死神セグウェイの終焉
『……!』
死神セグウェイの腕と合体した巨大バズーカから放たれた、渇きをもたらす巨大なスカラベ。それは捨て身でぶつかった紅葉によって防がれていた。防がれていたとは言っても、それは紅葉の身体を犠牲にしたものであり……。
「ハハ……。参っちゃいますね。これでも相当、魔力で体力的な補強をしてこのざまですか」
そう言いつつ、スカラベを風で吹き飛ばして、立ち上がる紅葉。それを見て、驚いたのは死神セグウェイだった。
「あ、あれ? ど、どうして死神モトの巨大スカラベを受けて、渇きもせずに立っていられるんだ!?」
「死体には元々、水分なんて関係ないですからね。私にその巨大スカラベの攻撃は効かないんですよ。まぁ、渇きなんて要りませんから喰らっても意味が無いんですが」
確かにそうだ。死神セグウェイの巨大スカラベはその物の水分を奪い取る能力ではあるが、リッチと言う死体のモンスターである紅葉には関係が端からないのであろう。
「……渇きが効かないですか。だとしても、まだこちらにはセグウェイの能力があるから、倒させていただきましょう」
そう言いつつ、死神セグウェイは拳銃を作り出して、その拳銃から銃口を向ける。そしてその拳銃の引き金を向ける。
「スカラベが効かないのならば、直接銃弾で止めを刺すに限りますね。まぁ……とは言っても、直ぐにやらせていただきますけれども。
フフフ……。では、止めとさせていただきますね」
「それは……違いますよ。止めなのは、あなたです」
「はぁ? 何を言っているんですか?」
紅葉がそう言うと共に、死神セグウェイはきょとんとして首を傾げる。そしてその死神セグウェイの身体に、先程紅葉が放った巨大スカラベがぶつかる。しかし、死神セグウェイにぶつかっても、先程と同じように渇きを奪ってはいなかった。死神セグウェイはその巨大スカラベは掴んでいた。
「これはさっきのスカラベで……。とは言っても、私は渇きが要らないとかでは無く、私自身の能力ですから能力が効かないのですが。これで私に止めがさせるとでも?」
「自身の能力が効くとは思ってはいない。けれども、あなた達はトト・フロッグの【テセウスの船】の能力で復活したんでしょ? 【テセウスの船】は代替品として使った物の特性を受け継ぐ。そして、トト・フロッグは、爆弾好きでした。
そんな彼が、あなた達の代替品に使った物は恐らく爆弾に違いありません」
「それが何か……ハッ!」
そう思いつつ、余裕ぶっていた死神セグウェイだったが、その横で死神セグウェイが持っている巨大スカラベには、【爆炎】とかかれた札が貼られていた。
「姫ちゃん、今ですよ?」
「はい! もみじん!」
そう言いつつ、姫は札に力を込める。そして【爆炎】と書かれた札は、その名の通り、大きな爆炎を発動して、死神セグウェイを飲み込んだ。
「や、止めろ……。私の身体には、爆弾の性質が……」
死神セグウェイはそう言うが、もう遅い。爆炎は死神セグウェイを飲み込み、死神セグウェイは爆発した。
そして死神セグウェイは爆弾となって、塵となって死亡した。
巨大スカラベは死神セグウェイが死んだ途端、そのまま消え去っていた。そして皆は立ち上がる。
「良かったですね、皆様。死神セグウェイを倒せましてね」
ニコリと笑う紅葉の身体から、小さな塵を出して崩壊を始めていた。
【死神セグウェイ】
トト・フロッグによって復活させられた死神モトとセグウェイの合体した姿。トト・フロッグの能力で、代替品があれば10回死ぬまで復活出来るが、体内の大量の爆弾の性質によって大量の爆破を起こして死亡する。