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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
セグウェイこれくしょん
239/266

爆弾蛙(1)

 【勇者軍】及び【教会軍】のけん制をするために、僕達は【魔王軍】の拠点を作成した。ナギサ・クジョウが用意してくれた大量の木や煉瓦、植物の蔓などによって、一日で即興で作ったにしてはとてもそうには見えないそれなりの拠点が作れた。

 作戦会議の部屋、馬を止めておくための杭、そして雨風を防ぐための大きな壁と、住むには向かないにしても即時の戦争時においてはなかなかの物になったと、作成した僕達はそう思った。


 

 これはリリーベル・フランベルさんが連れてきました【魔王軍】の兵士達の士気も大いに高められた。戦争時においてこのような拠点が出るのは珍しく、そんな拠点があり、さらにそれなりの設備がある事に彼らは物凄く嬉しがり、士気は上々との事だった。



「寝にくいけど、寝れない事は無い。各自、各々拠点近くの好きな場所に寝つつ、英気を養ってください」



 そう言われて、リリーベルさんに連れられてやって来た兵士達、この拠点作成のために働いてくれた人達は大いに休んでいた。恐らく、本番の戦闘でも役立ってくれるだろう。


 

 僕、姫、紅葉、ユリー、月裏さんの5人はリリーベルさんに呼ばれて会議室に来ていた。既にリリーベルさんとナギサ・クジョウの2人は会議の準備を始めていた。



「戦争開始は今日の夜からですが、本隊が動くのは明日の早朝にします」



 と、リリーベルさんが言う。

 この辺りの地域は朝はかなり寒く、条件によっては霧が発生するとの事。リリーベルさんと紅葉の2人が冷気の魔法を、月裏さんが冷気の翼を羽ばたかせる事によって、さらに気温を下げて、人工的に霧が発生しやすい状況を作る。僕達はそれによって発生した霧に紛れて、川を渡り、敵陣へ攻め込むと言う作戦で行くらしい。



「で、僕と姫、ユリーの3人は先に川を渡って、夜のうちに奇襲か」



 リリーベルさんから僕と姫、ユリーの3人に頼まれたのは、夜間の奇襲だった。リリーベルさんが考えた霧の発生は、恐らく向こうも予期しているので、霧を発生させただけではすぐに攻め入られて終わり。故に、僕達には夜のうちに先に向こうで行動を起こして相手をかく乱して欲しいと言う事だそうだ。まぁ、これが戦争の開始なのだから、大事といえば大事な作業なんだが、一番大変かも知れない。なにせ、



「この川、冷たいな」



 そう、寒いと言っても良い。夜の川と言うのは、とても冷えていて僕達は寒くて凍えそうだった。



「寒い! 寒いです!」



「……仕方ない。夜の川なんて、こんなもの」



 これだったら、紅葉も一緒に来て貰えれば良かった。紅葉は僕達と一緒に陽動の方をやりたいと言っていた。多分、リッチだから夜の川だろうとも寒さを感じずに渡れるからだろうが、紅葉には別の作業―――――――霧を発生させると言う作業があるので遠慮して貰ったけれども。



 そんな文句を言いつつ、僕達は川を渡りきる。既に【教会軍】が作成したとされている拠点では、四天王のミコトさんが行動をしていた。僕達の担当は―――――――【勇者軍】だ。



「さて、姫。それからユリー。今から【勇者軍】をぶっ壊しましょう」



「「はい!」」



 そう言って、僕達はそれぞれ各々の武器を持ち、【勇者軍】の拠点をぶっ壊そうとしたのだが、そんな僕達の前に1人の少年が現れる。

 左目が白、右目が黒のオッドアイとでも呼ぶべき少年だった。彼の着ている服は、向かって左側が長袖、向かって右側が短袖と言う特殊的な冬服を纏っており、その首に長いマフラーを巻きつけた少年。そして背中には左側には白い天使の翼、右側には黒い悪魔の翼を生やしている。



「―――――――残念ですが、止めて頂けますか? この【勇者軍】の基地はもう少し機会をうかがって、爆発したいので」



 そう言う彼の後ろには、スナイパーライフルや拳銃、機関銃や砲台などを持った沢山の男性と女性が立っていた。



「まぁ、あなたがたは【魔王軍】でしょうから、普通に倒しておきますね? 私が復活(・・)させた(・・・)セグウェイであなたがたを倒しましょう。

 ……あぁ、殺しはしませんよ? 倒した後に治して、爆弾を入れて爆破させておきますね」



 そう言いつつ、ニヤリと笑う彼を見て、彼が【爆弾天使蛙】、トト・フロッグである事を知るのであった。

【ヒント】

  ある古い船がありました。

 その船の持ち主、Aさんは老衰によって死亡し、別の持ち主、Bさんに渡りました。

 古い船だったため、Bさんはその船を直し始めました。まず甲板の木の板が古かったので、新しい鉄の板に変えました。帆も同じくぼろぼろだったので、新しい布の帆に変えた。

 その他、古い物は新しい物へと変えて、Bさんは船を直しました。



 そして最後の木の板を直し終わったBさんは、直した船を見て、こう思いました。



「これはAさんから貰った船なのか?」



 そこにあったのは、Aさんから貰った時とは似ても似つかない、別の姿をした船でした。

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