を得て、凄い力を手に入れてるんだからさ!」
ユウトは「ハハハハ!」と狂ったように笑う。笑うと共に、背中に取り付けられた本が独りでにぺらぺらとめくられて行く。
「【教会軍】と手を結んだのは、単に姉ちゃんと戦うための戦力集めだけでは無いんだよね! 何が目的だと思う、姉さん!?」
「……使い捨てにするためとか?」
「ハハハハハハ! 良いね、姉さん! それも正しいと言えば正しいし、真実であれば真実だよ! 実に素晴らしい指摘だね、姉さん! けど、聞きたかった言葉とは違ったんだよ、姉さん!
【教会】には生き神と呼ばれる、この世界に過去に存在していた神様の死体が保管されているんだよ! その神の死体を私達は盗み出したんだよ!」
「それを使って魔神となったとでも?」
……神とは言っても、死体を保管している【教会】も【教会】ですけれども、それを盗み出して自分の身体に取り付ける私の弟も弟ですけれども。
「神の出所は分かりましたが、それで? その身体がその神様の性質?」
「そう! この魔術書の神様の力を見せてあげるよ、姉さん!」
そう言って、ユウトはニヤリと笑う。
「さぁ! 最高に素敵なパーティーをしましょ? リリーベル姉さん!
アハ! アハハ! アハハハハハハハハハハハハハ!」
12月も後は1週間もありませんね。1月から自分が何人かキャラの制作を手伝ったテイクさんの作品が始まるみたいです。斬りたいと言う願望を持つ強さだけを追い求める主人公の小説です。
自分が担当したのは、以下の人達です。
・胸に強い憎しみを持って、抉りにくる女の子
・文字通りの意味で熱血の、自身の身体も燃え上がる兄貴
・兄貴の彼女の、全てを凍らせる力を持つツンシュン
・方向音痴で迷子の海賊船長と、その部下
・落ちこぼれ系実は強い型陰陽師
詳しい話はまた明日……話さない方が良いですかね?
【豆羽ユウト】
魔力の神=魔神と言う訳では無いですけれども、彼の中ではイコールみたい。
【教会】
この世界で死んだ神様の死体を、保管していた。