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メモリアルの話

 私の前に居るのは、恋愛の神様である戦恋メモリアル、そして転送の神の浅尾ミカゲ。そしてここに居るのは、乙女地獄とでも表現すべき戦恋メモリアルの自室。



「お茶をどうぞ」



「あ、ありがとうござい……ます」



「うむ! 我らの心優しき所業に感嘆の声も出ないか!」



 色々と浅尾ミカゲの発言に対しては、ツッコミを入れたい紅葉だったが、それをすると神様に対して失礼な気がしたので、素通りしていた。そして出されたお茶は、何故かこれまたピンク色のお茶だった。



(原材料は何なんでしょう、これは?)



 とりあえず、一口そのお茶を口にしてみる。甘い……スイーツを直接喉に流し込んだと思うくらい、甘い。



「さて、あなたをここに呼んだ訳を気になっていると思うわ」



「……」



 確かに気になっている。どうして自分がここに飛ばされたのかが、私には分からなかった。だから、分からないと言う質問に肯定する為に、首を縦に振った。



「その理由を話す前に―――――――少しお話をしましょう」



「……あれはこの世界と言う世界が誕生する遥か昔。有限に近い時と共に生まれし闇が、世界の全てを暗黒に飲み込もうとしていたあの頃の話をしよう。そう、あの頃の時代、闇が人間を飲み込んで新生命体となっていた。しかし、人と言う物は変わる物だ。闇を屈服させた人間達は闇を従えし、新たな力を会得する事に至った」



「「……」」



「闇に飲まれた人間は俗に闇従人(シュードラ)と呼ばれ、そして闇を従えた人間は闇主人(クシャトリヤ)、そして高位の闇を従えた人間は闇王人(バラモン)と呼ばれて、前時代の我は闇王人として、幾人もの闇主人を従えて―――――――」



 そう言いつつ、浅尾ミカゲの語りがピークに達しようとしたその時、後ろから戦恋メモリアルがそのミカゲの口を手で塞いでしまっていた。



「はいはーい。もうちょっと黙って置いてね、ミカゲちゃん。その話は全く、私が話したい話ではないので、紅葉さんは気にしないでください」



「そ、そうなの……?」



 メモリアルはそのままゆっくりと、ミカゲを連れて行って部屋の隅に座らせる。ミカゲは何かを伝えようとするが、メモリアルがそれを許さずに座らせる。



 そして私の前に座るメモリアルさん。



「さて、話ね。……そうね、あなたは家畜と言う言葉を知っているかしら?」



「家畜……人間の生活に役だてるために、野生動物から遺伝的に改良した動物の事、ですか?」



「おおむね、合ってる……と言うか、正解ね。象使いに使役されているアジアゾウや、鵜飼いのカワウ、鷹狩りのハヤブサなどは人間にとって有用な動物ではある。けれども、野生のものから遺伝的に改良されているとはいい難いので家畜に含めることは出来ない。

 まぁ、遺伝的に人間に都合が良いように改造された生物、それをおおむね頭に入れて置いて欲しいの」



 とりあえず、話の意図は理解出来ないが、今までの話に疑問は無かったので、私は頷く。



「――――――――よろしい。次に話すのは、テイマーの話。モンスターテイムと言う言葉、聞いた事はない?」



「い、一応は……」



「テイマーになるのに必要な事。それは、モンスターをテイム、つまりは使役する事。それが出来てこそのテイマー。けれども、モンスターをテイムさせるのには、危険が伴う。勿論、危険が伴なうのはどんな物でもあるし、それ以上にモンスターをテイムする事が魅力的だと言う者も居ますね。



 そしてここからが話の本題と言っても良いわね。豆羽ミラキジェス、飼育の神様の話よ」



「……ミラキジェスさん」



 私達を、使い魔になる前、私達を育てて飼育してくれていた神様。それが豆羽ミラキジェスさん。確かに今まで話して来た家畜やテイマーは、飼育と関係する一面も持っていると言えば持っているし、そこで飼育の神、豆羽ミラキジェスの話が出るのも可笑しくはない。

 けれども――――――――



(何を話したいんでしょう?  メモリアルさんは?)



「―――――――回りくどい話になっていたけれども、率直に言うわ。

 かの神様、豆羽ミラキジェスは、あなた達をテイムしやすくするように調教し、そして家畜のように改良を施しているのよ。そう、全ての使い魔をそのように扱っているわ」



 と、メモリアルさんはそう私に伝えていた。

【豆羽ミラキジェス】

 あくまでも、使い魔として扱いしやすくするために各種色々な取り組みを行っております。なお、他の方がテイムしやすいと言う訳ではないので、テイムは主が居る場合は失敗します。

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