表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
絶対危愚銃器 Amazing Arms
252/266

さよならは突然に

「も、もみじん! そ、その身体は!?」



 姫が慌てつつ、崩壊している紅葉の身体を見て大慌てしていた。



「……さ、先程のスカラベのせいでしょうか? で、でも私には何もないのに……」



「……不死鳥には大丈夫でも、リッチには効果絶大だったとか?」



 月裏さんとエリーの2人が姫に続いて、紅葉の身体を心配する。



「な、何が……」



「何ですか、朝比奈さんが一番後ですか。これでも私は、それなりに尽くしていた気がしてたんですけれども。それでこの結果だと、ちょっと悲しいですね」



 僕が一番最後に声をかけたら、そう言う紅葉。そう軽口を立てている間も、紅葉は少しずつ徐々に崩壊しており、もう既に彼女の髪はほとんど無くなってしまっていた。



「……崩壊が一番早いのが髪からってどうなんでしょうかね? あぁ、乙女の髪は命みたいな言葉みたいな、なんだかそんな言葉がありましたよね。私としてはそんな事はないと思っていたんですけれども、髪から消えて行く事を考えたらその言葉を痛感しますね。最も、乙女の髪は命じゃなかったんですが、もう覚えてないですね。

 アハハ、脳の崩壊も始まっていると言う事ですかね」



「笑い事じゃなくて! 紅葉! いったい、どう言う事なんだよ!」



 髪がなくなった事をあっけらかんと言う彼女に、僕は肩を掴んでそう言う。



「痛いですよ、朝比奈さん。……あぁ、けどもう痛みも感じないですけれども」



「もみじん! もみじん!」



「はいはい、姫ちゃん。さっきの札はグッジョブですね。どうにかして死神セグウェイの爆弾の性質を利用したと思っていたんですが、あの姫ちゃんの爆炎の札は良かったですね。これで私が(・・)居なくなっても(・・・・・・・)安心です(・・・・)



 姫に身体を揺らしている最中も、紅葉は「いやー、成長してますね」とお母さんのように姫に接していた。



「ユリエル・アトラシ姫。この戦いが終わったらでも良いので、正式に結婚式でも開いてくださいね。うちの姫ちゃんはそう言う正式な形が好きなので。まぁ、ユリエル姫さんや月裏さんもご一緒に結婚すれば良いと思いますけれども」



「……紅葉さん、あなたは?」



「も、紅葉さん、あ、あなたにも居て欲しいんですけれども」



「私は父兄席で……いや女性ですから母姉席かな? とにかく、そう言うような形で、天から皆さんを見守っていますから」



 「さて、これで伝えたい事は伝え終わりましたかね?」と紅葉はそう言って、ゆっくりと距離を取ろうとして、そのまま転ぶ。



『紅葉!』



 慌てて僕達は紅葉の元へと近付く。彼女の身体は既に腕も、足も、崩壊してしまっていて、ただ瞳がこっちをじっと見つめていた。



「ハハハ……。足の方も限界でしたか。後、伝える事としたら、今のこの状況でも伝えておきましょうかね。これは別に、死神セグウェイの巨大スカラベのせいでこうなったんじゃなくて、そうなる前からこうなったって言うか……。いつか来る終焉が、前倒しでこのようなタイミングになってしまったと言うか」



 ど、どう言う事なんだ? まるで……初めから(・・・・)死ぬ事を(・・・・)知っていたように(・・・・・・・)



「姫ちゃんが自身の力を完全に取り戻したのと同じように、私も私自身の力を完全に取り戻したんですよ。それによって魔法技術が前以上に向上しまして、【魔王】のリリーベルさんを風の魔法で隠れさせて、【勇者軍】の場所に潜入させる事が出来ましたし」



 ……! そ、そう言えば、そのリリーベルさんの姿が無い。い、いつの間に。誰も気づかないように、こっそりとリリーベルさんに姿を消す魔法をかけておくなんて。



「けれども、姫ちゃんと違いましてこっちには差し迫った代償みたいな物がありまして。どうも、身体が徐々に崩壊していくんですよ。どうも、リッチの性質がそれその物だったみたいですけれども。私はそれを知っていましたので、いつかこの身体が崩壊する事は知っていたんですよ」



「そ、そんな……!」



 身体が崩壊する事を知っていた、と紅葉は簡単に言っているけれども、そんなに簡単な言葉で片付けられるとは思っていない。身体が崩壊していくって、かなりヤバい状況なんじゃ……。



「い、言ってくれれば……!」



「『もっと気を使った』とか言うんでしょうか?」



 僕の言葉に、紅葉はそう返す。



「でも、私はですね。気を使われるくらいならば、皆の力になって死のうかなって……。まぁ、本当だったらこの身体で【反逆勇者】の身体を一撃でも防げるかなって思って。ちょっとタイミングを間違えましたね」



「や、止めて! もみじん! それ以上、喋らない!」



「……もう良いでしょう。紅葉さんの頭ならば、何か策を考えて崩壊を止められるのでは? 例えば月裏さんの不死鳥の能力を使えば、行けるんじゃあ……」



「そ、それです、ユリーさん! い、今、私の不死鳥の能力で……!」



 姫、ユリー、月裏さんの3人はどうにかして出来ないかと考えて色々な案を出して行く。それを聞いて、嬉しそうな顔をする紅葉。



「皆、考えてくれて嬉しいですね。けど、もう無理みたい……。

 最後に皆様。



 ……会えて良かったよ、さようなら」



 そう言って、紅葉はニコリと笑顔をしたと思ったら、彼女の全身は塵へと変わり、一陣の風によってその塵は吹き飛ばされた。

【死神セグウェイ】

 ナナミ・クジョウ、ミコト・デスルード、そして紅葉。3人に止めを刺した彼女は、十分に勇者の力になれたのではないだろうか?



【紅葉】

 ありがとう。

 ちなみにあなたが思う、彼女のイメージ声優は誰でしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ