準備と
「……うーん。これで良いかな?」
ユリ―はそう言いながら、貰って置いた食材を吟味しつつ、食材の善し悪しを決めている。僕達はリリーベルさんに頼まれて、犯罪都市ローグレに向かうための装備を整えていた。ちなみに、ナギサ・クジョウは犯罪都市ローグレに向かって走り出してしまっていた。秒速10kmと言う速度は流石としか思えずに、一瞬にして消えるようにして走り去っていた。あの様子だともう既に、犯罪都市ローグレに辿り着いてしまっているのかも知れない。僕達も準備を終え次第、向かう事にしている。
「まぁ、私と月裏さんはそこまで食糧に困らないから大丈夫ですよ?」
「そ、そうですね。多少は融通も……効くかと」
紅葉と月裏さんがそう言う。まぁ、リッチと不死鳥ならばこう言うのも普通だったりするのだろう。最悪的には、その場のモンスターを狩って食べると言う方法も用意してあるし。でもその場合、狩る時間やら肉の美味さなどによってかなり時間などが取られるから、こうして用意しているのだけれども。
「ダメ! 皆の、用意しないと!」
そう言って、姫が食材を適当に選んで手に取って行く。姫的には皆で食べている方が楽しいのだろう。紅葉と月裏さんも姫の意図が理解出来たようで、適当に選んでいる姫の食材から選り選って良い物を選んで行くように決めたようだ。まぁ、多少重くても何とかなるだろう。そんな事を思っていると、紅葉が何かを思いついたかのようにフードからメモを取り出す。
「そう言えば、リリーベルさんから【勇者軍】の秘密工作部隊とやらには注意しておいてくれとの事です」
「秘密工作部隊……?」
「リリーベルさんが言うには、何かやばい人達らしいです。簡単に言うと、頭の螺子が取り外された奴らとでも言いましょうか?」
まぁ、【勇者軍】と言う事で鼻から怪しいと思っているんだけれども、リリーベルさんがそんな【勇者軍】の中でも、特に注意すべきやばい人達とはどんな連中なんだろうか。とりあえず注意するべきと言う事は、そいつらが出て来る可能性もあるかと言う事があると言う事なのだろうな。
「秘密工作部隊の連中は戦い辛いと言うだけで、対処出来ないと言う訳ではないんですが。特に厄介なのは、【爆弾天使蛙】と【悶え死に蝶】と呼ばれている2人だそうなので、そこには要注意だそうです」
「……既に呼び名からして、注意すべき奴らだと思う」
どうやったら、そんな奇妙奇天烈な名前が出来上がるのか甚だ疑問である。僕達は食材を買い、簡易式のキャンプ設備などを持って、そのまま犯罪都市ローグレ近くの目的地へと向かうのであった。