想い出のボス魔物(1)
夢姫と共に、僕達は姫の夢の世界を進んで行く。進んで行くと共にどこか見覚えのある物が見えて来る。歩いて行くと青い水晶があって、青い水晶には色々な物が映り込んでいた。シルバーカシラウルフや夜比奈ユラギーン、オペラと言った懐かしい顔ぶれ、ヒメハジメの街やダラムアトルの街と言った今まで訪れた事のある街の風景が水晶に映っていた。
「これは……姫の記憶?」
「そうですね。姫ちゃんの記憶を、こう言った分かりやすい形にて保管しています。勿論、朝比奈さんやユリエル姫、月裏ラキナエルさんの記憶の水晶もあります。まぁ、それは奥の方にあるけれども」
そして夢姫はそのまま夢の世界の奥へと連れて行く。
「姫ちゃんは飼育の神様、豆羽ミラキジェスによって改造手術のような物を受けていたんですが、その際に病原菌が侵入しました。それによって姫ちゃんの身体に異変が起こったので、その治療が入って来て、それが私なのです」
「つまりはそのバグによって、夢姫が生まれたと?」
「皮肉と言えば、皮肉ですよね。そのバグが来たからこそ、私が生まれたんですから」
まぁ、ワクチンと言うのは元来そう言う物である。
害を発見されたからこそ、その害に対する薬が出来る。何事も、悪い事や問題が起こってから、それの対応策と言う物が出来て来るのだから。
この場合、夢姫はそのバグの薬として生まれたと言う事なんだろう。
「私が生まれたのはバグが出来てから2週間後。朝比奈さんと出会う前に、全て除去出来たと思っていたんですが、どうやら虎視眈々と機会を窺っていたらしく、この度行動に移したと言う訳らしいです」
「盗まれたのは確か、玉藻前の力だったか?」
「兼ねてより存在はしていたんですが、ブラックボックスにて触る事が出来なかったんですよ。それが触れる状態になった時に、バグがあの記憶の姿を借りて、夢世界の奥へと逃げ出しました」
あの記憶……? もしかして、ここにあるような水晶の記憶のどれかの姿を借りているんだろうか?
「……そいつを倒すために呼んだと?」
「はい。そして、あなたと姫ちゃんが戦った時よりも強くなっていますよ。だって、玉藻前の力を手に入れていますし」
と言うか、どんな敵が居るだろう? シルバーカシラウルフや夜比奈ユラギーンと言った記憶は見たし、他にどんな敵と戦っただろうか?
「ほら、あそこに居ますよ……」
そう言って、夢姫が指差した先には、確かに僕も一度戦った事があるあのモンスターが、道の先の丘のような所で待っていた。
明日は忙しいので、更新は出来ません。テスト前なので勉学に集中します。また、本日の12時にキャストオフ・アクセルを更新しておきますので、どうかよろしくお願いします。