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余り物には……福がある?  作者: アッキ@瓶の蓋。
武装少女は傷つかない
210/266

午前中、【教会軍】にて

 リリーベル・フランベル、ナナミ・クジョウ、そしてアイザック・エルフィードなど【魔王軍】の幹部達が今後の行動について会議を進行していた頃、【教会軍】の本拠地とされている聖水都市アクアフォールでは【魔王軍】以上に大変な事態になっていた。

 それはと言うのも、賢者であるワルダックが殺され、その殺害されたワルダックの部屋から【勇者軍】との裏取引があった事を裏付ける証拠が出て来てしまったからである。



 その当時、そこを警備していた【戦術賢者】のヒカロウは、その事を知らなかったと完璧に証明出来たから比較的処分は軽く済んだ。



「それでその軽い処分が、こう言う事……なのか」



 と、ヒカロウは目の前の少女を見ながらそう言った。

 闇色の黒い髪を腰まで伸ばしており、赤色の可愛らしいゴスロリドレスを着ている少女。背中には白い翼が着けられており、頭にはリボンが4つ載せられている。腰には剣を指しており、その透き通った青い瞳は、ヒカロウの方を向いている。



「2週間の私の腰巾着……いえ、助手をやるのでーす。それがヒカロウ、あなたの処分だったんでーす。下手したら【戦術賢者】を取上げらてても、可笑しくはなかったんでーす」



「……」



 少女の名前は、アリス。【戦術賢者】の1人で、【二つの国(ボーダーライン)】と言う呼び名で呼ばれる、【教会軍】の戦力の1人である。



「そうでーすよ。これからは協力の時間でーす。【魔王軍】の【ナギサ・クジョウ】のように、チームワークを育てて行かなければならないんでーす!」



「それは分かるが、攻めてその口癖だけはなんとかならないのか? アリス? 我はどうにも我慢出来そうになさそうでな」



「それは無理でーす」



 その軽そうな語尾がムカつくヒカロウだが、地位的にはあちらの方が上なために強く言い出せないヒカロウ。ヒカロウは諦めつつ、コップに飲み物を注いで、アリスに渡す。



「ありがとう、でーす! まぁ、それはともかくどうして……ナギサ・カワサキに負けるでーす? あなたの戦術、【代替戦法術】とナギサの戦法は相性が良いと聞いたんでーすけれども」



「……あぁ、相性はばっちりと、問題はなかった。問題があるとしたら、最後のあの一撃。

 ―――――――――あれは我の知る、ナギサ・カワサキの戦術では無かった」



 そう。最後のあれは、ナギサの技では無い。ナギサとは相性が良いヒカロウだがその実、彼自身にも相性が悪い敵は居る。そして、あの技は……



「――――――我の知る、最も相性が悪い奴と同じタイプの能力だった。それだけは確かだ」



「それは残念だったでーすね。もしかしたら、勝てたのかも知れなかったでーすのに」



「そうだな。それだけが残念だ」



 今までは相性の善し悪しだけで気に止めていた相手ではあるが、これを機にヒカロウはそれを改めざるを得なかった。ヒカロウは心に決めたのだ。ナギサ・カワサキは自分が殺すと言う事を。



「じゃあさ、そのためにお互いに協力しようでーす! さながら、【ナギサ・クジョウ】のような完璧な2人組を目指そうでーす! 新コンビ、【ヒカロウ・アリス】の誕生なのでーす!」



「えぇー……」



 ヒカロウは頭を抱える。ヒカロウにとって、アリスは精神的に相いれない相手だと思っていた。だから、ヒカロウは出来れば拒否したかった。けれども、出来なかった。



 それは勿論、この件の処分によって、アリスがヒカロウの上司になってしまったからである。



「さぁ、一緒にやろうでーす! まずはお互いの力を再確認するのでーす!」



「はいはい……」



 ヒカロウはそう言って、うきうき顔のアリスの後を追った。

【アリス】

 【戦術賢者】の1人。【二つの国】と言う呼び名を持つ、防衛に関して言えばプロフェッショナル。

 この度、ヒカロウの上司となりました。



【ヒカロウ】

 ワルダックの一件によって、アリスの部下に格下げされました。

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