開戦
翌日の日の朝。
魔王であるリリーベル・フランベルと紅葉の川を冷やした事によって、霧が無事に発生した。霧を発生して【勇者軍】と【魔王軍】の所に攻め入るのは、まぁ良い。最後の四天王の1人、アイザックはこの霧の中で1人、【教会軍】を壊しているから【教会軍】に対する行為は良いとしても、【勇者軍】の方に対する行為はしていない。
【勇者軍】にはメグリ・バタフライやらトト・フロッグの変態生物コンビ、そしてさらにはトト・フロッグによって復活させられたであろうセグウェイ達、そして【反逆勇者】、豆羽ユウトも居る【勇者軍】。先程、ナギサ・クジョウが壊しに向かったが、果たしてあの超強いナギサ・クジョウでも、1人だけだと少しきついんじゃないだろうか?
「と言う訳で、この前の【勇者軍】襲撃は失敗に終わったために、私達はこの川を渡っていると言う事でよろしいでしょうか?」
「あぁ。まさしくその通りだ」
と、僕は紅葉にそう言う。厳密に言えば、僕達は【魔王軍】所属ではなくて、協力関係なのであり、明確に任務失敗の処分が下されたという事では無いのだけれども、僕達はこうやって向かっている訳なのだが。
今の人員は僕、姫、紅葉にユリー、そして月裏さんのいつもの5人メンバー、そして魔王であるリリーベルさん。
「決着は私自身の手で付けないといけないの。そう、弟の始末は姉の仕事……」
彼女はそう言って、僕達の船に乗り込んできた。
船と言っても、あくまでもこれは即席の船だ。【魔王軍】の拠点を作る際に余った木材を集めて、それを氷魔法で固めて作っただけの簡易式の船。一応、そのまま氷の上に立つと冷たくて、凍えてしまうので、気休め程度に土魔法で氷を覆って、その上から木の板を置いているが。
船底は沈まないように氷にしたんだが、この寒さだけは土魔法と木の板でも抑えきれなかった。
「すいませんね、私のせいで……」
「も、紅葉さんは悪くないですよ。私がもっと制御出来れば……」
この氷の船底を作ったのは、紅葉。月裏さんの場合、船の底を凍らせるどころか、船自体を凍らせてしまっていたので、紅葉にお願いしたのだ。
「……今度、力加減を教わるべき」
「うっ……。ユリーさんの言う通りですね……。この戦いが終わったら、ぜ、是非とも教えてください! 魔力はあるから、魔法自体は出来ると思うので!」
「じゃあ、僕も教わろうかな?」
今は二剣流やら、聖剣と大剣の使い分けとかで何とかなっているけれども、別に戦争が終わったからと言って人生終了という事では無いのだから、魔法の扱いも学んでおいたほうが良いだろう。月裏さんと一緒に学ぶべきだと僕は思った。
「そう……ですね。戦争が終わったら……」
紅葉はそう言い、目の前の川を見る。そして何かを発見したみたいで、手で合図を出す。僕達も敵の接近に備えて、各々武器を用意して、戦闘準備に入る。
「じゃあ、先制は私から」
そう言って、リリーベルさんが魔力を固めて銃弾のようにして、それを放つ。放たれた銃弾は、霧の中の何かに向かって行き、そして当たる音がする。もうすぐ向こう岸に着くだろうから、この霧の中で待ち伏せをされていた? 誰だ?
「……あぁん♥ 良い感じぃぃぃぃぃぃぃ♥ もっと、もっと頂戴! 私に痛みを、そして毒ぉぉぉぉぉぉぉぉを!」
なんとなく誰だか想像が出来てしまった。
「うふふふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♥ 良いのよぉぉぉぉぉぉぉ♥」
しかし、霧の中から現れたのは、身体と戦車が一体化した、不気味な姿をしたメグリ・バタフライであった。何、こいつ……。
【メグリ・バタフライ】
何故か戦車と一体化して登場。