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紅葉、乙女地獄の部屋にて

「――――――――うっ、ここは……」



 紅葉が目を覚ますと、そこは知らない天井で、ちょっと引くような天井だった。



「何、ここ……」



 全体的にピンクに染められた天井。あちこちにハートマークと弓矢マークが描かれている。見ているだけで胸がいっぱいになってしまうほどの、天井の光景だった。何か背中で柔らかい感触が振り返ると、そこにはベッドがあった。これまたこちらが胸焼けするくらい、ピンクを主な色として使われた、ハートマークや『LOVE』の文字がそこら中にあるベッド。



 辺りを見ると、壁も同じように胸焼けするくらいピンク、床もピンク。可愛らしい自分と同じくらいの大きさのぬいぐるみが部屋のあちこちに置かれている。



「何、ここ……。新手の地獄?」



 確かに1つ1つの要素は乙女らしくて、もう少し減らして貰えればまだ天国らしいと思えただろう。しかし、ここまで来るともはや何かの病気にしか見えない。



(この部屋の持ち主、相当歪んでますよねー……。うっ、吐き気が……)



 その前に居た場所が木全体が墨で真っ黒になったスミガタケだったために、紅葉はあまりの風景の落差に戸惑っている。



(そもそも、ここはどこ? 皆は?)



 どうしてここに来たのか。それすらも分からない紅葉は戸惑いつつ、情報を得る事にした。



 夢かと思って、身体を叩くも弱弱しいが痛みはある。よって、夢ではない。

 服や装備は大丈夫、全部ある。しかし、魔法は使えない。魔法を阻害する何かが働いていると考えられる。

 風景は相変わらず、ピンクばかりの乙女地獄めいた部屋。

 入り口はあるが、鍵がかかっているらしく、開かない。

 外の様子を探ろうにも、窓が無い。



「本当にここは……何?」



 そんな事を考えていると、がちゃりと部屋の扉が開く。



「あら、気が付いた?」



「睡眠と言う魂の休息を終えた汝に問う。今、息災であると言えるのか?」



 扉を開けて部屋の中に入って来たのは、神々しい雰囲気を漂わせる天使のような美少女と、神々しい雰囲気と一緒に何だかめんどくさそうな雰囲気を纏っている小柄な美少女。

 頭には天使の輪、背中に白い大きな翼がある右目に傷を付けた黒髪の中肉中背の美少女と、肩の辺りまで伸びた金色の髪に、右目が赤と左目が青のオッドアイが特徴のゴスロリドレスを着た小柄な美少女。



「私の名前は戦恋メモリアル。あなたに話したい事があって、ここに連れて来たの」



「そしてその行為を遂行せし者、浅尾ミカゲ。ここに参上いたす」



「戦恋メモリアル? 浅尾ミカゲ?」



 どこかで……戦恋と言うのは聞いた事がある気がする。



(そう言えば、朝比奈さんの加護を与えている神様の名前が確か、戦恋ルルリエルと言う名前だったはずです……。と言う事は、この方は……)



「神様……ですか?」



「そう、この部屋の持ち主にて、運命を司る神様、戦恋メモリアルよ」



「……本当ですか」



 紅葉は、彼女が神様であると言う事よりも、この乙女地獄とも呼ぶべき部屋の持ち主が彼女である事に、若干遠慮したい想いを持って彼女と距離を取っていた。

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