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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
いきなり、こんこん、姫いろは
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悶え死に蝶(1)

 僕達は目的地である犯罪都市ローグレの近くまで向かうために、馬車に乗って進んでいた。理由は2つある。まず1つは戦う前にその場所に辿り着くための歩きで疲れたら意味が無いと言う事と、もう1つは紅葉の体力があまりにも無いと言う事の2つだった。



「ごめんなさいね、私のせいで色々とご迷惑をおかけしまして」



 と、紅葉はそう言いつつ、頭を下げるが僕としては出来る限り、体力を温存する為に初めから馬車に乗る事を決めていたのだ。だから、紅葉は関係無いのである。



「それにリリーベルさんから、貰っていたんでしょ? 【勇者軍】の秘密工作部隊の2人についての情報と言う物を」



「あぁ、それはユリーさんが貰っていますね」



 そう言って、紅葉はユリーさんの方を見る。ユリーさんはこっちを見つつ、コクリと頭を揺らす。



「……【爆弾天使蛙】と【悶え死に蝶】についての情報」



「それを読ませてくれないか?」



「……良いよ」



 そう言って、ユリーから紙を貰う僕。ありがとうと言う僕に対して、どういたしましてと答えるユリー。そして僕は紙の情報を確認する。



【【悶え死に蝶】、メグリ・バタフライ。

 【勇者軍】秘密工作部隊所属、先行兵。風の魔法使いにして、香水作りの天才。自身の香水で猛毒の香水を作り出し、風に乗せて人々を殺す殺人者。また自身の猛毒香水を自分につけて、その猛毒性で常に悶えている変態少女。】



「……いきなり変態かよ」



 と言うか、どうやら2人の通り名に【蛙】と【蝶】と言うのが付いていたが、あれは【変態】と言う意味から付けているらしい。【蛙】も【蝶】も変態生物であると言う事から、どうやらその変態生物と変態性を持つ人間と言う事をかけて付けたんだろうか。



「……他にも居そうだな。【蝉】やら【海老】と言った物も」



 あんまりそんなのが、何人も居たら困るのだけれども。



「とりあえず【悶え死に蝶】とは、自身で作った猛毒の香水を自分に付けて悶えながら人を殺す変態、っと……」



 自分で言いつつも、どう言った説明なんだろうか。これは。あまり深く考えない方が良いと思うんだけれども。



「変態?」



「いや、僕の事じゃないからね、姫」



 ……こんな【悶え死に蝶】などと言う変態と一緒にされたくはない。さて、もう1人の【爆弾天使蛙】はっと……



【【爆弾天使蛙】、トト・フロッグ。

 【勇者軍】秘密工作部隊所属、衛生兵。爆発好きの変態。天使のような微笑みで人を治す反面、爆弾で人を殺す悪魔のような面を持つ少年】



「衛生兵なのに……」



 どうしてこんな攻撃的な衛生兵さんが居るんでしょうね、【勇者軍】さんは。



「まぁ、こんな変態に会いたくはないと心から願って置く事にしよう」



 そんな事を考えていると、何か聞きたくはないような変な声が聞こえて来た。



「……あぁん♥ いいわぁ♥ すっごく、ハッピーな気分だわ♥ さ、流石ぁ、私! あぁ、身体細胞が刻一刻と崩壊しつつ♥ それも自身の作った香水で♥ 良いわぁ、すっごい最高だわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♥」



 ……見たくないと思いつつも、僕は馬車から顔を出す。顔を出すと、目の前から悶えながらこっちに向かって来る少女と、その少女に着いて行く沈んだ顔の隊員達が迫って来た。

 悶えている少女は、蝶の髪飾りを付けた腰まで伸ばした桃色の髪が特徴の少女。風になびく長いマフラーと黒色を基色とした毛皮のコートを着ている。そしてその後ろから歩いているのは、何だか戦争に向かないような栄養の足りていない少年兵士達だった。



「あぁ、良いなぁ♥ これから何人もの人間や魔物達をぉぉぉぉぉぉ♥ 全て私のこの、猛毒香水にて♥ 皆殺しに出来るぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♥ 嬉しいなったら、嬉しいなぁぁぁぁぁぁぁぁ♥」



 ……【悶え死に蝶】、メグリ・バタフライ。多分、あれがその紙に書かれていた変態の1人。こんなに早く会えるなんて、なんて……運が悪いんだか。

【悶え死に蝶】

 メグリ・バタフライ。【勇者軍】秘密工作部隊所属先行兵。自身で作った香水で人を殺す兵士であり、猛毒の香水を自分の身に付けて身体の崩壊を楽しむ変態。



【爆発天使蛙】

 トト・フロッグ。【勇者軍】秘密工作部隊衛生兵。人を治す一面を持ちつつ、爆弾での殺しを好む変態性の持ち主。



【蝶と蛙】

 どちらも変態生物であり、変態生物である事とその人物が変態であると言う事をかけている。また、彼らの名前がバタフライとフロッグと言う事も、名付けられた理由の1つでもある。

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